三河湾の島&熊野・高野山 - 10(2011/08/14)
その道を登っていくと徐々に見晴らしがよくなり、日当たりの良い斜面に沿って沿って民家が急斜面にへばりつくように建っています。
なにかと不便な生活を強いられているのだろうな、などと考えつつ進んでいくと、程なく継桜王子に到着。
ここの神社はかなり立派な杉木立に囲まれています。
この杉の木はみな南の方角に向かって枝を伸ばしているということで、「野中の一方杉」と呼ばれているそうです。
どの木も幹は太く、へばりつくカミさんと比較するとその太さが実感できるかと思います。
鳥居の先に階段が続いていて、折角来たので気力を振り絞って登っていってみると、頂上にこじんまりとした広場があり、小さなお社がありました。
挨拶を済ませて階段を降りる途中、石垣のところできれいな青色の尻尾を持つトカゲを見つけました。
調べてみたら、「ニホントカゲ」の幼体らしいです。
きれいな色の尻尾は成長と共に茶褐色になってしまうらしいです。
継桜王子の隣にも「とがの木茶屋」というお茶屋さんがあります。
こちらは雨戸が開けられて、縁側が開放されていましたが、店はこちらもまだ空いていない様子。
2時間ちょっと歩いて歩き疲れてしまったので、縁側を借りて少し休憩することにしました。
リュックを降ろすとシャツの背中側は汗でびっしょり。
そのびっしょりの背中に時折吹き抜ける風が当たると何とも気持ちよく、ハイキングの疲れが癒されます。
これで甘味とお茶でもあれば最高なんですが。
さて、ガイドブックに記載されたルートはここまでになっていて、あとは野中の清水を経由して麓に降りれば、ハイキング終了なのですが、道はまだ先、本宮大社まで続いています。
原付は本宮まで歩く気力も体力も装備も無いので、ガイドブックに従ってここでおしまいです。
ただ、少し先に「秀衡(ひでひら)桜」という桜の木があるというので、これは見に行ってみることに。
とがの木茶屋から50mくらい行った所に秀衡桜はありました。
手前の説明文によると、藤原秀衡夫妻が熊野参りの途中で出産し、杖にしていた桜の木を地面に突き刺して子供の無事を願ったとされ、その桜の木が育ったものがこの秀衡桜だということらしいのですが、子供を出産したという場所は滝尻というここからかなり戻った場所で、わざわざここまで来たことや、持っていた杖を刺してそこに置いて行ってしまったことや、そもそも無事を祈るために、持っている杖を地面に刺すという行動の意味とか、色々と説明がつかないことになっています。
伝説レベルの人の話なんて、大概どこか話の辻褄が合っていないものですけどね。。。
まぁ、それはさておき、今は夏真っ盛りの8月なので、桜の木と言われても風情も何もあったものではありませんが、枝を大きく広げたその姿は春に来ればそんな伝説もありえる話なのかと思いを馳せるような見事な花を咲かせてくれそうです。
またとがの木茶屋まで戻り、分岐を国道方面へ。
遊歩道っぽい道を抜けて車道に出ると直ぐに見えるのが「野中の清水」と呼ばれる湧き水。
周辺は整備されて、風情のある欄干が設けられています。
その後ろにちょっとした露天風呂のようなプールが設えられて水が貯められていました。
水が飲めるようにひしゃくが置かれていましたが、流れている水ならともかく、一度溜まった水は生水のまま飲もうという気にならず、隅のほうで手を洗うだけにしておきました。
水はこんな暑い夏場だというのに、キリっとした冷たさを保っていて、頭がすっきりとします。
そこから国道311号までは車道を下っていきます。
途中で311号の旧道にぶつかるところでトンビ?と遭遇しました。
地上で歩いている姿は珍しかったので、写真に撮ろうと思いました。
近くに寄れば逃げてしまうと思ったので、望遠で狙ったのですが、手持ちの望遠ではブレてしまう上、被写体もじっとしていないのでなかなか上手く撮れず、なんとかそれなりに写したのが下の一枚。
— やっぱり花より団子か。 —
急坂にヘアピンカーブという、歩くのにはきつい道を降り、国道に到達すると目の前が「野中一方杉」 のバス停。
ここから道の駅までバスで戻って散策終了となります。
バスの時間を見ると、10時25分発ということで、まだ30分くらいありました。
箸折茶屋もとがの木茶屋も閉まっていたせいで、一服のアテが外れて少し腹が減っていたので、余裕があれば麓で軽く食事を取ろうと思っていたのですが、30分ではちょっと短すぎます。
その次のバスは今度のバスの一時間以上後で、これを逃すわけにも行かず、やや中途半端な時間です。
ガイドブックによると、近くに「いっぽう杉」というとんかつ屋があるそうで、食事はする時間はないものの何か持ち帰り出来る軽食でも置いていないかと思い訪ねてみると、路上に掲げられた看板は 「営業中」 とあり、店の入り口も開いていたのですが、店先には「準備中」の看板が出ていました。
入り口の引き戸が開いていたので中に入ってみると、店主らしきおじさんが客席で新聞を読んでいました。
声をかけると、残念ながら、まだ開店前で料理の仕込が終わっておらず、また持ち帰りメニューもないということです。
「コーヒーくらいだったら入れられるけど」と気遣ってもらいましたが、胃袋を刺激して余計空腹感が増すのもなんなので、ここは丁重にお断りして店を出てきました。
ということで、再びバス停に戻ってきました。
バス停のベンチに座って、さっき歩いていた古道の方を望むと、そこにはただの緑の濃い山が見えるだけで、道沿いの民家なども全く木々に隠れて見えません。
日差しは強くなる一方だというのに、道の駅方面のバス停はひさしが無く、反対車線側のひさしのあるバス停で待つこと10分、ようやくバスが到着して、無事乗り込み一安心です。
そのバスは相当バリアフルな旧式バスで、パースがどこか狂っているような座席が並ぶ異様な空間でしたが、なかなかどうして、70~80キロくらいの速度で山道を全力疾走していきます。
その様子はまさしく爆走。
段差を越えるたびにズドンと下から突き上げられて、体が浮き上がりそうになるのですが、これも乗り物系のアトラクションだと思えばなかなか楽しいものです。
かと思いきや、近露の集落を経由するときは、行きに歩いたすれ違いも厳しいような細い道で、手際よく対向車とすれ違いながらすり抜けていくという曲芸も披露してくれました。
かくして4時間弱かかって歩いた道のりも僅か15分で出発地点まで戻ってきました。
文明の利器ってすごい。
道の駅の売店が開いていたので、冷やかしに入ってみると、当地の名物である「めはり寿司」 が売られていました。
他にも「こんにゃく稲荷」や「さんま寿司」など空腹を刺激する魅力的な食べ物が並んでいて、どれも食べてみたいと目移りしていたところ、全部入りのパックが売られているのを見つけました。
それから、全国唯一の行政単位の飛び地である北山村にのみ生育するというみかんの一種である、 じゃばらのジュース「じゃばらまる」も一緒に購入。
車に戻って早速食べることに。
めはり寿司はご飯を浅漬けにした高菜の葉で包んだおにぎりで、このご飯は鰹節ご飯になっていました。
浅漬けと鰹節で程よい塩加減で、ベリーデリシャス!
こんにゃく稲荷は、その名の通り、油揚げの代わりにこんにゃくで包んだいなり寿司です。
こんにゃくがピリ辛く味付けされていてこれまた美味い。
さんま寿司は、なんでこんな山間部で名物になっているのかな、という気がしないでもないですが、〆たさんまの押し寿司で、これは安心して食べられるお味でした。
じゃばらドリンクは後味スッキリで飲みやすいものでした。
小さい缶だったのであっという間に飲み終わってしまいました。
軽く食べるだけのつもりで一パックしか買わなかったので、物足りなさも残りましたが、軽く小腹は満たされたので、熊野本宮大社に向けて出発。
ガソリンが若干心もとなかったのですが、きっと街まで降りないとろくなスタンドがないのだろうな、と思っていたら、走り出して直ぐにレギュラー139円の表示があるスタンドが有りました。
都市部でも144円くらいが普通なのに、なぜこんな山奥で139円なんだろ?と思いつつ、思わず安く給油できて一安心です。