鳥取ドライブ【10】(2022/08/15)
そんなに大きな島ではないが、うっそうとした森におおわれている。御蔵島のような絶望的な絶壁、と言うほどではないが、全体的に急斜面が多く、何となく、取り付く島もない、と言う言葉がしっくりきそうなシルエットをしている。
船は徐々に島へと近づき、島内に建てられた寺社仏閣の姿もよく見えるようになってきた。ちょっとした入り江のようなところの斜面に転々と寺社が軒を連ねている。一番上に見えるお寺まではなかなか高度差がある。あそこまで登るのか。。。
やがて速度を落とし接岸。自分の島旅95番目の島は竹生島であった。前回の島上陸は2018年の仁右衛門島であるから実に4年ぶりである。
島に船が接岸する瞬間というのは、いつ来ても自分がこれからどんなものを目にするのだろうかという期待で胸が高鳴る。
帰りの便は竹生島12時発なので、滞在時間は1時間とちょっと。一応、12時の便に乗り遅れても、13時55分にもう一便あるので、島で足止めとなることはないが、3時間もこの小さな島で時間をつぶせる気がしないし、先の行程にも変更が発生するので、12時戻り厳守である。
竹生島は寺社仏閣のみの島であり、定住者はない。琵琶湖八景のひとつ「深緑 竹生島の沈影」の地として知られている。
港周辺にごくわずかな平地があるが、すぐに斜面となり、その斜面に沿って建物が窮屈そうに軒を並べている。
平地部分には、茶屋が数軒と通路、トイレがあるのみである。
茶屋の並ぶ通路を抜けるとゲートがあり、そこから先は有料となる。料金は大人600円、子供300円とのこと。
島に来て茶屋でお茶だけ飲んで帰る人などいる訳ないのだから、乗船料金に含めておいてくれたらいいのに。。。
とりあえず拝観券を購入してゲートを通過する。と、この階段である。まずはこの階段を最上段まで制覇しなければならない。
とはいえ、途中に鳥居や手水、月定院、巳月館などがあったりするので、休み休み登る感じでそれほどしんどくはなかった。
階段を一番上まで登ると、狭い敷地にやや窮屈そうに立つ本堂が見えてくる。ここは宝厳寺という寺である。
この寺は日本三大弁天の一つであるそうだ。
中では坊さんがしきりにお経を唱えていて、寺に来たな、という雰囲気が盛り上がる。
お参りを済ませた後、すぐにチビからおやつコールがかかった。ここは筑波山じゃないんだぞw
でもまぁ、折角なので敷地の一角でおやつタイム。持参したスナック菓子をほおばる。
菓子を食べながら、なんだかお伊勢参りの後のおかげ横丁みたいだな、と思った。
お菓子休憩が終わったら散策を続行。宝厳寺本堂の向かいに建つのが宝厳寺三重塔。6年の歳月をかけて2000年に再建されたものだそうだ。
それから右に続く参道へと進む。するとほどなく港が見える下り階段になり、そこを降りると、一旦踊り場になる。
踊り場の右手の建物は観音堂である。
手前の荘厳な装飾がほどこされた建物は唐門と呼ばれ、重要文化財に指定されている。この唐門は豊臣秀頼によって建造された京都豊国廟の一部を移築したものだそうだ。
観音堂でお参りをして、背後の階段を下ったら・・・港に戻ってしまう。まだこの島のもう一つの寺社である都久夫須麻神社が見れていない。道を間違えたかと思い、辺りを見回すが、それらしい通路が見えない。
はて、と思っていたら観音堂の建物の中から参拝客が姿を現した。もしかしてここ?と思い、建物内のお堂の脇の通路に進んで見ると、その先に渡り廊下が続いていた。
この廊下は舟廊下と言う名前で、これも重要文化財とのこと。
その廊下を渡ると神社の拝殿が見えてくる。ここが都久夫須麻神社本殿である。読み方は「つくぶすまじんじゃほんでん」。何となく、つくぶすま→ちくぶしまと変化したことが読み取れそうな名前だ。
本殿に脇から進入した形になってしまったが、順路がそうなっているのだから仕方がない。ここでもお参りを済ませる。
ちなみに本殿の柱には「竹生島神社本殿」と書かれている。実際には都久夫須麻と竹生島はあまり区別していないのかもしれない。
背後を振り向くと、20段ばかりの階段があり、そこを下るともう一つ建物がある。
ここは「八大竜王拝所」という。拝観券の裏面に島内の地図が掲載されていて、そこには「竜神拝所」と書かれている。なんだろ、名前を統一しないのは何か理由があるのだろうか。
それはさておき、ここの拝所でかわらけ投げができる。かわらけ投げと言えば京都の神護寺が有名だが、かわらけと呼ばれる素焼きの皿のようなものに願いを書いて、広縁から外に向かって投げることで厄除けが出来る。
厄を感じているかどうかは不明だが、かわらけを投げてみたいというチビからのリクエストにより、一投げしてみることにした。
受付で申し出てかわらけを2枚貰う。そのうち1枚に名前を、もう1枚に願い事を書くのだそうだ。
チビがなんて書くか見ていたら厄除け祈願ではなくて、単純な願い事だった。そういうのを書くのじゃないんだよ、なんて野暮なことは言わない。
書き終わったら広縁に出て、そこから外に向けてかわらけを投げる。
広縁の足元に突き出た小さな尾根に鳥居が設えられている。その向こうに琵琶湖の茫洋たる湖面が広がる。良いポイントでもあるのかボートで釣りをしている人もいる。
思わず遠くへ飛ばしたくなりそうだが、それでは趣旨が変わってしまう。眼下の鳥居へ向けて投げさせてみる。まぁ、だいぶ手前に落ちた感じだが、、、願い事叶うといいね。
これで、島の施設は一通り一巡できた。あとは港に戻って帰りの船を待つばかり。無事間に合ったようだ。