南紀初日の出【5】(2005/01/02)
奇絶峡:
温泉を堪能し終えて再び先の道のりを進む。途中奇絶峡(きぜっきょう)(※)という、変わった名前の渓谷を案内する看板があったので、立ち寄ってみることに。
(※)リライト時に改めて検索したら「きぜつきょう」となっていた。確か当時の調べでは「きぜっきょう」と書かれていた気がするのだが。。。
奇絶峡は田辺市の山間にあり国道から数キロほど奥に進んだ所にあった。
残念ながらこの名所については訪ねた時の記憶が全くない。大抵の場所はおぼろげな記憶があったり写真から記憶を辿ったりすることが出来るのだが、なぜかここで見た光景は全く思い出せないのだ。
そもそも夕暮れがせまりつつあり、日が暮れる前に紀州鉄道までたどり着きたいという思いがあったので、立ち寄ったはいいもののあまり腰を据えて見学しようと思っていなかったからかもしれない。
この朱塗りの橋の下が奇絶峡なのだが、橋の下の写真は1枚も撮っていない。
橋を渡った先にあるのが不動の滝。この滝を登った先に摩崖仏があるらしいのだが訪問時は奇絶峡に関する事前情報を持っておらず、また現地にも解説などが見られなかったので、滝を見てここが奇絶峡か、なんて思いながら戻って来たのかもしれない。
まぁそんな見学の仕方をしているくらいだから、仮に摩崖仏への道案内がそこにあったとしても奥まで歩いていくことはなかったかもしれない。だったら行かなきゃいいのにと思わなくもないが、何か引き寄せられるものがあったのだろうか。
で、いよいよ空が暗くなり始めたので、紀州鉄道の写真を撮影するため足早に道を急いだ。
だが御坊市街の少し手前で日没。間に合わなかったか。。。
海岸沿いの道路を海の向こうに沈まんとする太陽をチラチラと眺めながら走っていたのだが、いよいよ日没と言うタイミングで車を停めて夕日の撮影をしてみた。
カミさんは助手席でよく眠っていた。それだけ疲れているのだろうと思って起こさずに行ったのだが、車に戻ったら目を覚ましていた。
日没を見てきたと話したら、なぜ起こさなかったのかと詰め寄られた。。。そっか、見たかったのか。うまくいかないものだね。
紀州鉄道:
それから暮れなずむ街を急ぎ、ようやく紀州鉄道の終点西御坊駅に到着。
紀州鉄道は地元の人か鉄道ファン以外にはあまり知られていない鉄道会社だが、なかなか個性的な鉄道会社である。
紀州鉄道という社名を聞いて普通は鉄道会社を想像すると思う。もちろんこうして鉄道事業を行っているので間違いではないのだが、この会社、実は不動産屋である。もちろん鉄道会社が多角化経営の一環で不動産事業を行っているわけではない。この路線は元々御坊臨港鉄道という会社の路線だったが、ある不動産の経営者が御坊臨港鉄道を買収するのに合わせて社名を紀州鉄道に変更したという経緯がある。
なぜ不動産が鉄道会社を買収したのかと言うと、社会インフラの一つである鉄道会社を社名に冠することで自社の信用度を高めるためだったと言われている。確かに鉄道会社を名乗れば深く考えずに信用してしまう人はいそうな気がする。
この路線は開通当初から不採算で今現在に至るまでその状況は変わっていないのだが、上述のとおり自社の信用度を上げることが目的の鉄道なので、そんな状態が続いているにもかかわらず廃線の話は上がっていない。いわばショールームかないしは宣伝広告のような立ち位置なのだろう。あるいは知名度が低いからこそ会社の実態をごまかしやすいのかもしれない。
で、そんな鉄道路線だが、当時は営業距離が日本一短い鉄道会社として知られていた(現在は千葉の芝山鉄道が最短)。
その路線長はわずか2.7キロしかない。路線は非電化で駅も車両も何十年も前から時間が止まっているかのような状態で運行が続けられている。
和歌山県内にはかつて野上電鉄や有田鉄道といった紀州鉄道に負けずとも劣らない個性的なローカル私鉄があったが、どちらも経営の悪化を理由に廃止となっている。そう考えると決して健全ではないが、こうしてこのご時世でも残っていると言うのはある意味貴重である。
とはいえ本体の経営状況によってはいつ廃止の決定が下されてもおかしくない。何より車両自体の老朽化がだいぶ進行しているので、路線は残っても車両はもう間もなく更新されてしまう可能性がある。
上述の野上電鉄や有田鉄道は訪問叶わぬまま廃線となってしまったので、折角ここまで来たのだからなんとしても立ち寄って写真を撮りたいと思っていたのだ。
暫くして列車が到着した。駅は車両1両分の長さしかなく引きでもホーム上から写真が撮れなかったので駅前の踏切から撮影した。
既に日が完全に落ちてしまい、夕闇迫る中での撮影だったのでざらついた写真になってしまったが、ようやく車両の写真が撮影できたので、ひとまず満足。当時はこの写真を持って紀州鉄道の車両はおしまいかな、と思っていたがその後再訪する機会に恵まれ、改めてちゃんと撮影することが出来た。
ちなみに撮影に要した時間は30分ほどだったが、カミさんは待ちくたびれた顔をしていた。そりゃそうだよな。
さて、これで自分の中のミッションは無事達成できた。こ0まま進むと紀伊半島を一周する形で大阪へ行ってしまうのだが、まだ関西の都市部は余り運転したくない。まぁGWに散策して回ったばかりなのであえて行きたいと思う場所がなかったというのもあるが。
カミさんに他に行きたいところがないか聞いてみたら、元日に伊勢神宮に行きそびれたので行ってみたいという。
伊勢神宮か。。。ここからだと紀伊半島の反対側になるのでちょっと無駄に過ぎる気がしなくもなかったが、まぁ自分も一度訪ねてみたいと思っている場所でもあるしいいか、と行ってみることにした。
カーナビに設定されたコースはこんな感じである。ちょっとどうかしているとしか思えないルートだ。まぁ、まだ時間はあるからあまり気にせずに行ってみよう。とりあえず一旦カミさんに運転を代わってもらって少し休息をとることに。カミさんは運転自体に不慣れなので事故の心配がないでもなかったが、色々散策した疲れが出たのか助手席に乗り込んだらほどなく眠ってしまった。
で、次に目覚めた時にはパーキングエリアと思しき場所にいた。お、運転交代か、どの辺まで進んだのかなと思いつつナビの地図を見たら、五月橋サービスエリアだった(上の写真の赤い三角の所)。え、もうこんなところまで来ちゃったの?
ここは名阪国道のサービスエリアである。名阪国道と言えば事故が多発する道として知られている。なのでその手前で交代するつもりだったのだが、度胸ゆえか怖いもの知らずゆえか。。。ともかくよく頑張りました。おかげで眠気もすっかり取れた。
ここで長め休憩を取って夕食を済ませる。昨日までの残り物で雑炊を作ってもらった。運転して疲れているのに申し訳ない。
食事中、改めて考えると伊勢神宮に行ってそれから帰るとちょっと行程が長くなって大変だなぁと言う話になった。
カミさんも最初は伊勢神宮へ行きたいと言っていたが、旅の疲れが出てきたから早めに家に帰って家でのんびりしたい、みたいなことを言い出したので、結局伊勢神宮参拝は見送ってそのまま名古屋を目指すことになった。
早めに名古屋入りすることで半日くらい名古屋の観光をしてもいいね、などと言いつつ名古屋市内に入ったのは日付が変わる少し前だった。