三都物語【3】(2004/05/03)
宇治のアレ:
2004/05/03
今日は1日かけて京都の辺りを散策する予定である。京都観光はカミさんの希望であり、カミさんの希望する見所を中心に回ることにしている。
自分は寺とか神社にあまり興味がないので、散策を楽しめるだろうか。
まず向かったのは宇治である。京阪電車で宇治へ。
宇治と言えば平等院。10円玉の裏に書かれているあの建物である。それをカミさんに見せてあげようというのももちろんあるが、自分が宇治にやってくると言えばアレである。そんなサブミッションを胸に秘めつつ、まずは平等院へ向かう。
平等院では藤が見ごろを迎えていて、藤棚の下で記念撮影。もちろん非掲載。
なぜか平等院の写真は撮影しなかった。カミさんに10円玉の建物だよ、と説明したがあまりピンときていない感じだった。。。
そんな感じでざっと見学して先に進む。
さて、上に書いた「アレ」だが、1995年に後輩のKと一緒にこの地を旅した時に飲んだひやしあめドリンクのことである。
ひやしあめドリンクは、当時のゲーム雑誌でやたら酷評されていた飲み物だったのだが、現地でどんな劇物かと不安と期待の入り交じった気持ちで飲んでみたら、まずいどころか全然うまい飲み物で、肩透かしを食らったのだった。
当時、そのように評価したことについて、自分の味覚が人と違っているせいではないか、という疑念が捨てきれずにいたので、カミさんにも試飲してもらうことでその疑念を晴らしたいと思い再訪した次第。
これがそのひやしあめドリンク。裏面には赤字であめ湯と書かれている(別の機会に撮影した写真である)。
95年にそれを購入したクラシカルな自販機は今もまだそこに置かれていた。だが、そこに並ぶラインナップからはひやしあめドリンクがなくなっていた。残念、わざわざ来たのに。。。
まぁ、ないものはしょうがない。もしかしたら製造中止になってしまったのかもしれない。それですごすご引き返すのも癪だったので、宇治川のほとりを散策してから、宇治を後にした。
ちなみに、その後府内のコンビニで売られているのを発見し、それを飲ませてみた。カミさんの感想も全然うまいじゃん!だった。
よかった。自分の味覚が普通の範疇に入っているようで安心だ。
嵐山:
観光と言ってよいのか分からないが、まずは宇治の観光を終えた。次に向かうは京都嵐山。嵐山の散策はカミさんの希望である。
というわけで、JR奈良線と地下鉄を乗り継いで四条へ。そこから京福電鉄に乗って嵐山へと向かう。
JRだったら京都から山陰線で嵐山へ出た方が手っ取り早いのだが、やはりここは小さな路面電車で向かった方が風情があるだろう。
小さな電車に揺られること30分少々で終点の嵐山に到着。
京福電鉄には500形と言う車両があるのだが、製造されてあまり年数が経っていないにもかかわらず、使い勝手が良くないとかで、閑職に追いやられているらしい。その500形に嵐山駅で遭遇した・・・のだが、当時そう言うレア車両だとは思いもよらず、ロクな写真を残していなかった。惜しいことをした。
それはさておき、嵐山の駅前に降り立ってカミさんに行きたいところを訪ねてみた。だが、カミさんは嵐山の雰囲気を味わいたいだけで、これと言ってどこかに行きたいと考えていたわけではなかったらしい。
じゃあ、歩きながら決めるか、ということで駅前のメインストリートをあてもなくぶらぶらと歩いてみた。
渡月橋を渡った辺りから、嵐の「A-RA-SHI」のサビの部分が無限ループで流れているのが聞こえてきた。たまに流れるくらいならいざ知らず、延々とループするので、なんか少しイラっとした。
ふと空腹を感じた気がして時計を見ると、昼を少し回っている。じゃあ昼ご飯を食べに行こう、となった。
京都の名物料理と言えばなんだろう・・・と考えていたら、にしんそば、と書かれたのぼりが立っているのが目に入った。そう言えばにしんそばも京都だな、と思い、その店に入ってみることにした。
客入りもまずまずで盛況だったが、出てきたにしんそばはいわゆる観光地仕様だった。。。
ちょっと残念な気持ちになって店を出た。
カミさんもそのことを残念がっていて、口直しにコロッケ食べにいこう!と誘われた。嵐山にコロッケの有名店があるらしい。
店の名前は中村屋という。ガイドブックにも掲載されていて、その地図を頼りに裏道を歩いて行ったら店があった。
そこで注文したのがコロッケとメンチカツ。揚げたてが出されてアツアツの物をその場でほおばる。こちらは噂に違わず美味い。いい口直しになった。
琵琶湖疎水:
嵐山の散策はこんなもんでいいらしい。じゃあ、次へ行こうか、と言って次に向かったのは南禅寺・・・の境内にある琵琶湖疎水の水路橋。
イマイチな写真で恐縮だが、これが琵琶湖疎水の水路橋だ。正しくは水路閣と呼ぶらしい。
この疎水は1890(明治23)年に完成したものなので、100年以上前の建造と言うことになる。明治初期の土木建築で盛んに採用された総レンガのアーチが幾重にも並んでおり、下からしか眺めることは出来ないが、なかなか壮観である。
自分はその昔、JR西日本のCMでこの水路閣を知った。谷村新司が歌う三都物語という曲をBGMに京都、大阪、神戸の観光地を紹介するそのCMは非常に印象深いものだった。
自分は中学校の修学旅行で奈良、京都を訪れた際に、班行動のメンバーが南禅寺を見たいと話したことから、その時に一度見学しているのだが、カミさんはまだ見たことがないそうだ。カミさんは雰囲気のあるアーチ橋を見てしきりに感心していたが、自分は頭の中で「♪きのうきょうあーすー」のフレーズがリフレインしていたw
新京極と都路里パフェ:
で、これを見たら次へ進む。ほんと、寺社には2人して殆ど興味がないことがよく分かるw
向かった先は新京極。カミさんはここをブラつきたいらしい。新京極は京都きっての繁華街である。人が沢山いる場所をぶらつくのは正直気乗りしなかったが、ここまで割と自分の趣味の世界に付き合って貰っているので、自分も少しくらい我慢せねば。。。
新京極の土産物屋でカミさんがつやの玉を見つけ、これ欲しかったんだよね~、なんて言っている。やっぱ女子だねぇ。
ただ、カミさんは当時から節約家で、あれこれ興味を持って手に取ってしげしげと眺めたりするのだが、まず買わない。自分は折角観光地に来たのだから、こういうものを買って帰るのも旅の思い出、と思うタイプなので、土産物や食べ歩き用に軒先で売られている食べ物なんかを見ると買いたくなってしまうのだが、自分が欲しいと言ってもいらない、と言うし、カミさんが買おうかな、と言うのでいいんじゃない?と返事すると、やっぱやめるー、となる。
そうなってくると、次第に時間を浪費しているだけのような気分になってきて、だんだんイライラしてくる。。。
ウィンドウショッピングとはそう言うものなんだ、と慣れてくるまでにもう少し時間が必要だった。
自分がちょっと不機嫌になっているのを察したのか、そろそろおやつにしない?と誘われた。
近くにある都路里という店のパフェが美味しいらしく行ってみたいそうだ。行ってやっぱ食べないとかないよね??
ちょっと猜疑的になりながら、地図に出ている店のところまで行ってみると、結構な行列が出来ていた。なかなかの有名店らしい。時間がかかりそうだったので、その行列に並ぶことにあまり気乗りしなかったが、カミさんが希望するなら、と言うことで列に並んでみた。
案外、行列はするすると進んでいき、15分ほどで順番が回ってきた。
注文したのはもちろん都路里パフェである。ちょっと食べかけの写真で恐縮だが。
都路里はお茶の老舗だそうだ。その店がやるスイーツだけに抹茶は外せない。と言うことで、このパフェは抹茶ベースになっていた。
確か当時、抹茶フレーバーは今ほどメジャーなものじゃなかったように記憶している。なので、これも物珍しいなと思いながら食べたような気がする。自分が時代について行けてないだけかもしれないが。。。
食べる前まで、甘いものと抹茶の組み合わせってどうなんだろう?と思っていたが、食べてみたら意外や意外、抹茶の爽やかな苦みが甘さを引き立てていて、これはうまい。
脱線するが、自分が中学生の頃、ある先生から聞かされた笑い話でこんなのがあった。
ある日、先生同士で連れだって食事に出かけることになり、フランス料理の店に行ったそうだ。その時、肉料理にほうれん草のソースがかけられた料理が出てきて、同席していた柔道部顧問の堅物そうな先生が、「これは抹茶ソースですか?」と言い放って、他の先生の失笑を買った、と言う話である。
どこが笑いどころなの?と今の感覚では思ってしまうが、その話を聞いたクラスの連中も、あの先生らしいと大爆笑だった。
そのくらい、当時は抹茶を調味料的に使うなんてことは誰も考え付かなかったのだ。
まぁ、水やお茶なんてタダで飲むもの、っていう時代だったしね。
そんな訳で、美味しいスイーツを食べたら、さっきまでの不機嫌もすっかり治まった。我ながら単純だな。
時間は夕方に差し掛かろうか、と言う時間だった気がする。カミさん的には出発前に行きたいと思っていたところは大体行けた、と言っているが、まだもう少し観光できる時間がある。
青蓮院門跡のライトアップ:
店内でガイドブックをめくり、どこか行きたい所がないか調べていたら、カミさんからライトアップしている寺を見に行きたい、と言われた。
ライトアップか、なんか浮かれ電飾を見てもしょうがない気がしてあまり気乗りしなかったが、折角だし行ってみるか、と近隣でやっているところを探したら、青蓮院門跡 (しょうれんいん-もんぜき)なるお寺でやっているのを見つけた。
場所は少し前に散策していた南禅寺の近所らしく、来た道をまた戻るような感じなってしまうが、距離的には大したことなさそうなので、食後の腹ごなしを兼ねてブラブラ歩いて行ってみることにした。
30分位歩いて到着。既に日はどっぷりと暮れて、ライトアップにはベストな時間になっていた。
門跡と言うのは、皇室や摂関家の子弟が入寺する寺院のことだそうだ。そう言われてもピンと来ないが。。。
夜間の写真なので、この後暫くぼんやりした写真が続くが勘弁願いたい。当時は夜景を綺麗に撮影する方法を知らなかったのだ。
入場料を払って境内に入ると、順路に沿って拝観できるようになっていた。その要所要所で庭園や大木などがライトアップされている。
ライトアップと聞いて、街中のクリスマスイルミネーションみたいなものをイメージしていたので、そんな浮かれているもの、、、という先入観があったのだが、お寺のライトアップはそんな下品なものではなかった。
その途中で見た大クスノキのライトアップは見事なもので、しばし見とれてしまった。
また、庭園ではスポットライトを巧みに使った動きのあるライトアップがなされていた。これもまた幻想的だった。
そして、竹林のライトアップ。
竹は成長すると下の方にあまり葉を付けなくなるので、密集した竹林を下からライトアップすると凄く空間が強調された雰囲気となる。
ひどい写真で恐縮だが、境内の鐘つき堂の鐘は自由に撞いてよいということだったので、2人で1回ずつ撞かせてもらい、時ならぬ鐘の音を響かせてしまった。
と言っても、鐘を撞いたのは我々だけではない。こんな時間にも関わらず順番待ちが出来ていて、次々と打ち鳴らすので、除夜の鐘状態になっていた。こうして撞けるということは近隣住民との合意が取れているのだろうから大丈夫とは思うが、なんか軽い罪悪感があった。
最後に再び駅に歩いて戻る道すがら、鴨川の河川敷を歩いた。ここはカップルが川べりに腰掛けて風情ある景色を眺めながら親睦を深めあう場所として有名。
この日も点々と並んで腰かけているカップルを見かけた。ウチらも。。。と思ったが、昨日も遅かったので、今日は早く宿に戻ってゆっくりしたいと言うことで、彼らを横目に駅へと向かった。
明日は、最終日である。