沖縄離島探訪【8】(2006/11/23)
ナットちゃん:
2006/11/23
気が付けば今回の旅も3日目に突入。毎日怒涛のように観光して回っているので、だんだん前後関係とかが混乱してくるw
起床は7時。女将は昨晩の休息で復活されたようで朝食は用意されていた。
納豆と目玉焼きのシンプルなメニューだったが、朝はこういうもので充分。それはさておき、関西方面では納豆を食べる習慣があまりないと聞いていたので、沖縄で納豆が出て来るとは思わなかった。
というか県産品と書かれたパッケージのきわどさよ。
スケボーに乗っているかのような少年の姿はどう控えめに見ても某キャラクターを想起せざるを得ない。妹はボルトちゃん、犬はワッシャー?(違)
味は普通においしい納豆だったが、こんなイラストを付けちゃってクレームにならないだろうか。。。
気が付けば昨日自分を散々苦しめた謎の腹下しはいつの間にか治っていた。いったい何だったのだろう。
与那国馬ゆうゆう広場:
今日は11:55発の飛行機で石垣に戻ることになっている。だが宿のチェックアウトは9時なので、チェックアウト後に少し時間がある。
そこでチェックアウト後にその辺を散策して時間つぶしをすることにした。
とりあえず9時になる少し前にチェックアウトを済ませた。料金はしっかり正規料金で精算だった。昨日夕食を頂いていないのに・・・、とそこはかとない不満を感じぬこともなかったが、騒いでもしょうがないので大人しく支払った。というか揉めた宿泊客もいたのではないだろうか。
チェックアウトの際、飛行機の時間まで時間つぶしが出来そうなところがないか女将に質問してみたら、近所に与那国馬の乗馬体験ができる施設があるので行ってみたら、と教えてくれた。乗馬ってそんな短時間で出来る物なのだろうか、と思わなくもなかったが、他に行くところもないし、まぁ馬の姿を眺めるだけでもいいか、と思ってそこに行ってみることにした。
あとで女将が空港まで送ってくれるらしく、それまで荷物も預かってくれるというのでありがたくデポさせて貰って身軽な格好で出発。
宿から5分くらい歩いたところにその乗馬体験ができる施設があった。名前は与那国馬ゆうゆう広場という。
事務所の建物の外側にメニューが掲載されていたので見てみると、馬に乗ったまま海に入ったりするコースだとか、裏にそびえるティンダハナに登るコースといったものが書かれていた。それらは1日コースということで今の我々には選べないが、1日馬にまたがってあちこち散策するなんて面白そうだ。
いやいや、自分もカミさんもまだ馬に乗ったことがない(またがったことはある)。そんな初心者が馬を操ってそんな場所まで行くのはいつの話なんだろうか。
暫くメニューを眺めていたら、奥から髪と髭を長々と伸ばしたお兄さんが出てきた。
2時間くらいで体験できるライトなコースはありますか?と聞くと、馬に乗ったことはありますか?と聞かれた。ないですと答えたら、ちょっと考えて、
「それなら海沿いを馬で歩くツアーなんかいいんじゃないですかね?」
ちょっと待て、外は無理だろ。馬乗ったことないって言ったの聞こえてなかった?
未経験者がそんなツアー出来るんですか?と念押ししたら、ま、大丈夫ですよ。とすごく軽いノリで言われた。ほんとかよ。
お兄さん曰く与那国馬は気性が大人しく比較的人間に従順なので、割とコントロールは容易いのだそうだ。
カミさんに目配せしたら、目を輝かせて乗りたそうな顔をしていた。まぁそうだよね。じゃあ、チャレンジしてみますか。
ということでそのコースを申し込んでみた。すると、こちらにどうぞ、と誘われたのは馬が繋がれた広場。
馬との距離感の取り方が分からないので遠巻きに見ていたら、はい、とブラシを手渡され、
「こっちが”ノゾミ”ね。でこっちが”ユキ”。まずは馬をブラッシングしてあげましょう。」
と我々を乗せてくれる馬の名前を紹介された。カミさんがノゾミ、自分がユキに乗ることになった。
恐る恐る近づいてそっとブラシを当ててみた。すぐに気持ちよさそうな顔をして自分のブラッシングを受け入れてくれた。
こうして馬を安心させることで新しい人間に慣れてもらうのだという。馬を慣れさせるための儀式だが、やっていると自分も徐々に馬への恐怖心が薄らいできた。
そんな感じで5分ほどあちこちブラッシングしていたら、
「そろそろいいかな。じゃあ乗り方の説明をしますね。」
おいおい、随分と性急だな。。。穏やかな口調でなかなかスパルタンな指導をしよる。
そんな我々の不安を気づかないかのように、徐に2頭の馬それぞれに鞍をかけた。
「乗る時は一気にまたがって下さい。」
そんなに一気に体重をかけたら馬がびっくりしてしまうのではないかと思ったが、その方が馬も受け入れやすいらしい。
カミさんは身軽な体を活かして、ひょいとまたがっていた。自分も覚悟を決めて同じようにしてまたがったが、それなりに体重があるので馬が膝を踏ん張っているのが分かった。なんだか申し訳ない。
それから操縦方法の説明を受ける。馬は基本的に足を掛けている鐙(あぶみ)でボディを叩くと歩き出し、手綱を引くと止まる。またその手綱を右または左に引くことで進む方向が変わるそうだ。
なおバックは出来ないそうだ。なので引き返す時は向きを変えてあげる必要があるとのこと。
「じゃ、やってみましょうか。」
・・・もういちいち不安がってもキリがなさそうなので、開き直って指導に任せることにした。
指示されるまま鐙で横っ腹を軽く蹴飛ばした。するとのそのそと歩き始めた。
「もう少し強めに蹴らないとまともに歩かないよ。」
と言われる。あまり強く蹴ったら驚くのではないかと思ったが、ちょい強めに蹴飛ばしたら園内をパカラ、パカラ、と小走りくらいの速さで走り始めた。そうして小走りしている時は上に乗っている自分も揺さぶられる。
想像と違って随分とスパルタンな乗り心地である。足回りにしなやかさがなくショックが吸収されないまま乗員に伝わってくる。・・・いや、車のインプレッションじゃなかった。。。
なんか新鮮な感覚だが変な体勢をしていたらムチウチになりそうなので自然と背筋が伸びた。
そのまま5分ほど園内で走らせたり止まらせたりしながら、コントロールする感覚を掴んでいく。
「じゃ、そろそろ行きましょうか。」
だから早いって。まだ思うままにコントロール出来ている感じがしない。世の中には乗馬教室なんてものがあるくらいだから、馬の操縦にはそれなりの鍛錬が必要なんでしょ?まだ馬を紹介されてから10分くらいしか経っていない。だがそういう泣き言を聞いてくれる人じゃないことはもう十分承知した。行くしかない。
お兄さんも奥から別の馬を連れ出してきて、おもむろに跨る。
そして彼の後について出発。隊列はお兄さん、カミさん、自分の順番。少しでも乗馬姿の写真を撮りたいと思ったからだ。とはいってもこの揺れで馬をコントロールしながらカメラなんか構えられるだろうか。。。
上の写真はそうした状況で速やかにカメラの電源を入れて、ほぼメクラ打ちで撮った写真。案の定ブレた。だが今はこれが限界。
建物の前の農道をパカパカと歩く。普段自分の足か車に乗って通るようなところを馬にまたがって進んでいる。しかも自分のコントロールで。
非日常な体験に夢でも見ているのではないか、という気になってくる。だがボンヤリしていると2人はどんどん先に行ってしまう。なんかこんな流れつい先日も経験した気がする。
やがて3人+3頭のパーティは県道との交差点へ。ここは最初の難関だ。
県道なので時々車が通りすぎる。もちろん信号なんかない。うまくタイミングを見計らってそこを安全に渡らなければならない。ちゃんとコントロールできるだろうか。
前の2人は運よく車のいないタイミングで渡ることが出来たが、自分が渡ろうとしたタイミングで向こうから1台車が走ってくるのが見えた。
そのまま行っちゃえば渡り切れそうな気もしたが、途中で立ち往生したらとか、車の接近に驚いて馬が興奮したらとか考えたらちょっと不安になって一旦立ち止まる。手綱を引いたらちゃんと停まってくれた。
そして車をやり過ごして横断歩道を渡り切った。
その先で目の前に広がるナンタ浜に降りた。ここから暫くこの砂浜を歩いていくらしい。
馬は大人しくかつ粛々と砂浜を歩いていく。それを自分がコントロールしている。いや、ほぼ馬が勝手に歩いているのだが、ほんの1時間前には自分の人生にそんなイベントが訪れるなど考えもしていなかった。
砂浜を端まで歩くと護岸に設けられた階段を登り再び道路に出た。ここが2つ目の難関だった。
馬は本来階段のような場所を登るのが苦手らしい。だが、お兄さんの調教により登れるようになったのだという。
自分が乗っているユキは最近ようやく登れるようになった、と聞いていたので突然怖がったりはしないだろうか、と再び不安になった。
果たしてユキは足を少しもつれさせながらどうにか登り切ってくれた。
その先で道を逸れて今度は砂利道に入った。こういう地面の方が馬は歩きやすのかもしれない。少しイキイキとした感じなったような気がした。