話がひと段落したところで、カミさんが、
「島に来てアシタバが食べたいと思っているんですけど、まだ食べれていないんです。スーパーで買って帰ろうかなと思ったんですけど、店に売ってなくて。。。島の人はお店で買っているんですか?」
となかなかチャレンジングな方向転換をかました。しかしおばちゃんもそれを見事拾い上げて、
「あ~本当?今日ちょうど作ってきたのがあるので食べてみて!」
と、こちらが驚くようなレシーブを返してきた。
そういわれたらぜひともご相伴させて頂きたいところ。おばちゃんはカバンから弁当箱を取り出してふたを開けると、中からアシタバの炒め物を取り出して手渡してきた。
え!?これは頂いちゃまずいだろ。。。
てっきり、タッパー一杯とかそういうレベルで沢山作っていて、それをおすそ分けしてくれるのだろうと思っていたら、普通にお弁当のおかずの一つを取り出して渡してきたので面食らってしまった。
「これ、弁当のおかずじゃないですか!?」と聞くと、
「お兄さんに持っていこうと思って作ったお弁当だからいいですよ。」
いや、ますますよくないだろw。
「いいんですよ。島の人はいつでも食べられるんですから。どうぞどうぞ。」
なんだかお兄さんに対してもの凄く悪い気がしたのだが、そこまで勧められて食べないのも失礼かと思い、ありがたくいただいてみることに。
一つまみ手に取って口に運ぶと、鼻に抜けるアシタバのほのかな苦みと油と醤油の絶妙なバランスの味付けがそりゃもう絶品でクセになりそうな味だった。
- アシタバは雑草だからその辺に生えている
- アシタバという名前の通り、葉っぱを摘んでもまた次の日には生えて来ると言われるくらい生命力の強い植物なので、島の人はお店で買うこともなくはないが、基本的にその辺で摘んでくることが多い。
摘んで帰るならその辺で摘んでいったらよいと思う。 - 半日くらい日が当たるような斜面とか、すすきが生えるような場所とかに生えている。見た目が特徴的だからすぐわかる。
- 帰りがフェリーだったらビニール袋に入れて持って帰っても、家に着いたら水につければまたシャキッとなるので、軽くあく抜きをして、おひたしにしてもよいし、育った葉っぱなら裏だけ衣をつけて天ぷらなんかにするのもいい。
- おばさんは軽く油で炒めて醤油で味付けして食べるのが好きとのこと。
とまぁ、カミさんの無茶振りに対するレスポンスとは思えない有用な情報を頂くことができた。
それから思い出したように、
「どれがアシタバなのか教えてあげますよ。」
と言って、建物の外に連れ出されその後について行くと、目の前の石垣を指差して、
「ほら、これも、あれも、そこにあるのもアシタバですよ。」
石垣の隙間からさりげなく伸びている雑草をブチブチとむしり始めた。
おばさんにからかわれているんじゃないかと思うほど、本当にただの雑草然としている。
「このくらいの大きさのものはまだ若いから、おひたしとかがおいしいですよ。平らな所に生えているやつだと、20センチくらいの丈になるけど、そういうのは少し硬くなっているから天ぷらとかのほうがいいわね。」
などと言いながら、適当に抜いては我々に手渡してくるので、あっという間に両手がいっぱいになってしまった。
あまりに勢いよく抜いていくので、
「そんなに摘んだらなくなっちゃうんじゃないですか?」と聞くと、
「今出ている葉の下に若い葉がでているでしょ?上の葉を摘まないと下の葉が出てこないから、どんどん摘んであげた方がむしろいいんですよ。」
とのこと。
「アシタバってプランターとかでも育ちますか?」とさらに質問すると、
「日当たりが良くても悪くても駄目で、半日くらい日が当たる場所なら、雑草だから普通に育つと思いますよ。種を買って帰るならそこの売店で売っていたと思うから行ってみましょうか。」
と言いながら、隣の売店に向けて歩き始めたとき、斜面の傍らに生えていた別のアシタバをグイっと引っこ抜いて、
「こうやって根っこを抜けば、そのまま植えれば育つと思うから、種は買わなくても大丈夫かもしれませんね。」
へぇ、と言いながらアシタバの葉の特徴などをチェックしていたら、丁度建物を訪れた別のグループがおばさんと話し始めたので、頃合ということでお礼を言ってぼちぼち出発することに。
思いがけず両手一杯のアシタバと、アシタバ情報がゲット出来たぞ。
この後の時間で火山博物館に行きたいと思っていたのだが、カミさんは案の定アシタバ探検隊の隊長に名乗りを上げているので、急遽アシタバ探しに予定変更。
途中、おばさんのアドバイスに従ってアシタバの生えていそうな所で立ち止まりながら下山することに。