淡井浦海岸の少し手前に神社の鳥居が見えたので行ってみることにした。淡井姫神社というかわいらしい名前の神社で、比較的長い参道を登って行くと小ぢんまりとした本堂が鎮座していた。
お参りを済ませて次は若郷渡浮根展望台に行ってみることにした。。。のだが、ガイドマップに出ている道を進んでいくと、漁港のどん詰まりになって展望台らしき広場が見つからない。
地図とにらめっこしつつ枝道に入ってみたら、ヘリポートに出てしまった。。。
どうみてもここじゃないよなぁ。。。
結局若郷渡浮根展望台には辿りつけなかった。後で別の地図を見たら、この一つ手前の道から入っていくのが正解だったようだ。
続いて「旗城の御洞(はたしろのみほら)」と呼ばれるスポットに行ってみることに。
旗城の御洞は若郷地区の南に位置する阿土山(あっちやま)という山の海岸に沿った場所にあるらしく、すり鉢状のくぼみの一部がトンネル状に外の海と繋がっていると言うことなのだが、そのWEBサイト以外には記載が見当たらなかった。
その場所は、新島本道が平成新島トンネルに入る手前で旧都道へ入り、途中から林道のような道で阿土山を回り込むように進むらしい。
旧都道に入ると、程なく石碑が見えた。
「われらこの道を徒歩通学す」
石碑の解説によると、戦後になってようやく本村に定時制の高校が出来、若郷の集落から通学するものは、昼間の労働を終えてから、この道を片道8キロ歩いて学校へ通い、4時間の授業を受けて再びこの道を8キロ歩いて帰ってきたらしい。
・・・毎日昼間の仕事を済ませてからの往復16キロって、恐るべき体力だな。
今の感覚からすると超人的だが、この碑は彼らを讃えたものではなく、この道があったおかげで彼らが無事に通えたのだと、道を讃えているのが面白い。
それはさておき、旗城の御洞へ続く分岐を探しながら進んでいくと、道が行き止まりになってしまった。
旧都道は件の新島神津島近海地震で被害を受けたため、ここから先の区間が廃道になっている。つまり、ここよりも手前に分岐があるはずなのだがここまでの間に見つけることが出来なかった。
地図を良く見直してみると、阿土山の斜面を登るためにヘアピンになっているところに入口となる分岐があるようなのだが、その道は車止めが置かれて車両で入っていくことが出来ないようになっていた。
目的地までその分岐から片道1キロ弱ぐらいあり、行き来する時間は取れなさそうなので結局見送ることに。
戻りがけに見えた景色。噴火口の跡のようなところに畑が開墾されている。
規模の小さい丹那盆地みたいな、きれいな円形の土地だ。
背後には若郷の集落と新島山の向こうに利島の姿が見える。
今度は平成新島トンネルを抜けて羽伏浦展望台に行ってみることにした。
トンネル内で一瞬停車して写真を撮ろうと思ったら運悪く後ろから車が来てしまい、カミさんにお願いして走行中に撮ってもらったのだが。。。
ぶれてしまうのは仕方が無いか。。。
このトンネルも少し・・・いや、かなり変わったトンネルで、まずその長さが2.9キロ近くあり、離島に掘られたトンネルとしては日本最長のものだそうだ。
前述の通り、地震によって崩壊した旧道を復旧するにあたり、溶岩ドーム状の山容を持つ宮塚山は、周囲が脆くて急な崖になっているため、復旧させても再び壊れてしまったら元も子もないということで、山中を正面突破するトンネルを掘ることになったそうだ。
とはいえ若郷地区は人口300人余りの小さな集落なので、莫大な費用をかけてこんなトンネルを掘るのは明らかにオーバースペックのような気がするが、地続きである以上、本村と行き来ができるようにしておく必要があるということなのだろう。
それだけの立派なトンネルにもかかわらず、この道は歩行者・自転車が通行禁止になっている。
トンネル内に換気設備が設けられていないせいだという説があるらしいが、真相は不明。 いずれにしても車やバイク以外はこのトンネルを通ることが出来ない。
じゃあ、彼らはどうやって行き来すればよいのかと言うと、これがないのである。
正確に言えば島内を一日3往復する無料の村営バスを使えば行き来することが可能なのだが、わずか3往復では急用の時に困るのではないかと思う。
もっとも、今や島民の殆どは家族の誰かしらが車を持っているはずだし、無くても「モヤイ」の精神で近隣の誰かが乗せて行ってくれるのだろうと考えれば、現実的にはあまり不自由はないのかもしれない。
そもそも車を利用しない人と言えばほとんどが子供か老人と思うので、子供はともかく老人に3キロも歩く体力は無いだろうという判断も有るのかも知れない。
そう考えると、実際に支障が出る場面はまずないと思うが、使わないのと使えないのではやはり気分的に違うんじゃないか、と考えるのは外部の人間だからか。
そんなことを考えているうちにトンネルを抜け、すぐに折り返すように羽伏浦港へ戻る道に左折。