新島・式根島・神津島上陸【21】(2014/05/04)

このページで歩いたルートのGPSログ

再び遊歩道へと戻り、「唐人津城(または唐人ヅシロ)」と呼ばれる場所へ向かった。

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遊歩道は細くなったり整備された道になったりを繰り返し、やがて石畳が敷かれた十字路に着いた。

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ここを左に進むと、程なく隈の井と同じように突然開けた景色になる。

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どういう用途を想定しているのか、広くウッドデッキが敷かれている。

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その向こうに広がる荒涼とした一帯が唐人ヅシロと呼ばれる場所だ。
漢字だと津城と表記するが今も昔も城があったったことはなく、単に「良い釣り場」と言うような意味の言葉らしい。

これもまたどうしてそういう意味になるのか良く分からない。そもそも唐人というからには外人が関係していそうだがそんな伝説も聞かれない。
山の向こうは一気に海に落ち込む崖になっていて、その辺りは良い漁場なのかもしれないが、だとしたら津城は本来この荒野を指しているものでは無いのかもしれない。

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しかし、隈の井も同じだが、豊富な植生に恵まれた土地が唐突に禿山になってしまうのはなぜなんだろう?
風などの影響だろうか。
岩場に踏み跡が続いていたが少しだけ歩いて戻ってきてしまった。行っておくべきだったか。。。

ちなみに、式根島ではよく神引山が島の最高所だとされているが、正しくは写真の中央のピークが109mあり、そこが最高地点になるとのこと。

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所々に小さな茂みがあり、可憐なピンクの花を咲かせていた。
オオシマツツジだそうだ。

丁度谷間の向こうに神津島の東に浮かぶ祇苗島(ただなえじま)が見える。

唐人ヅシロまでで全行程のおよそ半分を進んだ。ここから先は神引山の展望台までこれと言った見所もないトレッキングルートになるらしい。

小休止をはさんで出発したのだが。。。

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遊歩道の踏み跡はそれなりに続いているのだが、両脇の植物がしきりに枝を伸ばしていて、半ば藪漕ぎみたいな行軍を強いられるのには閉口した。
ここまで、何人かの人とすれ違ったが、みなこの藪を抜けてきたのだろうか。

更に数分か数十分前には誰かしらが通った筈なのに、既にクモが巣を張り始めて何度か顔に当たって難儀した。。。

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しかもここまでは所々整備された歩道などもあったのだが、この辺りは延々とこんな感じの細道が一本調子で続き、景色も余り開けたところが無いので、だんだん飽きてくる。
嘉門達夫の「もうええやろキミ!」という歌が頭でループし始めたw

コースの標準タイムどおり20分少々で舗装された道に出て遊歩道が終わった。

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式根島随一の名所である神引山展望台は、左に見える遊歩道を登った先にある。
遊歩道の終わりが下りになっていたので、位置エネルギーがもったいないなと思った。

が、登ってみると。。。

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この景色ですよ!
展望台からの景色は新東京百景にも選ばれているそうだ。
式根の入り組んだリアス海岸の向こうに、利島、鵜渡根島、地内島、新島を一望できる。

天気がよければ伊豆半島や富士山も見ることが出来るそうだ。
この写真はカミさんがスマホで撮ったものだが、いつも何を写したかったんだろう?と思うような写真ばっかり撮っている気がするが、時々ドキッとさせられるような景色の切抜きをするので侮れない。。。

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遊歩道後半で溜まったストレスも一気に吹き飛ぶ絶景だった。
ここから舗装された道路を1、2分歩くと2時間前に自転車をデポジットした遊歩道の入口に至り、これで一周完了。
干しておいた水着類はだいぶ乾いていて、無くなったお弁当とともにリュックがだいぶ軽量化できた。

全行程のGPSログ

時計は14時を指している。
帰りの船の時間は16時なので、残された時間もだいぶ少なくなってきた。

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島の東側の海岸沿いなどは全く見れていないのだが、それよりも温泉憩いの家でゆっくり風呂に浸かって、散策の疲れと雅湯で付いた海水を流しておきたいと思った。

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ということで、憩いの家にやってきた。
ここは内湯が一つだけのシンプルな温泉だが、料金が200円と大変良心的に設定されている。
温泉は地鉈温泉と同じ泉質とのことなので、間接的に地鉈温泉を体験できる。
何より体を清水で洗い流すことが出来てさっぱりできるのが一番ありがたかった。

風呂を上がったら15時ちょっと前。
残り時間があるようでない微妙な時間だ。

そうそう、一つ見ようと思って見忘れていたものがある。式根港の近くにある、この物件だ。

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この穴は「まいまいず井戸」と呼ばれていて、東京の小学校に通っていた人なら社会の授業などで一度は耳にしたことがあると思う。
水がなかなか出ないような場所では、このように露天掘りで少しずつ掘り下げる工法がしばしば採用された。斜面を降りるため渦を巻くように設置された道がカタツムリ(まいまい)に似ていることからその名が付いたそうだ。

関東でも多摩地方など、分厚い「関東ローム層」という赤土に覆われており、なかなか地下水が出ないのでこのような井戸があちこちに点在している。
式根島でもこのような深井戸を掘らなければ水を得ることができず、それが島への定住を妨げていた大きな理由だったと思われる。
それはさておき、説明看板のタイトルが「まいまず井戸」となっていて、これは直した方が良いのではないかと。。。

それからその辺の商店を何軒かハシゴし、適当なところで自転車を返却。
自分の自転車のバッテリの残りは4目盛中の2目盛。結構使うものだな、と思ったらカミさんの自転車はまだ4目盛丸々残っているらしい。
体重が重いから?

ここから港までの道は殆ど平坦か下りなので、移動は楽ちん。

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途中「開発総合センター」の建物がある。
ここは島で唯一、無料で利用できる公衆無線LANが整備されている場所だそうだ。

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また、敷地の一画には「開島百周年碑」が建てられていた。
前述の通り、明治の初めごろにようやく開墾が始まり人が定住するようになったのだが、それ以前にも人はいたようで、縄文時代の土器などが出土する事もあるそうだ。

港に戻ると、行きの船に乗り合わせて以来どこをほっつき歩いていたのか、島の中では全く姿を見なかった外人観光客たちもぞろぞろと集合し、ほどなくやって来たにしき丸に乗り込んだ。

Posted by gen_charly