[Spada-46] いじりれき 2011/04-3
バッテリーについて・2 ~ 予備バッテリーシステム自作 ~:
我々の旅行において寝床となる場所は、ご存じのとおりもっぱら車中である。もちろん宿に泊まればそれなりに快適な室内でくつろぐことができるので、それはそれで魅力ではあるのだが、たかだか十数時間を過ごす(しかもそのうち6時間くらいは寝ている)ためだけに数千円、数万円を支払うということに何となく躊躇いを覚えるのである。だったら、その分のお金で美味しいものを食べたり、節約できた費用でもう一度旅行に行った方が、より満足感が得られるのではないかと考えてしまうのだ。
幸か不幸かカミさんも同じ考えの人なので、お出かけすると自動的に車中泊という流れになる。車中における寝泊まりは、工夫次第でまぁまぁ快適に過ごせるのだが、そんな車中泊において悩ましいのが電源の確保である。
車の電気はバッテリーから供給されているが、エンジンを切った状態で電装品を使い続けるとあっという間にバッテリーが上がってしまう。エンジンをかけていればバッテリーに充電されるので、電装品を使い続けることは可能だが、エンジンを延々とアイドリング状態で回していなければならなくなる。それではガス代が勿体ないし、環境負荷への懸念もある。更には停める場所によっては近所迷惑にもなりかねない。何より、アイドリングによって車体が振動している状態だとなんか落ち着かず熟睡ができない。
ということで、目的地に着いたら基本エンジンを停止しているので、寝ている間に携帯やカメラの充電をするとか、見たいテレビを見て過ごすとか、電気をつけて本を読むといったことはしないようにしている。だが、テレビとか照明はともかく、携帯やカメラの充電ができないのはちょっと悩ましい問題だったりする。
全く電気製品が使えないのは困るということで、世の中にはエンジンを停止した状態で電力を得るためのソリューションが数多く提供されており、そのひとつにサブバッテリーシステムと呼ばれるものがある。これは車に標準で設置されているバッテリーとは別に追加でバッテリーを搭載し、走行中に充電しておくことで、エンジン停止後はそのバッテリーから電化製品への電源供給を可能にするシステムだ。これならバッテリー上がりを気にせずに車内で電化製品を使うことができる。搭載するバッテリーの量を増やせば、エアコンや電子レンジなども使うことも可能だそうだ。ただし、このサブバッテリーシステムで使用されるバッテリーは通常のバッテリーとは種類が異なり、ディープサイクルバッテリーというものが使われている。
通常のバッテリーはその特性上完全放電が鬼門となる。完全に放電してしまうと、その後の充電性能が極端に悪化するため、車でバッテリー上がりをやらかすとバッテリーを買い替える羽目になる。車なら基本的には走行中に充電が行われるので、そういう特性のものでも問題ないのだが、家電製品を使うとなると、電気の使い過ぎによって完全放電を起こすリスクが高まる。
対するディープサイクルバッテリーは、完全放電時でも充電性能があまり落ちない特性のものが使われており、使い切ってもまた充電して使うことができる。キャンピングカーなどにはこのディープサイクルバッテリーを用いたサブバッテリーシステムが初めから設置済みであることが多いが、このシステムは導入するとなると数十万単位のお金がかかる。世の中マニーなのだ。車内で自宅並みの快適さを手に入れることに憧れもあるが、そこまで年中外泊しているわけではないので、それだけの費用を投下するのであれば素直に宿に宿泊した方が安上がりになってしまう。もちろん、そもそもカミさんが間違いなく首を縦に振らない。
でもそれはウチらだけの悩みではない。世の中には同じ境遇に置かれている人もいて、そういう人たちがどうにか努力と工夫でコストを抑えたシステムが構築できないかと、あれこれトライしている。中でも多くの人がチャレンジしているのが、自動車用のバッテリーを活用して構築するサブバッテリーシステムだ。
もちろん、上述のとおり完全放電してしまうとバッテリーが死んでしまうので、厳密な充電管理が必要になる。毎日車を動かしている人なら基本的にあまり心配する必要はないが、我が家の場合、車を動かすのは基本週末だけだし、下手すると数週間にわたって車に乗らないこともある。
それでも安価に構築できるので魅力的ではあるのだが、そもそも旅行に行くこと自体が数ヶ月に一度くらいなので、バッテリーの寿命が3年程度と考えると、トータルで15回使うか使わないかみたいな話になってしまう。その期間の電力供給システムとして考えるとやはり高コストだ。
だったらそんなややこしいシステムなんか組まずに、もっとお手軽にポータブル電源で解決しましょうよというソリューションもある。ポータブル電源とは、その名のとおり持ち運び可能なバッテリーである。家で充電しておいて必要な時に車内に持ち込んで電源として使うわけだが、逆にいうといちいち持ち運ばなければならないのでそれが面倒といえば面倒。特にウチみたいにマンション暮らしをしていると自宅から駐車場まで離れているので、持ち運びが大変になる。
また、長期の旅行の場合、バッテリーが枯渇すると単なる荷物になってしまうという欠点もある。一応シガーソケットから充電する機能はあるのだが、これは電圧が低いので充電に時間がかかってしまうらしい。
ただしサブバッテリーシステムよりはだいぶ安価で、かつバッテリーにはディープサイクルバッテリーが使用されているので、使用頻度が低く、バッテリーを放電させてしまいがちな環境であっても、長期的に利用可能というメリットもある。
というわけで、システムを組んで様々な家電品を使える環境を作ることに憧れみたいなものはあるのだが、我が家での用途を現実的に見極めたら、なんだかんだいってポータブルバッテリーを活用するのが最もフィットしているかもしれない。
で、そのポータブル電源とやら、ネットで調べてみるとメルテックのSG-3000DXという機種が評判が良いようだ。一応、実物を見てから購入に踏み切りたいと思い、近所の量販店などを見て回ったのだがどこにも売られていない。代わりに大抵の店で売られているのは、レミックスのパワモリくんPD-730という機種だった。
仕様などを比較する限り、性能的にはSG-3000DXとほとんど同一のようではあるのだが、ネットでのレビューがほとんど付いていない。ということは何かしら人気がない理由があるのだろうか。ものは1万円くらいで売られているのだが、評判のよく分からないものを買うことになかなか踏ん切りがつかず、結局購入することがないまま数年が経過してしまった。
そんな折、東日本大震災が発生した。地震発生後、送電線や変電所の破損による停電や、原発事故による電力の供給不足を懸念した輪番停電などが各地で実施された。幸い、自分が住んでいる東京都区部は停電が回避されたが、電力供給に不安があることには変わりなく、いずれ都内も停電の対象地域に含まれてしまう可能性がある。
もしそうなったとしても、情報収集や連絡手段の命綱となる携帯電話だけはバッテリー切れを回避せねばならない。ということでこの機会に思い切って購入に踏み切ることにした・・・のだが、考えることはみんな同じだ。購入しようと思って調べた時にはネット上のポータブル電源は軒並み売り切れ状態になっていた。
レミックスの方はまだ残っているだろうか。こないだ店頭で展示されているのを確認したホームセンターに問い合わせてみたら、まだ在庫ありと回答があった。評価が少ないのが心配だが、まぁそれなりに名の通ったホームセンターが在庫しているのだから大丈夫だろう。そう決意してその店に向かったら、いつの間にか売価が14,000円に値上がりしていた。おいおい便乗値上げかよ、えげつないな・・・と思って店員に、これ以前10,000円位で売られていた気がするんですが、震災の便乗値上げですかね?と尋ねたら、震災直前にメーカーの価格改定があったんですという。だからといって1.5倍近い値上げするか?
メーカーから足元を見られている感じがしてなんだか悔しいが、背に腹は代えられない。改めて商品を手に取ってまじまじと能書きをチェックした。本当にこれでよいだろうかと商品の説明を穴が開くほど熟読した。最終的にこれで良いだろうと判断して商品をカートに載せようとした時、ふと横に置かれた別の商品に目が留まった。

その商品はメルテックのSG-1000というものだった。これは件のメルテックSG-3000DXの下位モデルで、AC用のコンセントや、LEDライト、セルスターター、空気入れ用のコンプレッサーなどのオマケが付いておらず、DC電源供給のみに機能を絞ったシンプルな製品だった。
本体はSG-3000DXと比較すると4分の1くらいのサイズで、その分バッテリー容量も少なくなっているのだが、電源供給能力に大きな差はなく、価格は半額の7,000円。考えてみればオールインワンである必要はない。既にD/Aコンバータは持っているから、使うか使わないか分からない機能はこの際不要だ。というか多分使わない。だったらこれで充分なんじゃないかと思った。
サイズが小さいこともマンション暮らしの自分にとってメリットである。自宅で充電して車内に持ち込むという運用をするわけなのだから、自室から車への持ち運びが楽な方がいいに決まっている。容量が少ないので車載用冷蔵庫とか空調などを動かすことは望むべくもないが、さしあたって携帯が充電できれば十分だ。ということで結局こちらを買うことにした。
で、結果的に7,000円ほど節約できたので、その浮いた分でもう一声、別のソリューションが実現できないかと考えた。貯金しとけよって話だが。
いやいや、話を聞いてくれ。少し前にステップワゴンのバッテリーが劣化し始めているという話を書いたが、あのバッテリーもそろそろ交換せねばと思っていたところだったので、浮いた分をバッテリー交換の足しにしようと思ったのだ。
これはただバッテリー繋がりというだけで思いついたのではない。外した古いバッテリーは古くなっているとはいっても、まだエンジンをかけるのに問題ない程度にはちゃんと使えている。だったらそのバッテリーを自宅に置いて、停電時のバックアップ電源として活用できないかと考えたのだ。それなら元手ゼロでもうひとつバッテリーシステムが構築できるので、いざという時の備えとしてより安心感が得られるのではないだろうか。
ということで、その店でバッテリーの値段を調べたら12,800円だった。やっぱりこういうものはホームセンターで買った方が安いね。ただ、バッテリーを買っておしまいというわけにはいかない。まず、家で使う電化製品はAC電源だが、車のバッテリーはDC電源なので、家で使うためには変換する必要がある。更にバッテリーを自宅に置くわけなので、AC電源から充電できる仕組みも構築しなければならない。
出力の変換はバッテリーに繋げたコードの反対側をシガーソケットにしておけば、後は家にあるD/Aコンバーターで対応できるだろう。一方、入力の方はバッテリー充電器が必要になる。それもホームセンターで探したらこんなものがあった。

▲バッテリー充電器 メルテックRC-20
これはバイクや軽自動車向けだそうで、恐らく大電流による急速充電に対応していないものだと思うが、家で充電するのであれば夜にでも繋いでおいてゆるゆると充電させておけばよいのだから、高性能なものは必要ないだろう。売価は3,500円ほど。まぁ、そのくらいならお試しで丁度良いだろう。

小物類としてシガーソケット、丸型端子、ヒューズホルダー、バッテリーターミナル端子も購入。例によってエーモンの製品で全て揃ってしまった。
ポータブル電源とバッテリー充電器、その他小物でおよそ13,000円だった。当初購入を検討していたPD-730の値段と同程度の費用で2系統のバックアップ電源が用意できたことになるわけで、まぁ首尾は良好といって差し支えないと思う。
その他、ケーブルや接続用のギボシ端子が必要になるが、それは家のストックで賄うことに。

そして交換用バッテリー。ホームセンターブランドだが高性能を謳っているので、カー用品店のブランドの物と比べてもそこまで劣るものではないだろう。
ということで一式揃ったところで、バッテリー交換と自宅用バックアップ電源システムの構築開始。

バッテリー交換は簡単である。特記することもないので手順は省略。
で、取り外したバッテリーを用いた自宅用バッテリーシステムを構築する。というほどのものでもないが、とりあえず配線だけ作って動作チェックだけしておきたい。

こんな感じに組み立てた。これも見ればわかると思うので説明は省略。

作ったケーブルをバッテリーに装着してこんな感じのシステムにした。動作チェックとして、車載してあった多機能ライトを繋げてみた。

いざという時用に車に常備していたものだが、前面の懐中電灯と上部にあるオレンジと赤のランプは無事点灯。バッテリーシステムがちゃんと機能していることは確認できたが、いつの間にか蛍光灯が点灯しなくなっていた。
そうそう出番のあるものではないが、ちょっとしたときに蛍光灯が使えると便利なのでこれが切れたままでは困る。ということで交換用の管を買いに行くことに。なんか、いつもこうして予算オーバーしている気がする・・・。
で、蛍光管を入手して交換してみたのだが、全く点灯する気配がない。それどころか本体から焦げ臭いにおいが漂い始めた。うーん、流石に寿命かな。なにしろ25年くらい前に買ったものなので、もはやどこが壊れてもおかしくない。じゃあこれもリプレースしようと、三たびホームセンターへ。なんか、何やってるんだろうという気がしなくもないが、前進できる対策があるうちは頑張ってみたいのが人情ってものだろ。
そのホームセンターには、上記と同じような商品は売られていなかったが、蛍光灯のみのハンディライトが1,400円で売られていた。

これもメルテックの製品でF-60というものである。これまで使っていたやつは単一電池6本で動くので、緊急時に便利だろうと思って購入したのだが、ぶっちゃけそうした用途で使うことは25年間で1度もなかった。しかも懐中電灯はほとんど使っていないし、赤色灯も同様。だったらシガーソケット供給の蛍光灯でいいじゃんということで、これにした。
フックが付いているので吊り下げて使うこともできるし、マグネットも付いているので、ボディに貼り付けて使ったりもできる。夜釣りの時に使えそうだ。
ということで、自宅用バッテリーシステムの構築は無事に完了。自宅に戻って暫くの間パイロット運用してみることに。家で使う際にバッテリーがむき出しだと見栄えが悪いと思い、こんなコンポーネントを考案してみた。

ホームセンターで売っているCD収納ケースだ。こうしてひとまとめにしまっておけば、邪魔にならないだろう。

上のコンポーネントには既に格納済みになっているが、バッテリー充電器として購入したRC-20はこんな感じである。ぶっちゃけチャチだ。安物だからこんなもんか。
本体背後にワニ口のクリップが付いていて、それをバッテリの端子に挟んで、あとは壁のコンセントに繋げば自動的に充電が開始される・・・のだが、バッテリの充電残量がまだ十分残っていたので、繋げても充電が開始されなかった。なので使用感についてはまだレビューできる状態ではない。
そうそう、こちらの紹介もしておかないと。

SG-1000はこういう製品である。シガーソケットが2個付いているので2系統への同時供給が可能になっている。ただ、同時供給したらあっという間に残量がなくなってしまいそうだが・・・。
可搬性を考慮してバッテリを収納するショルダーベルト付きのソフトケースが付属している。バッテリーなので肩に下げると思った以上にずっしりとくる。なのでその辺に持ち歩く用途としては向いていないかもしれない。そういう時はスマホ用のポータブルバッテリーを持ち歩いた方が良い。
充電については家庭のコンセントからの充電の他に、車のシガーソケットからの充電にも対応している。ただ、シガーソケットからの充電の場合には満充電までの充電ができないらしい。とはいっても、自宅を出発する前にしっかり充電しておいて、日中帯の走行時にシガーソケットから補充するような運用にすれば、ある程度長期間の旅行でも対応可能だと思う。