八丈島上陸【12】(2014/09/21)
八丈富士は7合目付近に鉢巻道路という一周道路があり、そこまでは車で上がることが出来る。
鉢巻道路に出たら右に曲がって1,2分で路肩に駐車場が見えてくる。
停まっている車はない。流石にこんな微妙な天気で山登りをする物好きはいないということか。。。
今のところ、9合目付近には雲がかかっているもののそれより下ははっきり見えている。
よし、行ける所まで行ってみるか。ということで、レインコートを着込んで登山開始。
登山道の入口にゲートが作られていた。なんでもノヤギの捕獲作業を実施しているらしい。ノヤギが囲いの外に出ないようにゲートを設けていると、傍らの説明書きに書かれていた。
また、途中いくつか枝道があるらしいが、罠を仕掛けてあるので立ち入り禁止とのこと。
ゲートの扉を開けて中に入ると、階段の登山道が続いている。道幅の4分の1ほどがアスファルトで固められたスロープになっているのが珍しい。まさか、こんな所を車いすで登る人もいないと思うが、足腰の弱い人向け、と言うことだろうか?
階段を登った方が足が水平になるので足首への負担は少ないのだが、殆どの人がスロープを歩いているようで、階段の方は一部雑草に覆われているところもあった。
もっとも、スロープのアスファルト舗装は滑らずに登れて歩きやすかったので、我々もなんだかんだでほとんどスロープ側を登ることになったのだが。。。
しかし、足元がしっかりとしすぎていて、山登りをしているという風情があまりないのが残念なところ。
ところどころにカタツムリが這っていた。
カタツムリ、久々に見るなぁ。
暫く登っていくと、樹林帯の合間に景色が開けるところがあり、そこから三原山と大賀郷や三根の集落が一望できた。写真の右端の海岸沿いには、大坂が樫立集落へ向けて急坂を一気に登っていく様子も見える。
底土港に橘丸が丁度入港しているところだった。
自分たちが島の散策をしている間に船は一度竹芝桟橋へ戻って折り返してきているのだ。
当たり前の事なんだけど、なんだか不思議な感じがした。
30分ほど登ると、再びゲートが現れ、ゲートをくぐるとすぐに小さな鳥居があった。
特に記銘がなく、なんという名前なのかは分からなかった。
この辺りから雲の中に入り始めたようで、途端に視界が悪くなる。
風上の方角の海を観察していると、どうも海から雲の塊が流れてくるというよりは、陸に上がるタイミングで雲が濃くなっているような気がする。だとしたらいくら待っても雨雲は取れないことになる。
少し憂鬱な気持ちになる。。。
20分ほどでお鉢の分岐に到着した。
左右がお鉢めぐり、直進の細道は火口内に降りるルートである。
下界はおろか火口内すら見渡すことができないので、今自分がどんな所にいるのか想像がつかない。。。
マップではお鉢めぐりは時計回りで進むよう指示されているが、そのルートも途中まで足元が悪く強風時は危険、とも書かれている。しかし、富士山の山頂と同じく山の最高地点はお鉢めぐりの途中にあるらしく、出来れば島の最高所に立ってみたいものだ。
が、ここへきて風が強くなってきた。流石太平洋の大海原のど真ん中に屹立しているだけはある。
頂上は片道20分ほどの道のりだそうだが、こんな悪天候のなか、悪路と明記された登山道にお義母さんを連れて行ってよいものか少し悩む。
しばし思案したのち、結局、まぁ、危なそうだったらその時点で引き返すことにすればいいや、とお鉢めぐりへの道をたどり始めた。
お鉢めぐりの道は鞍のてっぺんに細い踏み跡が一筋に伸びていて、吹き付ける風が草木を盛大に揺らしている。所々踏み跡が抉れているところがあり、そういうところを通ると草木に付いた雨滴がレインコートの足元を盛大に濡らしてくれる。
これは流石に険しいなぁ、と思いながら慎重に進むと、所々岩陰になっているような場所を通る。こう言う場所では一方的に麓から吹き上げる風が面白いように収まる。
そういう場所を選んで小休止しながら進む。
途中に溶岩洞窟のようなトンネル状の穴が開いているところがあった。
仮に遭難した場合、ビバークするならここだろうか。
その洞穴を過ぎたあたりから踏み跡がよくわからなくなってくる。
踏み跡を通ってきたつもりなのにいつの間にか急な段差に阻まれて進めなくなったりする。仕方ないので少し戻ってみるとこれも踏み跡かな?と言うような枝道があって、自分やカミさんが先遣隊として入り込んでみると、途中からまた踏み跡が太くなってそっちが正解だったりといった具合だ。
しかも足元をよく注意して歩かないと、しれっと割れ目があったりするので油断ならない。
上の写真は幅70センチくらいで、深さもそのくらいだ。気づかずに足を落としたら、死ぬことはそうないかもしれないが下山に支障を来すくらいのケガをする可能性は十分ある。
自分の身長なら難なく一跨ぎできるような場所でも、お義母さんはおっかなびっくりだ。
いちいち注意しながら進んでいたので進みが遅くなってきた。
おまけに雨も降り始めてしまい、視界がますます悪くなってきている。
ふと振り返ると後ろに知らない人がいる。いつの間に別の登山者に追いつかれたようだ。広くなっているところで道を譲ると、なんとその人はレインコートを着ていないばかりか折り畳み傘をさしながら歩いている。
無謀だなぁ。。。
自分らは相も変わらずちんたら進んでいたら、少し小高くなった場所で例の折り畳み傘の登山者が佇んでいた。