新島・式根島・神津島上陸【7】(2014/05/03)
オンボロプレオに乗って島内観光に繰り出した。
まずは、島の北にある若郷集落に行ってみることにした。キャンプ場の前を通る都道を北進すると「平成新島トンネル」という長いトンネルあり、坂を下ってもう一つ「若郷トンネル」をくぐると若郷の集落となる。
島の外れの集落ということで小ぢんまりとした集落をイメージしていたが、建物が沢山立ち並んでいて、思ったよりも大きい集落だと思った。とはいえ、1キロ程のメインストリートの両側に建つ家々がそのほとんどなので、本村に比べれば大分小さい集落である。
道をどこまでも進んでいくと、突き当りに神社と小学校があった。
小学校はつい最近建てられたような小奇麗な建物だが、昭和55年には創立100周年を迎えている歴史のある学校だ。
ただ、現在ではすでに廃校となっており、校舎は公民館として使われているとのこと。
また、突き当たりの神社は宮造神社というらしい。集落の規模と比べるとかなり立派な造りで、普段からしっかり管理されているのか参道には落ち葉ひとつ落ちていない。
参道の階段を上ると、腰が直角に曲がったおばあさんが灯篭の横で何かごそごそとやっていた。参拝を済ませておばあさんに挨拶すると、最初はこちらをじっと見たまま黙っていて、警戒されているのかなと思い、つとめて爽やかにもう一度挨拶すると、今度は挨拶を返してくれた。
続けて立派な神社ですね、と言うと、おばあさんは少し間をおいて、ここは島の神様だからお参りしていくとよい、と教えてくれた。それから問わず語りで、若い人が島を離れてしまったので自分がお参りを続けていること、ひざも目も悪くなってしまったのでここまで来るのも一苦労だということなどを教えてくれた。
おばあさんが参道の階段を降りようとしたので、手助けを申し出ると、一人で階段を下りるのは大変だけど手伝ってくれる人もいないから、普段は自分の膝を杖の代わりにして降りているんだ、とひざに手を付いておどけて笑った。
このページで通ったルートのGPSログ
おばあさんに別れを告げて、再び集落の散策を続けた。
今度はいったん海岸の方に出てみることに。
新島と言えば真っ白な砂浜のイメージだが、ここは安山岩が多いのか濃いグレー色をしている。
海岸に沿って歩いていくと、渡浮根港(とぶねこう)の堤防が見えてきた。
その先で道は行きどまりになるはずなので、適当なところで集落へ戻ろうと思ったのだが、道が分岐していない。
何箇所か斜面を登る階段があるのだが、ここから集落に戻れるのか分からない。。。
戻れなかったら今来た道を延々戻らなければならず面倒だな、と思ったが、試しに登ってみたらあっけなく集落に戻ることができた。
都道に戻った場所が偶然集落に二軒ある商店のうちの一つ「ダイエイ」という店の脇だったので、ついでに覗いてみることにした。
店内に入って直ぐの目立つところにファンタが安売りされていた。価格は30円。
異様に安いなと思ったら賞味期限切れとのこと。賞味期限切れ商品を売ってしまうなんてたくましいなと思ったが、この手の食品は賞味期限がかなり早めに設定されているものなので、大して問題はないはず。もちろん入手した。
小腹が空いてきたので何か買って食べ歩きしようかと思ったら、レジ脇の惣菜コーナーで島寿司を見つけた。今までに小笠原と伊豆大島の島寿司を食べたが、双方味は大きく異なり、島ごとに違う味付けなのかもしれないということで、試しに買ってみることにした。
集落のメインストリートはこんな感じ。
絶壁の山が背後に迫る狭い土地に建物が密集して集落を形作っている。
その絶壁を擁する山は新島山(にいしまやま)と言い、島の中心集落である本村から見えるわけでもないのになぜ島の名前を冠しているのか少し不思議に思った。
このメインストリートを車を停めている宮造神社へ向けて歩いていくと、もう一軒商店を見つけた。ここは「前仙商店」と言う名前で、こちらも食料品雑貨全般を取り扱う店のようだ。
ガイドに「島のセブンイレブンと呼ばれている」と書かれており、ああ、集落内で品揃えが良い店だからセブンイレブンと呼ばれているのか、とその時は思っていたのだが、別のガイドに23時まで営業している島で唯一の深夜営業店と書かれていて、そういう意味なのかと得心した。
確かに殆どの店が19時前後に閉まってしまう昭和で時間が止まっているかのような伊豆諸島の島々において、23時までの営業と言うのは珍しい。
棚に「高級食パン」とプリントされた食パンがあったので見てみると、島内の「かじやベーカリー」と言うところで作っているパンだった。ここは新島の美味しいパン屋ということでカミさんが事前にチェックしていたらしく、買って行こうかな、と言うので、後でかじやベーカリー本店に行くよ、と教えたらそっちで買う、とのこと。
店を出たらそのすぐ先の路肩でおばあさんが二人、手押し車に腰掛けて井戸端会議をしていた。
よく見ると片方のおばあさんはさっき神社でお話したおばあさんだ。軽い感じで「どうもー」と声をかけると、また誰だかわからなかったのか一瞬きょとんとした顔をされてしまったがすぐに思い出してくれたようだ。
暫く取り留めの無いやり取りをした後、話の流れで、普段買い物はどこでしているのかとカミさんが質問すると、大体集落内の店で済ませているとのこと。
そこの店でパンを買おうか迷ったと言うことを話したら、そこで買っても良いけど、本村のパン屋のほうが安く買えるといい、その理由はここに運ぶための運賃が価格に乗せられているからだというようなことを教えてくれた。
話が長くなりそうだったので、程ほどのところで井戸端会議を中座して、小学校跡に戻ってきた。