沖縄社員旅行【1】(2005/09/16~09/17)
今年も社員旅行の季節がやって来た。一昨年、初めて参加した宮古島への社員旅行には度肝を抜かれた。業績が右肩上がりを続けていた時期だったので、内容が年々リッチになっていって昨年は済州島に行ってきた(済州島は色々あってあまり記事に出来るような旅が出来なかったので記事化はしていない)。
となれば、今年はどこに行くのだろうか、と春頃あたりから社員の間の話題にのぼるようになる。いくら年々リッチになると言ってもどこまででも行ける訳ではない。基本的に社員旅行の日程は夏場のお盆時期を外した3連休と決まっており、その期間内で行けそうなところの中からチョイスするのが慣例になっていたので、予想する方もその範囲で、どこそこは何年前に行ったから、今年はあそこかなぁ、なんて勝手に予想するのである。もちろん、その時に一緒に行動する人を予め見繕っておいたりもする。
で、今年はタイトルのとおり、沖縄となった。沖縄と言っても今度は本島の方である。
一昨年の宮古島ですっかり島好きになった自分は、沖縄と聞いて小躍りした。まだ行ったことの無い島なので、一度上陸してみたいと思っていたのだ。
一般的な社員旅行のイメージと言えば、貸し切りバスなどであちこち巡り、温泉旅館の大広間で宴会、そのあとカラオケ、みたいな感じではないかと思うが、自社の社員旅行は例年、多くの時間が自由行動なのだ。フリータイムの間は常識的な範囲で好きに過ごしてよい。つまり、他の社員に気兼ねせずに、行ってみたかった島や観光地を見て回ることができる。これは自分にとってまたとないチャンスである。
それから少しして旅行の計画が発表になった。それを見て自分はまたたまげた。
今回は9月17日の晩に開催される食事会のみ参加必須で、それ以外は出発便の手配から帰着便の手配に至るまで全て自由、と言うのだ。会社は上限を定めてその費用を清算するというルールなので、その金額の範囲で納めるもよし、持ち出してもっと上等な内容にするもよし。
3連休なので初日の朝の便で向かってもよいし、有休をとれる人なら前日の金曜日や連休明けの火曜日まで滞在することもOKという。それって社員旅行なのか?
そう言われても皆が皆、自主的にツアーを組める筈もない。あまりに自由過ぎてどうしてよいか分からない、なんて困惑している人もいたので、社員旅行という点で言えば良し悪しのあるプランではあったが、自分はもちろん大歓迎である。裁量の範囲が増えれば増えるほど、その分色々なところに行ける。
この当時はカミさんの希望により、付き合っていることを職場の人間には内密にしていたのだが、今回みたいな企画ならみんなが行かないようなところを中心に選べば誰とも会わずにカミさんと観光できそうだ。というわけで、カミさんを誘ってみたのだが、このところ仕事で悩みを抱えていて、のんきに社員旅行を楽しむ気分にはならないから行かない、と言うことで不参加となってしまった。
ということでソロ活動を計画していたら、ひょんなことから同僚の女子2人から一緒に行きませんかと声がかかった。一緒に巡るのはいいのだが、自分が行きたい見所ってどう考えても女子ウケするとは思えないんだよなー。
でもまぁ、折角声かけてくれたんだしあまり無碍にするのも忍びない。出来るだけ彼女らの要望も聞いてあげようとは思ったが、自分だってそう何度も行けるか分からない場所だから、全面的に譲歩するつもりはさらさらなかった。そういう旅になるけどいい?、と念のため確認したが、それでも良いということだったので、そのパーティーでの行動を了承した。
で、奇妙な3人旅となった訳だか、それから少しして1人が離脱を表明してきた。他の女子に誘われてそちらのグループに合流することになったらしい。流石に自分の計画では楽しめないと踏んだか。
取り残された格好のもう1人の子、勝手に一抜けされてしまったことに気分を害したか、それなら私は社員旅行に行かない、と言い出した。そりゃそうだ、付き合っている訳でもない男女2人で観光なんかしたって気疲れしてしまうだけだろう。
ところが、そのマッチングを調整していた同僚が、沖縄なんて気軽に行けないところにタダで行けるんだから欠席は勿体ないよ、と説得を始めた。自由行動なのだから行かなきゃ損だよ、などと熱心に説得したらしい。じゃあ、お前が連れてけよ、と思ったりもしたが、彼は奥さん同伴なのでNGとのこと。
頑張って説得したって、そこは流石にNGでしょ、と思っていたのだが、意外や意外、思いとどまったらしい。色々難しいね。
だが、その子との2人旅という前提は変わらない。いいのだろうか。個人的には吝かでないが、何かと気を使う気がする。
本人に改めて確認すると、自分となら一緒に行動しても良い、という。彼女持ちだから安パイだと思われたか。
それからそうなった旨を一応、カミさんに報告した。そこでNGならお断りするしかない。ところが、カミさんもカミさんで、別にいいんじゃない、とサバけた回答だった。俺、そんな男としての魅力ないかなぁ。。。w
とまぁ、そんな経緯があって、同僚の女の子との2人旅を決行することになったのだった。
今回の旅行は上述のとおり全てがフリーとなる。即ち、全てを自ら手配しなければならない。
折角の沖縄旅行である。出来るだけ長い間沖縄に滞在して、出来るだけ旅行を楽しみたい。とはいえ、有休が取れるほど暇でもないし、日程が延びると持ち出しが発生する。折衷案として金曜の定時で仕事を切り上げて、夜のうちに沖縄入りをする計画とした。もちろん戻りの便は月曜日の便である。
とはいえ、ホテル探しとか面倒だなぁ、と思っていたら、同僚が同じ日程で計画を立てていて、そのツアーをこれから手配するというので、それに便乗する形でついでに手配してもらった。
基本的な枠組みが決まったところで、現地の行動計画を決める会議を開いた。会議を前にその子(以降Yちゃんとする)にも行きたいところを考えておいてもらった。で、まずはYちゃんの行きたい場所をヒアリングする。
が、意外にもYちゃんの行きたいところと言うのは殆どが食べ物の店。しかも3食におやつまで含めて考えても全部回れないほどの量をリストアップしてきた。そう来たか。
沖縄本島のマップの上でそれらの場所をプロットし、どうやって回れば最大公約数が得られるか考えてみるが、やっぱりいくら考えても全部回るのは流石に無理そう。結局いくつか省いてもらったが、それでも3日間フルに使ったグルメ旅の一面を帯びるプランとなった。
自分は美味しいものを食べるのは好きだが積極的に行動する程ではないので、誰かが行きたいところを提案してくれる方がむしろありがたい。
観光やアクティビティの希望が多かったら、自分が多く譲歩せざるを得ない状況になる懸念があったが、そちらについては基本、自分が行きたいところに行ければOKだそうだ。
なんか、案外いい感じに相互補完されている。ことのほか楽しい旅になるんじゃないか、と思った。
ヒュンダイのレンタカー:
2005/09/16
計画どおり金曜日の仕事を定時で切り上げ、その足で羽田へ向かう。羽田への移動も同僚が車を出してくれたので便乗させてもらった。持つべきものは気前のいい同僚であるw
車を出してくれた奴を含め、2人の同僚と共に那覇へ向かう。彼らは奥さんと彼女が同行しているので、ホテルから先は別行動。2人とその相方は皆、転職前に同じ職場の同僚だったらしく、奥さん/彼女同士も面識があるので合流するなりすぐに打ち解けていた。そうした中おまけのように同行する自分+Yちゃんは、ややアウェー状態。アウェー同士妙な連帯感が生まれつつあった。
それはさておき、沖縄本島への上陸は自分の島旅で26番目となった。日本で島と言えば沖縄か佐渡かと言われるほど知名度の高い離島であるが、東京からは遠く離れているので気軽に尋ねられない。どんな風景が見られるのだろうか。
那覇に到着し、まずはレンタカー屋に行って車を手配する。店で待っていると、奥の車庫から車が出されてくるのが見えた。
1台目は三菱コルト、もう2台は見たことの無い車だった。
んで、男衆が「俺の所がコルトに乗るからな!」とけん制を始める。が、そのコルトは別の人に貸し出す車で、少しの間を空けてもう一台同じ車がやって来た。心配するな、みんな一緒だ。
その3台は色が異なっていた。ブルー、レッド、ライトブルーメタリックの順に並んで停まっている。車の方へ向かっていったら、後ろの方で、俺がブルーだ、とか、お前が赤乗れよ、とか小ぜりあっているのが聞こえた。
同じ車ならどれでも一緒だろう?
ま、いいや、とさっさと先頭に停まっていたブルーの車に荷物を積んだ。なんか、後ろの方から恨み言っぽい言葉が聞こえてきたが、面倒なので聞こえないふりをした。どうせアウェーだしw
この見たことがない車、よく見たら韓国ヒュンダイのTBと言う車だった。日本では韓国の車はほとんど見かけない。それだけにちょっと興味がわいた。まぁ、車のレビューはリンク先の記事を参照願うとして。
なんか、(後ろの方で)すったもんだがあったようだが、とりあえず収まる所に収まってホテルへ移動。宿泊先はラグナガーデンホテルである。
ツインの部屋は流石リゾートホテルだけあってかなり広かった。
当初、同僚がホテルの手配をしてくれる時に、Yちゃんと部屋を分けなくてよいかと気を使ってくれた。もちろん変な気を起すつもりはないが、それでも単なる職場のいち同僚に過ぎない異性と部屋を共にするのもどうかと思い、最初は別室を希望した。だが、シングルを選択すると会社の負担上限を越えて持ち出しとなるらしく、Yちゃんと協議した結果、同室でよいという話になった。なのでツインの部屋で一緒に過ごす。
他にあれこれ考えることが多かったせいか、同室で過ごすことの意味をあまり深く考えていなかった。どうせ何もないでしょ、くらいの感覚でいたのだが、部屋に入ってベッドが2台横並びで置かれた部屋を目の当たりにして、何かするとかそういう話じゃなくて、一緒の部屋で過ごすこと自体が異常事態なんだということが、今更ながらに重くのしかかって来た。
不安に思われないよう、極力テンションをフラットに保とうと意識していたのだが、意識しすぎて却って変なテンションになっていたかもしれないw
まぁ、ここまで来たらなるようになれ、だ。何もしなければ何も起こらないはず。
とりあえず夕食がまだだったので、荷物を置いて食事に出かけた。同僚連中とみんなで食べに行こうと話していたのでロビーに集合。
時間は既に22時近い。こんな時間に開いている店があるのだろうか、と思ったら、道向かいのはなゆうという店が開いていた。
まずはみんなで乾杯。
この店は沖縄料理の店だったので、沖縄メニューを片っ端から注文。酒ありのメンバーは泡盛に手を出す。
2005/09/17
仕事の愚痴とか今回の観光予定とか取り留めのない話でワイワイやって、部屋に戻った時には日付が変わっていた。
出発前のYちゃんとの打ち合わせで、見て回りたい見所や店をあれこれ考えた結果、明日(というか今日)の出発は午前4時となっていた。
やばい、シャワー浴びたりしたらあと2時間くらいしか眠れない。。。
日中体力が切れたら目も当てられないので、急いで寝る支度をして就寝。もちろん変な気を起す余裕もなかったw
海中道路・平安座島・宮城島・伊計島:
そして、気が付けばあっという間に夜明け。まだ薄暗いが寝ぼけ眼をこすりながら何とか起床して、準備をして出発。
最初に向かうのは、沖縄きっての隠れビーチとして有名という伊計(いけい)島の大泊ビーチと言う所。
伊計島は沖縄本島の東海岸に隣接した場所にあり、うるま市から海中道路といくつかの島を経由して渡ることが出来る。
海中道路を渡るとまず最初に上陸するのが平安座(へんざ)島。島旅27番目の島となった。
平安座島には石油備蓄基地があり、土地が均されているせいか、離島と言うよりはどこぞの埋立地かなんかを走っているような感じだった。
時間的な面も含め、これと言って見所もなさそうだったのでそのまま素通り。海中道路とは反対側のごくごく狭い海峡を渡る橋で、宮城(みやぎ)島に上陸。これが連番で28番目。
こちらはあまり開発の手が入っておらず、一転して集落と畑と藪が順番に繰り返すような風景だった。
そして、宮城島も真っすぐ突き抜けてもう一つ橋を渡ると、ようやく伊計島に上陸。これが29番目。こんなにポンポンとカウントが増えていくのはしまなみ海道以来か。
目的地となる大泊ビーチは、伊計島を突っ切った先にある。この島はもっぱら延々と畑の中を通り抜けていく感じだった。
突き当りから大泊ビーチまでの道が分からず少し迷ったが、無事に到着した。
道路が順調だったので、思ったよりもだいぶ早く着いてしまった。というかまだ夜が明けてない。今ビーチに行ってもしょうがないので、もう少し日が昇るまで駐車場で仮眠することに。あともう1時間くらい後の起床でもよかったか。。。
運転席でウトウトしていたら、窓を叩く音が聞こえた。いつの間にかYちゃんが起きて外に出ていたらしい。
もう日が昇ったから起きろ、と言うことだ。
それでビーチに降りてみたのだが、大泊ビーチは北西に面した海岸なので、まだ背後の山の影が長く伸びて薄暗かった。
いわゆる白砂のビーチのという感じではなく、ちょっと期待外れだった。もっと太陽が上の方まで登って来ればまた違った印象なのかもしれないが。
ビーチに来て何をするのかと思ったら何もしなかった。Yちゃんが行ってみたいと言っていた場所だったが、特にやりたいことがあった訳ではなく見られれば満足、と言うことらしい。あれ、もしかして自分と趣向が似てる?w
ということで、ここはビーチを眺めるだけで終わってしまったが、まぁ、このあとの予定も詰まっているので、先を急がなければ。。。それってリゾートなのか?
駐車場に戻ると、いつのまにか駐車場前の店の店主が立っていて、この駐車場はお金かかるよ、と言われた。
すぐ車を出しします、と返事して逃げるように退散。
今回の旅の参考資料となっているガイドブックに、伊計島と宮城島を結ぶ伊計大橋の欄干にシーサーが立っている、と書かれていたので、戻りがけに橋の袂で車を降りてみた。
シーサーは家の屋根の上などに置く魔除けなのだが、橋の欄干と言うことは、この島が厄災に見舞われないよう守りを固めているのだろう。
島の山影が未だに橋に長く影を作っていて、暗い写真になってしまったのが残念である。
浜比嘉島のシルミチュー:
そのあと平安座島まで戻り、ここから車で渡れるもう一つの島である浜比嘉(はまひが)島へと向かった。上の写真は浜比嘉島へと渡る浜比嘉大橋。島旅30番目の島は浜比嘉島となった。
浜比嘉島へ上陸した目的は、島カウントを増やすため、というのはもちろんだが、ガイドの地図に「鍾乳洞」とだけ書かれた場所があるのを見つけて気になったからだった。
名前も分からない鍾乳洞。わざわざ書いているのに解説ページもない。いったいどんな場所なのだろうか。
その鍾乳洞は島の南端付近にあるらしく、そこまで車で走っていくとやがて道が行き止まりになった。
その先に遊歩道のようなものが延びていたので、更に歩いていくと鳥居が見えてきた。
その鳥居の傍らの解説板にここがシルミチューと呼ばれる聖域である、と書かれていた。シルミチューは琉球開びゃく祖神であり、この先にある洞窟がその住まいであったと伝えられているとのこと。
鳥居があることからも分かるとおり、ここはいわゆる拝所(うがんじょ)と呼ばれる場所だ。拝所といえば島の信仰の中心で、祭祀を行う施設である。部外者の立ち入りを拒むところもあると聞いたことがあったので、立ち入ってよいものか逡巡した。
特にご自由にお入りください、とも書かれていないし、ガイドの類にも掲載されていないような場所なので、万一立ち入って中にいる人から咎められたら、折角の沖縄旅が盛り下がってしまう。
階段を登ってその上にあるものを見てこよう、という気になれなかったので、結局写真の鳥居の所で引き返してしまった。
帰宅後にこの洞窟のことをネットで調べてみたところ、この階段の先にその洞窟があり、そこまでは自由に見学できたらしい。洞窟の入口に拝所があるのだが、その先の洞窟は通常閉鎖されていて、開放している日以外は立入不可だそうだ。
この日が開放されている日だったかもしれず、折角だから見ておけばよかったと後悔した。