パフレットで見つけたその店は「うちの海」と言う名前で、鳴門北インターを降りたところにあるらしい。ところが高速のインターを降りてから、どうやってそこまで行けばよいかがイマイチわからない。
カーナビに住所や電話番号を入れてもヒットせず、店のWebサイトの地図とカーナビの地図を見比べても現地までの道のりが分からない。アタリをつけて店の方向に進んでいくと、道は次第に細くなり、やがて道の舗装が途切れてしまった。
本当にこの道で合っているのか?と不安になってきたころになって、ようやく店の明かりが見えた。
ということで、無事到着。
店の前に広がる入り江が「ウチノ海」という名前なので、店の名前もそこから貰ったようだ。
つまり「ウチの海」ではなく「内の海」ということだろう。
店そのものは思いのほか小奇麗で、いい意味で想像と反していた。割と最近開業したのだろう。
暖簾をくぐり店員に声をかけると、一画のテーブルへと案内された。
テーブルはカキの乗った鉄板を囲むような形になっていて、大人数で囲うことができるようになっている。今日は相席になるそうで、その相席の人が来るまで暫く待つよう言われる。
待ちわびること5分。相席の人も到着し、席に着いたところで店員がホイストを使って鉄板と同じ大きさの巨大な蓋を降ろして点火。
相席のグループも二人組で、このテーブルのカキは都合4人での争奪戦となった。
いや、食べ放題だから争わなくてもよい。金持ち喧嘩せず、だw
出来上がるのを待っている間にこの店のシステムを説明。
カキ焼きが90分食べ放題で、さらにカキめしとみそ汁も食べ放題。これで2500円である。
価格帯もサービス内容も、志度の牡蠣小屋と概ね同じ感じ。年末までやっているからと言って観光地価格のぼったくり、ではなかったので安心だ。
牡蠣小屋は持ち込み自由な店が多い。飲み物でも付け合わせでも調味料でも、好きなものが持ち込める。
もちろん別料金で店内で注文することも可能。
この店も持ち込み自由だ。他のテーブルでは、飲み物をクーラーボックスで持参している人もいる。太っ腹に感じるが、カキを食べてもらうだけで充分利益が出るのだろう。
志度の牡蠣小屋の存在を知ったのは、2011年の年越し旅行の時に岡山の日生(ひなせ)の町でふらりと立ち寄った牡蠣小屋で、隣に座ったおじさんから教えてもらったのがきっかけだった。
以来いつか行ってみようと思って、ようやく念願叶った。早く出来上がらないかな。。。
期待に胸膨らませ、ワクテカと待っていると、再び店員が現れ蓋をオープン!盛大に立ち上る湯気の向こうに食べごろのカキ焼きの群れが見える。
片手に軍手を装着し、戦闘配置につく。
カキ焼きの山から殻が開いているものを選んで手元に寄せる。最初は何もつけずに食べる。海水の塩気で充分に味付けされていて、口の中に磯の香りとカキのクリーミーな味わいが広がる。
調味料は、レモン汁とポン酢が用意されている。それらを軽くまぶして食べたらまた格別。
あまりの旨さに次々とがっついていると、やがて殻が開いている貝がなくなってくる。
頃合いを見計らって再び店員がきて、殻が閉じたままのカキをトングで軽く叩いて、いくつかの物をこちら側へ寄せる。
二枚貝は火を通した時に開かないものは鮮度が落ちているので食べない方がいいという話を聞く。ことあたる可能性もあるカキとなればなおさら心配である。
店員に閉じたカキの食べ方を聞くと、「そちらに寄せたものは大丈夫なので、そのコテでこじ開けて食べてください。」とのこと。
ついでに、火が通ったかどうかを見分ける方法についても聞いてみると、叩いてみて聞こえる音で判断するそうだ。即ち、叩くと軽い音がする物はちゃんと火が通っている、ということである。
ということで、ネクストステージ。手元に寄せられたカキを、コテを使って開いて食べる。味は自然に開いたカキと違いがない。
ちなみに、閉じる貝を開くには、殻の縁の部分をコテでガシガシ叩いて殻を砕いてから、開いた隙間にコテを差し込んでこじ開けるのだが、ここでうっかり気を抜くと、牡蠣の中に残ったゆで汁がこぼれてくる。
手に軍手をはめているわけだが、軍手だけに汁がかかると染みて熱いったらありゃしない。
最初に鉄板の上には大体100個くらいのカキが乗っていた。相席の人と概ね半々くらいに食べたので、一人20個か25個くらい食べたら鉄板が片付いた。
もちろん、この程度の量では全然物足りないので、すぐに店員に追加してもらう。そのついでにカキめしとみそ汁も注文。
次のカキが焼けるまでの待ち時間に楽しもうという寸法だ。
ほどなくカキめしとみそ汁が運ばれてきた。
カキめしはその辺の店ではそうそうお目にかかれないレベルのカキづくし。これまた激ウマ。
ところが、みそ汁は塩加減を間違えたのか、煮詰めすぎたのか異様にしょっぱい。
具は地元鳴門産のわかめがどっさりと入って、歯ごたえばっちりなだけに実に残念。カミさんから飲まない方がいい、と制止されたので具だけを食す。わかめはうまいんだけどなー。。。
カキめしが食べ終わりそうなところで、計画どおり焼きあがった。第2ラウンドの開始。
第1ラウンドは手慣れない部分もあったので手こずったりもしたが、流石に第2ラウンドともなれば手慣れたもので、2人して自動カキ食いマシンのごとく手際よくカキをこじ開けては、次々と胃袋に落としていく。
第2ラウンドの前半が終了したところで、少し食べ飽きてきた。レモンとポン酢の配合を変えたりして調整しながら食べていたのだが、カミさんが何か閃いた様な顔で外に出て行き、暫くして戻ってくると朝食のパンに塗るつもりで持ってきていたマヨネーズとドレッシングの小袋を手にしていた。
え、それでカキ食べるの?合うかねぇ?と聞くと、カキのグラタンがあるんだから絶対合うはず、と自信満々。その言葉を信用して恐る恐るマヨネーズをかけて食べてたら、これがまたうまいのなんのってw
マヨドレの新型ウェポンを入手してからは、再びペースを回復した。が、カミさんは流石に腹いっぱいになったと言って、鉄板のカキがなくなるのに合わせてギブアップ宣言。
自分はもうちょっと行けそうだったのでカキめしと鉄板半分くらいのお替り注文。
対面のカップルも第2ラウンドの終了を合図にしてホールドアップしたので、ここから先は孤独な戦いとなる。
そしてさっきのプロトコルで、焼きあがるまでの間にカキめしを食べ、焼けたらまた第3ラウンド(ハーフ)の開始。
ポン酢、レモン、ドレッシング、マヨネーズでローテーションして胃袋に落とし込む。
頭の中ではアリスのチャンピオンがループで鳴り響く。
もっとも通常の食べ放題なら、この辺からよく分からない義務感だけで食べていくフードバトラーになってしまいがちだが、ここのカキは味がしっかりしているので、未だに一つ一つ、味を楽しみながら食べることが出来るのがうれしい。
第3ラウンドのハーフを1人でやっつけた!
そのタイミングで大体90分。タイムアップである。
ちなみに、2人で平らげたカキはこのくらい。
多分1人60~70個ぐらいは食べたはず。流石に満腹である。もう当面はカキはいらない。
これだけ食べて2500円なら激安といってもいいくらいだ。
これほどまでにエキサイトできる食事処があるなんて、四国はいい場所だなw
服や体に匂いがついてしまったので寝る前に一風呂浴びたいところ。
周辺で検索をかけてみると、高松方面にはこの時間帯でやっている店がなく、一番近いところで一旦徳島市街まで出る必要があるようだ。
ということで、徳島市にある「あいあい温泉」という温泉にやってきた。
スーパー銭湯風だが、徳島随一ともいわれる良泉だそうで、高張性のお湯なので有効成分が体に浸透しやすいという触れ込みだ。
割と遅い時間に訪れたのにも関わらず、年末だからか子供が多く、落ち着いて入れなかったのが残念だったが、体を温めて匂いを落とすのには十分だった。
で、風呂から上がったらあとは就寝、志度にある道の駅「源平の里むれ」が本日の寝床である。
もともと志度で牡蠣焼きを食べるつもりだったので、そこを宿泊地としたわけだが、ここからだと小一時間かかる。面倒くさいといえば面倒くさいが、明日の予定を考えて寝床の変更はしなかった。