奄美大島上陸【5】(2007/09/20)
MTB&マングローブカヌーのツアー:
2007/09/20
奄美大島2日目の朝を迎えた。今日はMTB&マングローブカヌーのツアーを申し込んでいる。このツアーはアイランドサービスという業者がやっているツアーなのだが、西表島で体験して以来もう一度カヌーを漕いでみたいというカミさんの希望と、奄美の山中をMTB(マウンテンバイク)で駆け抜けてみたいという自分の希望を両方ともいっぺんに叶えられる面白いツアーだったので申し込んでみたものである。
昨日のナイトツアーがどうにも消化不良に終わってしまったので、ぜひとも今日のツアーでそのモヤモヤを発散したいところだ。
カヌー体験は奄美大島の中南部にある住用という地区でやるそうだ。現地までの移動は業者が宿まで迎えに来てくれるので集合時間に宿の外に出て業者の到着を待った。ほどなくワンボックスに乗った業者の人が到着し、あいさつもそこそこに車に乗り込んで出発。今回のツアー参加者は我々だけだった。
中北部にある名瀬の市街から住用地区まではたっぷり45分ほどの距離があった。45分運転しても島の半分も進めないのだからやはり奄美大島は大きい。
アイランドサービスの事務所に到着。ここで手続きなどを済ませて不要な荷物をデポして出発である。
住用地区は以前は住用村(すみようそん)という独立した自治体だったが、平成の大合併により名瀬市と合併して奄美市の住用町となっている。
元々村だった場所だけに人口は希薄で、どこまでも続く山なみに挟まれた狭い平地に田畑が広がるようなのどかな場所だ。
この辺りを流れる川の河口地帯には住用マングローブ林と呼ばれる日本有数のマングローブ林が広がっている。川の流れが穏やかなところをカヌーでのんびりと漕いでいくのが今回のツアー。
自分もカミさんも西表島で一度体験しているので操作は手慣れたものだ(と思う)。
ガイドに用意してもらったカヌーに乗り込みゆっくりと漕ぎだす。
漕ぎだした場所は役勝川の河口付近で、流れも波もほとんどない湖のような場所なので漕ぐのに苦労はない。
西表島では水濡れを危惧してカヌー乗船中は水中撮影対応の使い捨てカメラで対応したが、今回はデジカメを持ち込んだ。前回の体験でバランスのとり方はマスターできたと判断したからである。もしこれで転覆したら一巻の終わりだが。。。
ほどなくガイドが支流のようなところに入って行った。支流は用水路のような狭さで両岸に生い茂るマングローブがまるでトンネルのように覆いかぶさっている。何とも野趣にあふれる水路だ。
水深がほとんどないからパドルが容易に底に着いてしまう。なので水を掻くというよりは地面を掻くような感じだ。できるだけパドルを水面に近いところで掻いて水面を払うようにして進むことを心掛けた。
いつの間にか岸に寄りすぎていたらしくうっかり座礁させてしまった。リカバリをしようとパドルを岸に当てて押し返そうと思うまもなく、ガイドが気付いてカヌーから降りて水中をざぶざぶと歩いてきた。やっぱりすごく浅い。ですぐさま自分のカヌーの舳先を移動してくれた。
容易に足が付くくらいの深さしかないので、それこそガイドのようにサンダルでも履いていたらざぶざぶと歩いて散策することも出来そうだが、水面に近い所からの視線を楽しめるのはカヌーならではかもしれない。小さな探検者にでもなったような気になる。
漕いでいるとガイドがふと岸辺を指さした。その方向に目を向けると蟻塚のようなものがあった。だがこれは蟻の作品ではなくアナジャコが作ったものだそうだ。巣穴を作るために地面を掘って掻きだしたものがこうして積み上がっている。高さは5~60cmほどもあり、そこまで執拗に掘らなくてもと思うが。。。
次第に林の奥の方へと入っていきマングローブはいよいよ水面の上にまで陣地を広げ始めた。こうなるともはや藪の中のハイキングみたいである。木々の隙間を縫うように進むのでパドル捌きに慎重さを求められた。
それからほどなくちょっとした中州のようなところに上陸した。徒歩で付近のマングローブ林を散策しつつ小休止。
と、その辺をウロウロしていたガイドがふと何かを手渡してきた。
それは貝だった。。。といっても妙にデカい二枚貝だ。写真のとおりハマグリよりもさらに大きく、恐らくホンビノス貝と同じくらいのサイズがある。
だがこれはシジミの仲間でヤエヤマヒルギシジミという貝だそうだ。お前シジミなのか。シジミと言ったらみそ汁に入っていても身が小さいので食べずに捨てられてしまうこともあるような残念な貝だが、この大きさはどうしたことだ。よほど天敵がいないのだろう。
これだけデカいとさぞ食べ応えがありそうだが、聞くところによると食べてもあまりうまくないということだ。
小休止を済ませたら再びカヌーに乗り込み、出発地点へと戻ってカヌー体験は終了。
もっと乗っていたい気もしたが午後にMTBツアーが控えているので致し方なし。
鳥しんの鶏飯:
出発地点に戻ったらお昼時になっていた。このツアーは昼食付きで奄美大島の郷土料理である鶏飯と言うものを食べさせてくれるらしい。
ちなみに鶏飯と書いてかいて「けいはん」と読む。「とりめし」ではない。
その店は名瀬の市街にあるので一旦名瀬まで戻ることに。もっともこれは昼食を食べるためだけではなくワゴンにMTBを積み込むためでもあるそうだ。
そのバスの中でガイドと色々雑談をした。
ガイド氏は大阪出身の方で現在は奄美に移住しているそうだ。奄美での暮らしの苦労話や、芸能人がロケに来て案内した話などを聞かせてくれた。
かつて某有名女優をガイドしたことがあるそうだ。その女優はきれいでテレビの見た目以上に痩せて見えて凄かったが、隙あらばタバコを吸うヘビースモーカーで意外な一面を見た、とかそんな話まで披露してくれる。
昨日のガイドと違って一歩引いた視点で物事を捉えている風でなんか飄々としている。そのくらい気負わずにやる方がこういう島ではうまく馴染めるのかもしれないなと思った。
前日のナイトツアーの話になった。ツアーに行ったはいいが、アマミノクロウサギは見れないしガイドから怒られたしで散々でした、と話すと、
「車は何で行ったの?マイクロバス?だったらその辺の舗装された林道とかでしょ、そんなとこじゃ見れないよ。アマミノクロウサギはもっと山奥のジープとかじゃないと入れないようなところにいるから、マイクロバスなんか乗って行ったってまず見られないよ。」
とのことだった。あの業者、見られないの知ってて催行していたのか。なんかタチ悪いな。本当に見られると信じていたならそれはそれで勉強不足だ。
ま、そんなぶっちゃけ話を色々聞きながら名瀬まで戻り、連れて行って貰ったのが鳥しんという店。
我々はここで鶏飯を頂くことになっているが焼き鳥なんかも美味そうだ。
ちょっとピンボケな写真で恐縮だがこれが鶏飯である。鶏肉、錦糸玉子、薬味などの具をご飯の上にのせて、鶏で出汁を取ったかけ汁をかけてお茶漬けのようにして食べる食べ物だ。元々は島津藩の役人をもてなすために作られた料理だそうだ。
かけ汁は綺麗に透き通っている。地鶏を使わないとこの透明な汁にならないらしい。
見た目はお茶漬けのようだがお茶漬けとは全くの別物。かけ汁がめっぽう美味くて、しかもぶっかけ飯でさらさらと入っていくのでご飯が進んで困る。お櫃で出てきたご飯を2人でペロリと平らげてしまった。