沖縄社員旅行【6】(2005/09/19)
牧志公設市場:
まずは沖縄の食材を見てみたいと思い、牧志公設市場へと向かった。土産物屋の並ぶ沖縄随一の繁華街、国際通りをブラブラと歩いて到着。
市場の扉を開けると、いきなり豚の生首に出迎えられた。。。親子。。。
普段から豚肉は好んで食べているので、あまり何かを言える立場ではないのは分かっているが、流石にこれはちょっと悪趣味では。。。
沖縄の人はこうしたところにデリカシーがないのか、と思いつつ市場の奥の方へと進んでいくと、ミミガーやらチラガーの真空パックなどが売られている店が軒を並べている。こうして商品になってしまえば、美味そうな肉でしかないのだが、↑の親子を解体したのか、と妄想するといたたまれない気持ちになる。。。
どれも旨そうなのでお土産に、、、と思ったが、流石に持ち帰りが不安である。そのうえ変な食材を買っても家で調理できなければ無駄買いになってしまう。と言うことで市場の熱気を楽しむだけに留めておいた。
Yちゃんもこの独特な雰囲気に気おされてしまったか、やはりこれといったものに食指が伸びるでもない感じだった。
市場の2階は飲食店が軒を並べていた。多分この食堂で沖縄ならではの料理の数々を味わうことが出来たのだろうと思うが、なんかこういう雑然とした雰囲気の店に入るのはちょっと苦手。。。
結局、市場内を見学するのみで終わってしまった。
すーじ小を訪ねて。。。:
公設市場の裏口から出ると、やちむん通りと呼ばれる路地が続いている。この先にすーじ小(ぐゎー)という喫茶店がある。この店は珍しく自分が興味を持って行ってみたいと思った店だ。この店もまた人気店で、いつも並んでいるうえ、2時くらいになると店が閉まる、というちょっと気難しい感じの店なのだが、時計を見ると既に1時30分。間に合うか微妙だが急いで向かう。
ところが、地図を見ながらそれらしいところを歩き回るものの店へと続く路地の入口が見つけられず、右往左往してしまった。
2度3度行き来してようやく見つけることが出来たのだが、、、
Today is TQB(今日は定休日)。。。
炎天下のなか20分以上をウロウロして、挙句定休日では報われない。Yちゃんのがっかりっぷりと言ったらなかった。
いや、早々に諦めなかった自分に呆れたのかもしれないが。。。
カンカラ三線:
とぼとぼと国際通りに戻り、とりあえず手近な売店でパイナップルジュースを購入してのどを潤す。
すーじ小でのお茶タイムがなくなってしまったので幾分の時間が出来た。その時間を使って通りをブラブラしているうち、オキナワンミュージックを入手することを思いついた。とはいっても島唄を聞こうとも思えないのだが、沖縄と言えばレゲエやラップの著名なアーティストがいるので、インディーズシーンも活発なのではないかと思ったのだ。まぁ、俗にいう青田買い、と言うやつか。
レコード屋を探していたらちくてんレコードと言う店があったので、冷やかしてみた。
店内はCDだけでなく、サンシン(三線)などの楽器も売られていた。それを見て、バンド仲間のK氏が少し前に入手したサンシンを弾かせてもらったことを思い出した。沖縄の風を感じる音色に、ベースギターだけでなく、こういうエスニックな楽器もいいものだな、と思ったのだった。
そのサンシンが目の前に売られている。じゃあ、自分も買って帰ろうかな、と思ったのだが、値札を見ると結構いい値段である。どうせ買ったところで本腰を入れてやるわけでもない。せいぜい1、2曲覚えたらあとはオブジェになってしまうことは目に見えていたので、気軽に衝動買い、と言う訳にもいかなかった。
と、他にもあれこれ見ていると、何やら丸いサンシンが売られている。ボディが金属でできていて、というか缶に穴を開けてそこにネックを挿したようないでたちで、その名もカンカラサンシンと言うものらしい。
見た目のチープさに比例して値段も6000円前後と安価に売られている。これなら買えそうだが、その音や弾きやすさまでチープだったら流石に無駄遣いになってしまう。
と言うことで店員を呼んでちょっと試奏させてもらうことにした。
と言っても、弾き方や音階の取り方が分からない。店員にそこからレクチャーして貰って、音をつま弾いてみたが、意外にもK氏の自宅で弾いたサンシンにも引けを取らない、割と本格的な音が鳴っている。
これなら買って後悔することもなさそうだったので、一本購入することにした。ああ、衝動買い。。。
で、本題のオキナワンミュージックである。サンシン買ったんだから自重してもよかったのだが、折角なのでレコード売り場の方もチェックしてみた。
Yちゃんは自分が試奏している間、ずっとレコード売り場をウロウロしていた。ちょっと待たせすぎてるかな。。。
そんなわけで、こちらの方はあまりじっくりと物色することが出来なかったのだが、沖縄音楽のコーナーに「宮古島の方言で歌う」 とレコメンドされたアルバムが売られていた。
宮古島は2年前に訪れていて、何となく気になってそのアルバムを手にとってみた。
そのアルバムのアーティストは下地勇という人で、試聴などが出来なかったので完全にジャケ買いだが、宮古島の方言と言うものがどんなものなのかちょっと興味を持ったので、買ってみることにした。
と言うことで思いがけず長居してしまい、Yちゃんを相当退屈させてしまった気がするが、サンシンとCDと言う、自分へのお土産が手に入った。それからYちゃんのお土産購入に同行していると、飛行機の時間が迫ってきた。
車を回収しにホテルまで戻り、それからレンタカー屋で車を返却して空港へ。そして定刻出発の便で東京に戻り、空港で解散となった。
あとがき:
この旅行はとにかく印象深い旅行だった。と言っても今のように旅慣れていたわけではなかったので、旅行中の端々の記憶はやや曖昧なところもあるし、その見所のチョイスもちょっと偏っていたと思う。
特に印象深かったのは、なんと言ってもYちゃんとの3泊4日に渡るロングデートである。一応、カミさんとも面識があり、過去にもカミさんを含めてお出かけしたりしたこともある間柄なので、それなりに人となりは分かっているつもりだが、それでも2人きりで、というのは前代未聞だ。カミさんもよくGoサインを出したものだと思う。
幸い、終始和やかなムードで旅行することができ、自分が選んだなんだかよく分からない観光スポットへも嫌な顔をせず付き合ってくれた。
おかげで、沖縄本島初上陸にしては、なかなか楽しい旅行が出来た。
そして、ひたすらのフリータイム。
ぶっちゃけ、金やるから好きに遊んで来い、なんて社員旅行は聞いたことがない。実は今回の同行メンバーが総務と経理の人間で、社員が団体でぞろぞろやるなんでダルいから自由な旅行にしちゃいましょうよ、と社長を唆したことで実現したものらしい。もちろん、彼らの専門知識を活かし、そう言った旅行の影響などを全て確認、回避したうえでの快挙である。まさに様々であった。
まぁ、幹事にしてみたら旅行会社使ってあれこれ計画を立てるためのリソースも馬鹿にならない訳で、そうしたところが省力化できたメリットもあったのだと思うが。というか、首を縦に振る社長も凄い。
さて、買って来た下地勇氏のオキナワンミュージックについても少し触れておきたい。買って来たアルバムは氏のファーストアルバムである「天~Tin~」と言うもの。帰宅後に早速再生してみたら度肝を抜かれた。
何度聞いても日本語には聞こえないような歌詞が、フォークやブルースのメロディに載せられて歌われているのだ。
1曲目の「捨てぃうかでぃな」という曲、冒頭でいきなり「天(てぃん)ゆ仰(おう)ぎ見いたー いつからがーら青々(おうおう)ぬ天ゆまい 見いっでぃましん 我(ば)がどぅ居(う)たー」である。さっぱり理解できない。。。
これが宮古島の言葉なのか。下地氏の地元の話し言葉の特異性への気付きと、それを歌に載せてみたら面白いのではないか、という遊び心が揃ったことで初めて世に送り出された、まさに奇跡のアルバムだと思った。
宮古島の言葉は、地元では「みゃーくふつ(宮古口)」と呼ばれている。その言葉をそのまま歌詞カードに書かれても、上記のとおり、内地の人には何を歌っているのか解読することが出来ない。そのくらい暗号めいた言葉の数々なのだが、このアルバムの親切なところは、そのみゃーくふつの歌詞とは別に標準語訳の歌詞が併記されているところだ。
この訳詞が付いていることで、ミャークフツと標準語の紐づけが出来て、この言葉は宮古島ではこういう風に言うのか、と理解することができ、歌の世界により引き込まれるのだ。
ジャケ買いにしては、そして初めてのオキナワンミュージックとしては大成功だった。
(おわり)