茨城・千葉の私鉄探訪【2】(2008/02/02)
2.鹿島鉄道その後
昼食後、次に向かったのは昨年廃止となった鹿島鉄道である。廃止前に在籍していた車両の一部が旧鉾田駅の敷地内に留置されていという情報を聞いたので、それを見に行こうと思っている。ついでに廃止後の状況も見に行ってみたい。
事前調査では始発駅の石岡は既に更地になっているということなので、とりあえず鉾田駅から。
存在しない鉄道路線となってしまったのでネットの地図上からは既に消去されてしまっているが、自分のカーナビはそれより古いものなので、今もって検索が可能。古いナビもたまには役に立つものだなw
鉾田駅の駅舎も既に取り壊されていた。敷地の一角はバスターミナルになっているが、線路は撤去されておらず広場にぽつんと2両の車両が保管されていた。
ひとつ目はキハ600形601。前回訪問時は車庫の中に停められていたので、あまりきれいに撮影できなかったが、ようやく近寄って見ることが出来た。車体は小ざっぱりとしていて一昔前くらいの車両のように見えるが、元々は1936年製造の国鉄キハ07であり、既に車齢は72歳に達している。
サイドの扉や窓の造りなどはキハ07の印象を良く残している。実は現役当時は日本最古の気動車だった車両だ。それがここまで小奇麗に維持されているのだから、それだけメンテナンスが良好だったのだろう。
真横から見ると車体の中央部がわずかに垂れ下がってきている。これは軽量車体ゆえ老朽化に伴って下がってしまったのだそうだ。
貴重な車両だけに地元の有志の間でどうにか保存していきたいという意向があるらしく、この駅前を鉄道公園にしたいと各所に働きかけているらしい。
実現の可能性についてはまだ何ともな状況らしいが、どうにか話がまとまった時に車両がボロボロでした、では困るので大切に維持しているらしく、防犯カメラを設置している旨掲示されていた。
もう1両がKRー500形505だ。こちらは鹿島鉄道では最新式の車両で車齢もまだ20年に達していない。もとより車両を丁寧に取り扱う社風であるせいか車両に目立った傷みもない。
なので廃止後にどこか別の私鉄に引き取られるものと思っていたが、何故か鉄道会社で引き取りに名乗りを挙げる所がなく、保存会による買取りの他は解体処分となってしまった。
鉾田駅跡での収集はこの2両のみ。続いて沿線の主要駅のひとつであった常陸小川駅跡を見に行ってみることにした。
ちなみに鹿島鉄道には坂戸という駅がある。鉾田から石岡方面に一つ目となる駅である。
自分が育った町である埼玉県の坂戸と同じ駅名だ。子供の頃に時刻表の路線図でこの駅を見つけて以来、チャンスがあれば見に行ってみたいと思っていた駅だ。折角ここまで来たのだからついでに見に行ってみよう。やや遅きに失した感はあるがようやく願いが叶う。
で、こちらが鹿島鉄道の坂戸駅跡。駅の周辺はほぼ畑と民家しかなく、何度か道を間違えながらようやくたどり着いた。
ローカル私鉄の一駅に過ぎない駅だけにホームと小さな待合所しかない。駅名標も既に撤去済でここが坂戸駅だったことを示すものは何もなかった。でもとりあえず茨城の坂戸駅をこの目で見ることが出来て満足。
で、その後常陸小川駅にも行ってみたのだが、きれいさっぱり更地になっていた。こちらはこれと言った収穫もないまま、先に進むことになった。
3.鹿島臨海鉄道
鹿島鉄道の散策を終えて続いて見に行ったのは、神栖市にある鹿島臨海鉄道の貨物ターミナルである。
鹿島臨海鉄道の一般車両は6000形に統一されていて、あまり見どころは少ないのだが、マリンライナーはまなす号と呼ばれる7000形車両が1編成だけ存在している。だが、現在は殆ど運用に就くことはなく休車状態になっていて本線上で見かけることはまずない。
で、グーグルマップの出番である。航空写真で線路に沿ってスクロールして行ったらここに車両基地があることが分かった。
というわけで車両基地までやって来た。線路際から写せるならそれでもよかったのだが、思いのほかターミナルが広く車両も奥の方に留置されていて、自分のカメラでは目いっぱい望遠しても小さくしか映らなさそうだった。
そこで道路沿いにある事務所にお邪魔して中にいた係員に見学希望の旨を申し出てみたところ、見学の許可を頂くことが出来た。ただし現在貨車の入れ替え作業を行っているので、それが済んでからで良ければ、とのこと。
それまでの間、車庫の方は見学可能ということだったのでありがたく見学させてもらうことに。
今回はカミさんも同行している。流石に付近に何もない場所なので時間が潰せないと思ったのだろう。
最初に見かけたのは鹿島臨海鉄道所有のディーゼル機関車であるKRD64形64-1。
こちらはKRD形KRD4号機。こちらも同様。
そして旅客車両はこの6000形1種のみ。
暫くこれらの車両の撮影に勤しんでいたら背後の機関車が動く音が聞こえなくなった。入れ替え作業が終わったようだ。ということでマリンライナーはまなすの置かれている方へ行ってみることにした。
特に係員から作業完了の報告を受けた訳ではないのだが、操車場内に人の姿もあるのでもしまだ作業中なら立ち入る前に制止されるだろう、と判断。
意外にもこんな所にJRの411系が留置されていた。なぜこんなところに?と思ったが、線路わきには解体したものと思しき部品が積まれているのが見えたので、車両解体も請け負っているのかもしれない。
そして、これがマリンライナーはまなす号で使われていた7000形である。ご覧のようにジョイフルトレイン的な作りの車両だ。東海村に原子力関連施設が建設されたことによる交付金を利用して製造したものだそうだ。
そういう棚ボタ的車両なのであまり思い入れがないのだろう。当初は快速列車に充当されていたが、快速運転の取りやめと共に定期運用を外されてしまった。使わないならウチにくれよという会社もありそうな気がするが、こういう所がうまく回っていないなと思う。
ま、いずれにしてもこの車両はなかなかお目にかかれないレア車両なので見れてよかった。
で、撮影を済ませて詰所の方に戻ろうと思ったら、200mくらい向こうの方に停められた貨車の脇にいた係員が、こちらの方を向いて何か伝えようとしているのが見えた。
よく見ると手旗で×のサインを出している。あら、また作業始まるのね、ということで邪魔にならないよう線路外に立ち退いた。
そしたら今度は詰所の方から作業員が自転車に乗ってすっ飛んできた。我々やらかしたか。。。
我々の元にやって来た係員から、線路内は危ないから立ち入らないでください、とお咎めを受けてしまった。あれ、入れ替え終わったら見ていい、って話じゃなかったっけか。
どうやらコミュニケーションロスが発生していたらしい。過失ではあるのだが立ち入ってしまったのは事実なので、丁重にお詫びしてから退場。。。