碓氷の旧線跡散策【2】(2021/09/12)
2021/09/12
道の駅妙義で泊まるのは2度目だ。
前回来た時はゴールデンウィークにも関わらずほとんど駐車する車もなく快適だったので、ここなら静かに過ごせるかな、と思ったのだが、今回は脇の道路を時々走り屋仕様の太いマフラーの車やバイクが通り抜けて行って、いささかにぎやかだった。
ということで7時起床。
寝床を片付けていると、続々とオープンカーが集まってきた。オーナーのミーティングかなんかがあるようだ。
上の写真にもちらりと写っているが、コンパーノベルリーナに乗ってきた人がいたのにはちょっとシビれてしまった。
片付けている間、カミさんとチビは恒例の朝散歩。
近くに妙義山神社という神社があったそうで、朝っぱらから階段を上り詰めてお参りしてきたそうだ。
その間に朝食の準備。いつものように車外で食卓を囲んだ。最近この方法が定番化してきているな。
朝食を済ませたら出発。
まず最初に向かったのがおぎのや。峠の釜めしを作っている会社である。
信越本線の廃止に伴って、横川駅は盲腸線の終点という位置づけに成り下がってしまった。特急列車も走らなくなってしまったので、横川駅での駅弁販売はもはや絶望的な状況だ。
だが、そこは駅弁界の雄。既に様々な販路が出来上がっているし、知名度も全国区。しっかりと存続している。
釜めしは、昔ここを通りかかった折りに何度か食べている。その時は取り立てておいしくもない(まずい、ということではない)駅弁、という印象だったが、そんな話をしたらカミさんも同意見と言う。
新幹線が開業してからこの辺りで下車することもなくなり、前回食べてからだいぶ間が空いている。あの時のあの味は今も変わらないのか、もう一度確かめてみたくなったので一つ購入した。
と言ってもここで食べている時間はないので、後程、ランチの時にご登場いただく予定だ。
で、これから旧線跡ハイキングに挑むわけだが、このコースは前述のとおり、横川駅が出発点となっている。
横川駅から暫くは平坦なルートなので、歩いていて飽きそうだなと思い、途中にある峠の湯という温泉施設のところから出発することにした。
峠の湯は坂本宿を通り抜け、峠道にさしかかるところにある。
駐車場に車を停めて、リュックを背負って出発。
建物の前に池があった。優雅にコイが泳いでいる。
チビは池のほとりまで行って、暫くコイの姿を眺めていたかと思うと、突如手を叩き始めた。
何やってるんだろ?と思って聞いてみると、こうやって手を叩くとコイが集まってくるんだよ、と得意げに言った。そんなことあるのかな?と思ったが、池の様子を見ていると確かにわらわらと集まってくる。
手を叩いたからなのか、彼女のことをエサをくれる人だと思ったからなのかは分からないけど。。。
ただ、エサになるようなものが何もないので、集めるだけで集めたらチビは満足して立ち去った。コイはさぞがっかりしたことだろうw
建物脇を抜けていくと、裏手に遊歩道の入口がある。この遊歩道は「アプトの道」という名前がついているそうだ。アプトというのは前述のラック方式の種類のひとつで、信越本線で採用されていたものである。
その裏には旧線を活用したトロッコ鉄道の駅がある。この列車に乗ると横川駅近くの碓井峠鉄道文化むらに行けるそうだ。
では、いってきます!
・・・と思ったら、いきなりチビがトンボを見つけたといって立ち止まる。ちょっと先が思いやられる。。。
今回歩いたルート
遊歩道を歩き始めてすぐ、一つ目のトンネルが現れる。名前は1号トンネル、長さは187mとのこと。
トンネルは積み上げられたレンガで作られており、かつてSLが吐いたすすがこびりついたまま残っている。
トンネルはカーブしているらしく、ここから出口は見えない。
ワクワクしながら入る。
足元は踏み固められた土のようなものが敷き詰められていて非常に歩きやすい。明かりもちゃんとついているので、怖さを感じることもない。
ちなみに照明は18時で消灯されるそうだ。消灯したら完全な暗闇になるのでそれまでに退出してください、ということのようだが、閉鎖はしないそうなので、夏場など肝試しに精を出す連中がいるかもしれない。
チビが唐突に「トートロー!!」と絶叫。もちろん応答はない。あったら怖い。
残響が楽しいようで連呼していた。
そして程なくトンネルを抜ける。
遊歩道はご覧の通り、微妙な角度の坂道がひたすら続いている。歩いていても何ら負担を感じることはない程度の勾配だが、鉄道にとってはこの程度でも大きな脅威となる。
そもそも鉄道はその名の通り、線路も車輪も鉄で出来ている。元々つるつるな金属同士なので摩擦力が弱い。ここに雨などが降ればその摩擦係数は更に低下する。
上りの時は滑ると登れなくなるし、下りの時は滑ると止まらなくなる。それだけではない。列車は連結器によって前後の車両とつながっている。この時機関車だけが頑張ってブレーキをかけても、繋がっている客車の重みによって連結器に負担がかかり、連結器が壊れてしまう可能性がある。
それを防ぐために全ての車両にブレーキを付けて機関車側から一斉に制御できるような作りになっているのだが、これとて全ての車両の息が合わなかったりすると、連結器を壊してしまうことがある。
もし、その状態で客車の連結器が外れてブレーキを失うと、暴走を起して大事故につながる。
過去にはそうした暴走転覆事故が何度となく発生している。
万が一にもそうした事故が起こらないように、機関車を前後に繋げるなど、何重もの安全対策を施してやっとこの線路を車両が通行できたのだ。
この程度の勾配が鉄道にとっていかに驚異的なものであるか、お分かりいただけただろうか。
進路の先に今度は2号トンネルが見えてきた。ここも1号トンネルと同じような雰囲気のトンネルだった。
113mの2号トンネルを抜けると、左手側に湖が見えてくる。碓井湖だ。
湖のほとりへ降りて周囲を回る遊歩道もあるそうだが、まぁため池なので、わざわざ見に行きたいとも思わなかった。
気が向いたら帰りに行ってみることにしようということでパス。
さっき歩いて何ら負担を感じない、と書いたが、ずっと歩いていると地味に足に来る。
徒歩道としては全然ユルい坂道なのだが、着実に標高を稼いでいる。その差分が視覚からのインプットと実際の疲労感の差となって余計に疲れる感じがする。
チビも少しくたびれたらしく、おやつコールが始まった。
丁度タイミングよく道端に中尾小屋と銘打たられた休憩所があったので、そこで小休止。
チビのおやつとしてポイフルを渡しているのだが、なぜか「アポロ食べたい!」と連呼している。
まぁ、アポロっぽいケースではあるが。中身全然違うでしょう?w
おやつを食べて10分ほど小休止したら回復したようなので、再び出発。
ここから先暫く直線が続くらしく、視界の先に3号、4号、5号のトンネルが見通せた。
3号トンネルで天井のレンガを写真に撮ってみた。
なんだか蛇皮みたいだ。。。
これまでのトンネルと違い、足元の照明がなくなった。目を慣らすため?
そのせいでトンネル内の雰囲気が少し変化する。
4号トンネルも同じような感じだった。どちらも先ほどの見通し写真のとおり、短い(3号:78m、4号:100m)トンネルだ。
そして5号トンネル。これまでで一番長い244mの長さがある。
中は緩やかな左カーブになっていて出口が見通せないので実際の距離以上に長い印象だった。