千住界隈ぶらり散歩 - 2(2012/03/03)

そして原付のコーヒー牛乳ラーメンが先に出来上がってきました。

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具材が乗ると見た目は普通の豚骨ラーメンのようになってビジュアル的なインパクトはなりを潜めます。
これでキワモノはやっぱりキワモノ、、、だったら、750円をドブに捨てることになるので、カミさんほどでは無いにしてもそれなりに不安を感じているのですが。。。

勇気を出してスープを一口含んでみました。

スープはしょうゆベースで、割と濃い目の味付け。
そのせいかコーヒー牛乳の風味は想像していたよりも控えめです。

コーヒーはスープのコクを構成する一つの要素のように振舞い、牛乳は牛乳でまろやかさを引き立てるのに一役買っていて、思いのほかラーメンのスープとしてちゃんと成立している事に驚きました。

ネットの記事などでも「見た目によらず味はちゃんとしている」などと書かれていることが多いのですが、原付的にはそれはスープの味を邪魔しない、という意味だと解釈していたのですが、そうではなくちゃんと素材がスープの味を構成する要素になっていたのが予想外でした。

考えてみれば、青森では味噌カレー牛乳ラーメンなるものが人気になっていたりするので、元々思ったより相性の良いものなのかもしれません。

カウンターの裏側では続いてカミさんの紫色ラーメンを作り始めていました。
紫キャベツからとった濃い紫色のスープをどんぶりに流し込んでいるのを見て、カミさんが、

「うわー、本当に紫色している~!」

と驚きの声を上げると、主人が、そのどんぶりをカウンターに乗せて、

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「写真撮るなら今撮ってみてよ。これに後から毒味を入れるから。」

毒!?と訝る二人を尻目にニコニコしながら言い放ち、続けて、

「お客さんはラッキーだよ。もし毒にあたってひっくり返ってもそこの先生が医者まで運んでくれるから。」

と隣でスポーツ新聞を読んでいた客を指差しました。
その客は突然話を振られて思わず苦笑。

そうこうしているうちに、紫色ラーメンが出来上がりました。

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およそ食い物とは思えない極めて鮮やかな紫色のスープ。。。

「そこにある毒味を入れると、色が変わるから試してみて。」

といいながら小皿を出して、テーブルに置かれた酢を指差しました。

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「女の人はね、面白がってやりすぎて食べられなくしちゃうから、最初はその小皿にスープを取って実験してみるといいよ。」

と言うので、スープを小皿に数杯すくって、毒味をたらすと。。。

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一瞬で紫色が鮮やかなピンク色に変わります。
確かにこれをどんぶりの中でやったら酸っぱくなっちゃいますね。

これは要するにあれですね。

ひとしきりスープが変色する様を楽しんで、まずは一口。

「あ、おいしい!」

原付も味見させてもらいました。

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麺にも色が移って、およそ食品の色とは思えないミントグリーン色の麺になっています。
こんな色の食材は今まで、ミント味のアイスかアナハゼぐらいでしかお目にかかったことがありませんw

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昔釣った
アナハゼ、 ちゃんと食べられます。
でも冷静に考えてみれば紫色の元は紫キャベツの色素なので、見ないで食べれば普通の塩ラーメンの味。
不味い訳がありません。

原付のコーヒーラーメンは見た目よりも味が独特であったのに対して、こちらは見た目のインパクトが強烈な割に味は普通で、サプライズの質は対極的で有るものの、どちらもいい意味で裏切られるという意味では共通です。

隣の客がお勘定を済ませて帰っていくと、客は原付たちだけになりました。

「このメニューは自分で考えたんですか?」

カミさんが主人にインタビュー。

「僕じゃないよ。これは近所の人が考えたの。アイスクリームラーメンは近所の少年野球やってる小学生が考えたものでね・・・少年と言ってももう20歳になるけどね。でさ、暑いとアイスばかり食べるでしょ?それで、ラーメンに乗せたらどうか、って言われて。ばかばかしいけど子供って言うのは大人が想像も付かないようなこと考えるでしょ?それでせっかくだから作ってみようと思った訳よ。」

「へぇ。。。それをこうやって食べられるラーメンに完成させたのは凄いですね。」

アイディアを出した子供も悪ノリしすぎだけど、ここの主人もばかばかしい事に本気で取り組んで完成形まで持っていったのもある種の才能を感じます。

「だって、面白いじゃない。色つきラーメンなんかも、色が変わるところを見せるとさ、『どうなってるの?』って食いついてくるんで、『食用の絵の具だよ。』なんて教えてやると、面白がるからさ。。。」

そんな風に話してくれた後、また客が一人入ってきたので、話は一旦中断。

こっちも二人でラーメンを味わっていると、

「こっちは本物のコーヒーね。」

と言ってアイスコーヒーを出してくれました。

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コーヒーを飲みながらカミさんが食べ終わるのを待っていたら、今度は主人が「毒消し」といってチョコレートを渡してくれました。
なんとも旺盛なサービス精神に少し恐縮してしまいました。

そうこうするうちにラーメンも食べ終わり、スープも全て飲み干して、お勘定、と主人に声をかけました。
カミさんがその脇で、「ご主人と一緒に写真撮って。」と言うと、主人はそれを手で遮りました。

「あ、顔出しはNGですか?」と聞くと、

「いやね、こういう食べ物を出している所にジジイは出ちゃいけないのよ。だってほら、婆さんは台所に立つけどさ、鼻水垂らして鍋に落としたって、そんなに汚か無いけど、ジジイが鼻水垂らしたら汚らしいじゃない。だからいいんです。」

とのこと。

お勘定を済ませて店を出ると、外は日本晴れw
いや~、これだけキワモノの雰囲気を漂わせる店なので、主人もさぞ日本語の通じない変人なんだろうと思っていましたが、思いのほか気さくで話も軽妙で、それでいてラーメンはちゃんと旨い、という、なんだか2度だまされたようなお店でした。

Posted by gen_charly