八丈島上陸【16】(2014/09/21)

集落の途中で八丈島灯台方向に右折し、少し進むとみはらしの湯が、更に進んで港まで降り切ると洞輪沢温泉がそれぞれある。

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見晴らしの湯の前の道路からかすかながら70km沖に浮かぶ青ヶ島を見ることができた。見えるとは思っていなかっただけに感動もひとしお。
この島もいずれ訪れてみたい島の一つだが、その日はやってくるのだろうか?

自分が興奮して何枚か写真を撮っている間に、次々と車がみはらしの湯に入ってくのが見えた。我々も一旦はみはらしの湯に移動したのだが、駐車場が混雑していて中のお湯がどんな状況になっているか容易に想像できる。
そういえば、昨日末吉でサーフィンの大会があったと聞いていたので、その人たちが集結しているのかもしれない。

洞輪沢温泉も見てから考えるか、ということになり一旦洞輪沢港まで降りてきた。

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温泉は漁港の一画にあり、水色に塗られた建物は遠くからでも目立っている。何の飾り気もなくそこにあるので、ちょっとした番屋か加工場のようにも見える。
見晴らしの湯を敬遠してやってきた自分らみたいな人がいるかと思いきや、こちらは周囲に停められた車もなく空いていそうだったので、すんなりとここに入ることに決まった。

この温泉は本来は地元の人が入るために作られたものらしいのだが、一般にも開放されている。脱衣所のカゴに一人分の洋服が置かれていたので、先客がいるようだ。
服を脱いで浴室へのガラス戸を開けると地元のおじさんが入浴していた。

軽く挨拶をして湯船に入る。お湯は適温、実に気持ち良い。
壁に通された配管からジャブジャブとお湯が供給され、同時にしきりにゴポゴポと音を立ててガスのようなものを吐き出している。

こんな手作り風の温泉でも、外にはちゃんと泉質が書かれた表示板が掲げられていた。それによると泉質はカルシウム・ナトリウム一炭酸水素塩・塩化物温泉と書かれている。

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ここも裏見ヶ滝温泉と同様、成分無調整のかけ流しのようだ。そう考えるととても贅沢な感じがする。浴室の壁のタイルは温泉の成分がこびりついて茶色く変色していた。

ちなみに、かけ「流し」だけに、あふれたお湯はそのまま海に流しているそうなので、石鹸は使用禁止。このへんも裏見ヶ滝温泉と同じシステムだ。

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ご覧の通り、窓からは漁港が丸見え。

おじさんがほどなく上がっていったのでそれからは貸切だった。
源泉かけ流しの温泉を独り占めなんてなんて贅沢。

満足いくまで堪能し風呂から上がると、未だ二人は入浴中だったので、出てくるまでの間少し近所を散歩してみた。付近には汐間温泉名古の滝と言う見どころがあるらしいのだが、そこに続く断崖沿いの細道は時折波がかぶって歩きにくそうだったのであまり奥まで行こうという気にならず、ちょこっと進んで折り返し。

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汐間温泉はその名の通り干潮時にこの辺りの海岸を掘ると温泉が湧き出るそうで、野趣ある入浴が楽しめるらしいのだが、最近はやる人も少ないとか。
まぁ、そこまで頑張らなくても、そこに快適な湯舟があるんだもんなぁ。

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再び戻る時に撮った写真がこれ。右奥がみはらしの湯や末吉集落方面になる。
高い崖と海に囲まれた僅かな場所に洞輪沢の集落は存在する。

こんな危険極まりない場所で生活するというのはどんな気持ちだろうか。自分だったらいつがけが崩れてくるか不安で居ても立ってもいられないと思う。
現にこうして写真を撮っている間もお尻のあたりがムズムズして落ち着かなかった。

その集落の一画、写真の中央やや右側の辺りは他よりも少しだけ土地が高くなっている。
大正6年12月に突然斜面が崩れて13名もの犠牲者を出した事故の名残だそうだ。

建物に戻ると2人も風呂から上がっていたのでぼちぼち出発。
既に何度か通過した大坂は夕日のスポットとして知られ、八丈八景のひとつ「大坂夕照(せきしょう)」として知られている。
夏場には八丈小島の辺りに沈む夕日を眺めることが出来るそうで、せっかくの天気なのでそれを見てから宿に戻ろうと思う。

と言うことで大賀郷方面へ走り出したら、すぐに名古の展望台と書かれた看板が見えた。
この展望台からの見晴らしは島内随一として知られ、さらに八丈島の焼酎「情け嶋」の試飲ができる場所だったはず。

見てみたい気もするけど、確か入場料を徴収されるんだよなぁ。
入場料を払ってまで見たい場所かなぁ、と思って見どころリストからは外していたのだが、折角近くを通ったのだからちょっと様子だけ見てみよう、と言うことで立ち寄ってみると、なんと無料で入ることが出来た。

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いつの間にか経営者が撤退したらしい。売店のような建物は入口の扉を固く閉ざし、人の気配がない。

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ここから見える景色は見渡す限りの大海原。ちょっとモヤがかかって少しぼんやりとした風景だが。。。
足元にはさっき入浴してきた洞輪沢温泉も見える。

確かにすばらしい眺望だ。
が、やっぱり入場料を払ってまで見たい景色かと言うとちょっと微妙かな。

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まぁ、こんな状況だから期待はしていなかったが、軒先に置かれた情け嶋の甕はやっぱり空っぽ。当然試飲もできなかった。
カギがかかった建物の中に明かりを煌々と照らした自動販売機が置かれているのが何ともシュール。

思いがけず立ち寄ってしまったので、大坂からの日没が見られるか微妙な時間になってしまった。

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都道をひた走って大坂を目指し、どうにか空が暗くなる前に到着。
ここも登龍峠に負けず劣らず絶景が展開されるが、肝心の夕日は。。。

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なんというか、残念。。。

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本来はこんな感じに見えるらしい。
季節ごとにどの辺に太陽が沈むのかを表したイラストだが、今時分だと晴れていれば真ん中と左側の間くらいに沈む太陽が見れるのだろう。

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しかし改めてよく見るとすごい構造だな。。。
折角橋を架けるのなら、このカーブをまっすぐ抜いたほうが構造がシンプルになると思うのだが。
旧道は斜面を削って心細く続いているが、その道を拡幅するでもなく、かといって一直線に一跨ぎするでもなく、わざわざカーブに沿って橋を架けたのには何か理由があるのだろうか。

橋の上から足元を見るとはるか下に森が広がり、高所恐怖症の人は近づきがたい場所だった。

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ちなみに車を停めたのは、橋と並行する旧道の方だ。旧道を利用してちょっとした休憩所として開放されていた。

道の行く先を見ると、確かに、橋と比べると険しい感じのする線形である。

それはともかく、結局夕日を拝むことができないまま今日の宿泊地、民宿ひょうたんには18時過ぎに到着。

Posted by gen_charly