三都物語【4】(2004/05/04)
水上バスと大阪城:
2004/05/04
行き当たりばったりな旅路も今日が最終日。夜には再びムーンライトながらで東京へ戻ることになっている。
三都物語のうち、兵庫と京都の散策は無事?に終えたので、残るは大阪の散策である。と言っても、正直大阪で観光といってどこに行けばよいかあまりピンときていなかった。
取り合ずホテルをチェックアウトし、まずは水の都大阪をのんびりと巡る水上バスに乗って大阪城へ行ってみることにした。
水上バス乗り場は淀屋橋にある。そこまで行って水上バスに乗船。
今日は天気がちょっとぐずついている。時折雨もぱらついてきて傘が手放せない。なので水上バスなら、雨の中歩かずに済むし、のんびり移動で時間つぶしもできてよいかなと考えた訳だ。
水上バスは川を航行するので、橋をくぐれるよう平たい構造になっている。室内は天井まで回り込むにガラスによってパノラミックだが、いかんせん天気が悪いので、見える景色はのっぺりしている。
この水上バスは自分が小学生の頃、父に連れてきてもらった折に一度乗っている。記憶はもはや朧気だが、楽しかった記憶がある。
カミさんは何となくあまり気乗りしていなさそうな顔をしていた。それが旅の疲れによるものなのか、そもそも水上バスに興味がなかったからなのかは今となっては分からない。
そんなこんなで大阪城のほとりで下船。下船したら雨が酷くなっていた。傘をお猪口にするような風も吹いてきてテンションが下がる。。。
まぁ、めげずに大阪城の天守閣に登ってみることに。
ちなみに、この先暫く小さな写真での掲載が続くがご了承のほど。と言うのもこれらの写真の原本をロストしてしまったのだ。
かつてのサイトに掲載していた写真が唯一の生き残りとなったのだが、当時は掲載する写真を320*240ピクセルにしていたので、このサイズの写真しか手元に残っていないのだ。。。
それはさておき、大阪城の天守閣は最上階まで登れるようになっていて、そこから市内を一望することが出来る。何とかと煙は高い所が好き、ということでこういう所に来るとつい登ってみたくなる。
まぁ、天気が優れないので、写真も微妙な物しか撮れなかったが。。。
天守閣の展望台を一周して降りてきたら、さっきまで降り続いていた雨が小雨になっていた。
天守閣前の広場を通りかかった時、若手の芸人が漫才をやっているのが見えた。やっぱり大阪はこういうのが普通にあるんだな、などと思いながらちょっと聞いてみることにした。
ステージではクワバタオハラっぽい雰囲気の2人組の女芸人が漫才を披露していた。だが、ボケもツッコミもなんか煩いだけで、味わいはなかった。なのでそのドツキ漫才を見たらもういいや、となった。
美舟:
そういえば昼時である。折角だから何か食べて行こうか、とカミさんに話を振ると、じゃあ、お好み焼きは?と意見が出た。いいね。
ただ、どこで食べればよいかが分からない。暫くその場で思案したが、これと言って名案が浮かばない。
と、カミさんが何か思いついたように踵を返して、背後でテントを出していた写真屋に向かった。そしてそこで店番をしていた兄ちゃんに、
「この辺でおすすめのお好み焼きの店とか有りますか?」
と質問した。おい、そこ写真屋だぞ。さっきの女芸人よりおもろいやんけw
相手は関西人、なにゆーてんねん!的なツッコミを期待しつつその成り行きを見守る。
「お好み焼きですかー。雰囲気があって好きなのは梅田にある『美舟(みふね)』ってトコで、そこがおススメですね。もー、ほんっとうにきったなくてしょーもない店なんですけどね、結構良いですよ。店はホンマにしょーもないですけどね。」
答えるんかい!こっちがツッコミそうになったw
でもいい兄ちゃんだった。まさかそんな気さくに教えてくれるとは思わなかった。しかも何度も「しょーもない」を連呼している。
しょーもない店がまずい訳がない。その兄ちゃんをしてうまい、と言うのだから間違いないだろう。
ということで、お礼を言って、急遽梅田へ移動。
地下鉄を梅田で降りるが、梅田はとてつもなく地下街が発展している場所で、目的地最寄りの出口になかなかたどり着けなかった。
暫く迷っているうちにようやくそれらしい出口を見つけ、そこからアーケードになっている商店街を歩いて行ったら、人だかりが出来ている店が見えてきた。
その店の軒先に「美舟」と書かれた暖簾が出ていて、ようやくたどり着けた。
店は数人の順番待ちが出来ていた。でもおススメの店だから列に並んだ。20分ほどしたら声がかかり2Fのテーブル席を案内された。
外観といい、店内といい、大阪城の兄ちゃんが言っていたとおりの昭和テイストあふれる古臭い雰囲気を漂わせていた。
やさぐれたオッサンがビールを傾けながら、お好み焼きをチビチビ食べつつナイター中継を見る、的な店である。もう、たまらんね。
注文したのはお好み焼き2枚と焼きそば。ある程度店員が焼いてくれて、それをハフハフ言いながら頬張る。生地がふんわりとしてとても美味い。
食べている間、ずっと下の階に順番待ちをしている人が見えていた。なので、食べ終わった後も落ち着けないまま店を出た。
後に調べてみたら、ガイドにも登場するようなお好み焼きの名店だったらしく、普段もっと激しく並ぶとのこと。知らぬとはいえ、あの程度の行列で入店できたのはラッキーだったようだ。
生八つ橋(黒ごまあん):
さて、もうやることがなくなってしまった。でもまだ半日ばかり時間がある。とりあえずお土産の手配がまだだったので、買い物の時間を作ることにした。
近隣のデパートをぶらぶら歩きまわってお土産を物色。だが、カミさんはやっぱりほとんど何も買わない。徹底しているなぁ。
一方自分は、何年か前に大阪か京都を訪ねた折に土産に買った、ゴマあんが入った生八つ橋を買いたかった。ただし、いつどこで買ったのかは全く覚えていない。お土産として買ったくらいなのだから、あちこちで売られているのだろう、くらいの軽い気持ちでいたのだが、いくつかのデパートを訪ねても全然売ってない。
あれば幻だったのか?
なんだかんだ、2時間近くあちこち探して回ったが結局見つからなかった。気が付けば夕方になりつつある。昨日は自分が不機嫌だったが、今日はカミさんが不機嫌になってしまった。そりゃ同じことやってるんだから不機嫌にもなるよな。
もう夕方のこの時間からでは仮に見所があっても行く時間がない。なので、もう諦めて帰路に就くことにした。とはいっても帰りの列車はまだだいぶ先である。
大阪駅の改札を通り駅構内に入る。そこでも往生際悪く駅の土産物屋をちょいちょい覗いていたら、そこで売られてた。
そうか、駅で買っていたのか。。。自分はようやくお目当ての土産が買えたので満足できたが、カミさんは大いに呆れていた。
京都タワーと地下の銭湯:
残りの時間でどこかで風呂に入ろう、ということになった。と言ってもこの辺りの温泉やスーパー銭湯はよく分からない。そこで確実に知っている京都タワーの銭湯に行ってみることにした。ついでにタワーも登るか。
京都タワーは京都の駅前にドーンと立っている。新幹線のホームからもよく見えるので、知っている人も多いと思う。
タワーと言ってもそれほどの高さがあるわけではなく、なんかわざわざ登るほどの物かな、と思って今まで登ったことがなかったのだが、登ってみたら、京都市内の夜景が一望できる、またとないビュースポットだった。
もっと早く来ればよかった。
展望台を一周して市街地の夜景を堪能したあと、地下の銭湯に向かった。
タワーの地下に銭湯というのもなんだか不思議な組み合わせだが、以前からそこにあることは知っていた。もちろん入浴経験はないのだが、行ってみたら昭和で時間が止まったレトロな雰囲気が色濃く残る、ちょっと退廃的なムードすら漂わせる濃い場所だった。こんないい所だったなんて。
待ち合わせ時間を決めていったん解散。お風呂は温泉ではないのでそれなりだが、広い湯船にゆっくり浸かったら、ここまでの旅の疲れが充分ほぐされた気がした。もっとも、この後また座席の列車で夜を明かすことになるわけで、家に着く頃にはヘトヘトになっていると思うが。。。
それはさておき、カミさんの思いがけない長湯によって集合が遅れた。今から大垣へ向かっても列車の時間に間に合わない。
やむを得ず、京都から名古屋まで新幹線で移動して、先回りをすることにした。
名古屋で道中のつまみを入手してホームで待っていると、定刻にムーンライトながらが入線してきた。
今回は定期の列車の方なので、車両も新しい373系だった。だいぶ快適。旅が終わってぼんやり車窓を眺めていたらいつの間にかウトウトしていた。
(おわり)