[Inst-09] TUNE BE-5 5弦フレットレスベース

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MOONのJJ-5を手に入れて以来、5弦ベースの魅力にすっかり取りつかれてしまった訳だが、最初はベースのことについて何も知らなかった自分も、JJ-5を入手した頃からベースマガジンなどの雑誌も読み始めて情報収集するようになっていた。また、T-SQUAREのコンサートを見に行く機会も増え、須藤氏が様々な楽器を演奏している姿を見るようになった。

そうした中で、フレットレスベースというものがあるということを知った。
フレットレスベースとは、その名のとおりフレットがないベースである。フレットとは指板の部分に取り付けられている金属の棒のことで、これがあることで演奏時のピッチを簡単に安定させることが出来る。

そもそもエレキベースのルーツはコントラバスであり、コントラバスにフレットなんか付いていないので、フレットレスベースの方が本来の姿に近いのだが、エレクトリックバンドで使われるエレキベースは基本フレット付きなので、フレットがないベースを特にフレットレスベースと呼び分けている。

フレットレスベースの特徴と言えば、なんといってもアタックの少ない柔らかな音と、ピッチの微妙なずれによって生じるアナログ感ではないだろうか。とにかく、アコースティック調の曲や、バラードなどのメロウな曲においてその真価が発揮される楽器である。
(とはいえ、ベースの神様と崇め奉られるジャコ・パストリアスはパンクジャズの世界でフレットレスペースを使っていたりするのだが)

その存在を知って以来、いずれ自分も手に入れたいと思ってはいたのだが、これまた最低でも15万円以上からという世界の楽器なので、そう易々と買えるものでもない。そもそもJJ-5のローンが終わっていないので、まずはそれが終わってからである。

2年ほどしてJJ-5のローンが終わり、改めてフレットベース購入のためにお茶の水に出向いた。何本かのフレットレスベースを試奏させてもらった中で、この楽器が色々高スペックであるにもかかわらず、値段が手ごろだったことを気に入って購入することにした。

このベースはTUNE(テューン)というメーカーが作っている。TUNEのベースはカシオペアのナルチョ氏が愛用している。氏の所有する楽器はベースギターという枠組みを根底から崩すような前衛的なものが多数ある。その要求に応える楽器を作り続けているメーカーだけあって、そのほかのモデルも割と前衛的なものを作りがちである。

この楽器も、ボディはスルーネック式で、そこに色々な材を貼り合わせたスタイルになっている。スケールは36インチのスーパーロングスケール仕様だ。ハムバッキングタイプのピックアップがおごられ、2つのノッチスイッチによって、サウンドのカラーを切り替えることが出来るような仕組みになっていた。

そうしたスペック的なところに魅力を感じて入手したのだが、フレットレスベース初心者が持つ楽器としてはやや手に余るものだった。何をおいてもスーパーロングスケールであるが故の演奏時の苦労が多かった。なにせこれまでのベースは全て35インチのロングスケールの物ばかりなので、体がそれで覚えているのだ。それらとはフレットの間隔が異なっているにもかかわらずフレットレスである。フレットレスベースを演奏する際に最も気を付けなければならないのはピッチの正確性なのだが、体が慣れていない楽器なので、ちょっと気を抜くとポジションがずれてピッチが外れてしまう。

その代わり、出音については、スーパーロングスケール+スルーネックの効果によって、深みのあるかなりウォームな音色を奏でることが出来るものだった。バンド内でもそうした曲調の曲で積極的に使って、バンドカラーの鮮やかさを演出するのに一役買っていた筈、と自負している。

まぁ、これはこれで気に入って使っていたが、出る音についてはピックアップがハムバッキングタイプであることもあり、いわゆるジャズベースのフレットレスの音とはずいぶんと異なっていた。

暫く使っているうち、普通のジャズベースタイプの音が欲しいなと思うようになってきた。いかん、耳が贅沢になってきている。。。
そんなある時、件の彼女から衝動買いで購入して以来、使い道が無くて眠っているというサドウスキーのフレットレスベースを譲って貰えることになった。

その話はまた改めてエントリするが、まぁ、譲って貰ったのは良いのだが、当時色々資金繰りが苦しくてお金が払えなかった。半年ほどで彼女がしびれを切らして返却を求められたので、その折にお詫びのしるしということで、このBE-5も一緒に渡してしまったことから、このベースも過去帳入りとなってしまった。

Posted by gen_charly