お伊勢参りと三河湾の離島めぐり【7】(2015/04/27)
さて、お参りのあとは花より団子の団子サイド、伊勢神宮と言えば参拝後のおはらい町。
朝から外宮、内宮と歩き回りいくらか草臥れたので、昼食を兼ねて少し休憩したい。
何はともあれ腹ごしらえ、伊勢神宮に来て伊勢うどんを食べずに帰れるか、という事でネットで検索。
その結果、、、
岡田屋という店で食べることになった。
暖簾をくぐると店内には客もまばらで、一瞬、やっちまったか、という思いが脳裏をよぎったが、まぁ単純に昼時にはまだ少し早いせいだろう、とそのまま空いている席に着席。
注文して暫くすると伊勢うどんが出てきた。カミさんはノーマルの伊勢うどんを、自分は卵入りをそれぞれ頼んだ。
伊勢うどんと言えば、コシとのど越しで勝負の讃岐うどんの対極を行くうどんとして良く知られている。茹ですぎよろしくコシのコの字もないような麺が、東京のうどんは汁が黒い、とバカにする関西人が頭を丸めてお詫びするほど真っ黒な汁に浸かっている。
カミさんは以前に食べたことがあるらしいが、自分は初めてだ。
これが噂の伊勢うどんかぁ。。。と感慨深い気持ちになる。
麺がふやけて太くなっているので、どん兵衛のように複数本のうどんをつまみ上げることができず、一本ずつ掬い上げて食べてみる。見た目の印象どおり、かなり伸びたうどんのような食感だが、思っていたよりはコシもあった。汁も見た目から想像するような塩辛さはなく、鰹の出汁が効いて美味いと感じた。
自分が食べるさまをニヤニヤしながら見ていたカミさんに、そう感想を言うと、
「こういう食べ物なんだ、と思って食べるとおいしいよね。」
と言うので、まさに言い得て妙だと思った。
量は少なめなのであっという間に食べ終えてしまったが、ウチらが食べている間に店内は満席に。偽りなしの人気店だったことが分かって一安心。
土産物や飲食店が立ち並ぶ通りを冷かしながら通り抜けて、食休みを兼ねてもう一か所、猿田彦神社を訪ねてみることにした。
主神の猿田彦大神は導きの神様なんだそうで、転職を控えた自分の将来の安泰をお願いしてきた。
で、食事のあとはデザートが食べたくなるもの。再びおはらい町に戻り、まだ食べていない「アレ」を食べることに。
おかげ横丁の路地に入り込み、まずはアレの前にこれも有名な豚捨という店のメンチカツをいただくことに。
しかし、豚捨、ってどういう意味なんだろう?
これはうまかった!
衣がサクサク、と言うよりはカリカリっとしていて、中身はホクホク、ジューシーで期待通りだった。
そして、例のアレ。そう、赤福だ。これを食べずに伊勢を去れるかー(また言ってる)。
もちろん赤福は外せないところだが、最近は赤福氷と言うのが人気らしい。
と言うことで、一つづつ注文して中で頂くことに。
と言うことで、いただきます!
赤福氷はふわふわのかき氷に抹茶のソースがかけられた約束された味。
食べ進んでゆくと氷の中に赤福が鎮座している。赤福の入ったかき氷だから赤福氷、実に明快なネーミングだが、若干甘すぎるきらいが。。。ぶっちゃけ赤福を別に注文する必要は全くなかった。
という訳でしっかり満足したお腹を抱えて次の目的地へ。。。と言っても次の目的地はあまり決めていない。
あと残り半日で程よく行けそうな所、と言うことで、あてどなく賢島の方に行ってみることにした。
途中道の駅「伊勢志摩」があったの立ち寄り。
物産館が併設されていたので覗いてみると、閑散としている道の駅にしては試食が充実していて、色々試させてもらうことが出来た。
売店の女将さんから地元で採れたアオサを薦められたので、乾燥わかめと岩のりの佃煮と一緒に購入。普段、買い物については割と渋めのカミさんにしては、珍しく豪快な買いっぷりだった。
この道の駅は敷地内に芝桜公園を併設しているそうだ。ついでに言えば場外馬券売り場まで併設されていたりするのだが、それはさておき。
時期的にも丁度シーズンなので覗いてみようと思ったら、まだ16時過ぎにも拘らず閉まってて中に入れなかった。
ま、敷地の外からでもある程度は見えるのだが、こうして眺めると色の薄い場所もあり、時期には少し早そうな感じだった。
ということで、思いのほか長居をしてしまい、時間は既に16時半を過ぎている。
賢島方面を散策するには少し遅くなってしまったので、それならと、最後に知る人ぞ知る離島と言われている渡鹿野島(わたかのじま)と言う島を遠巻きに眺めて今日の散策を終わられることにした。
渡鹿野島の対岸にあたる和部(わぶ)港にやってきた。港の一画にこじんまりとした待合所があったが、開放されてはいるものの、船便の時刻が掲載されていない。
定期船が出ていないということは、チャーター船か島内の宿泊施設の船などを手配しないと渡れないということだろうか。
まぁ、仮に定期船があったとして、普通ならぼちぼち最終便が出る時間帯なので、渡れたとしても帰ってこれない気もするが。
上で書いた知る人ぞ知る、だが、どんな知る人に知られているのかというと、かつてこの島では公然と売春行為が行われていたらしく、そういった目的の人たちの間でよく知られた島だったそうだ。
今でこそ海水浴など、近隣の人がレジャー目的で訪れる観光の島に変貌しているということだが、売春島として名を馳せた島というのが果たしてどういう所なのか、今はどうなっているのか、など、その名を知ってから怖いもの見たさ的に見てみたいと思っていた。
まぁ、かつて、と言うことなので、現在は恐らく至って安全な島なんだろうとは思うが、万一うかつに上陸して面倒事に巻き込まれたら厄介なので、対岸から眺めて満足するのにちょうどよい(=渡らなかったことを時間のせいにできる)時間だから来てみた。ということだ。
腰が引けている感じだが、この感覚、おわかりいただけるだろうか?
そういう先入観で訪れたせいか、時刻が出ていない待合所を見た第一印象は、やっぱり一般人は近づきがたい島なんだな、というものだった。
待合所の前の海から狭い海峡を隔てて島が間近に眺められる。地図で見ると鄙びた小離島、という感じだが、実際には海に面して高層ホテルが立ち並んでいて、想像よりもだいぶ観光地然とした印象である。
それらのホテルはさほど寂れている感じでもなく、こちらから眺めている限り、過去の姿を感じることができない。
まぁ、そんなもんかな、と納得して車に戻ろうとしたとき、目の前の岸壁に一艘の船が入港してきた。
船の中にいた船員さんにどこに行く船なのか聞いてみたら、なんと渡鹿野島に行く船だという。船の時間や乗船方法なども聞くと、船は不定期で運行していて、両岸に乗客がいれば23時ごろまで(!)運行しているという。運賃は時間帯によって違いがあって、昼間は180円、夕方から夜間にかけてが300円、深夜は500円とのこと(具体的な時間帯は言わなかった)。
なるほど、だから時刻表が掲載されていないのか。対岸が見える程度の距離なので、乗る人がいれば動かす、という運用でも問題ないということだ。
不定期船の渡し賃にしては、思ったよりリーズナブルだし、何より、23時ごろまで運航しているというのだから、多少島内でゆっくりしても十分に帰ってこれる。そう思ったら俄然行ってみたくなった。
来る前のざわついた感情は、行ってみたいという思いにあっけなくかき消されてしまったw
観光をプッシュしている島なんだから、そうそうトラブルなんか起きるわけがない、と実に都合よく考えて、カミさんに、小一時間ぐらい散策してみたい、と話したところ、カミさんも行こう行こう、とこれまた実に乗り気だったので、一路船上の人となった。
こんな思考回路なので、私にリスクヘッジを任せてはダメだと思うw
観光の島に脱皮したということだが、どこかに封印された過去の痕跡が残っていないだろうか。見てみたいような見たくないような複雑な思いだ。そんな思いをよそに船は短い海峡をあっという間に跨いで、渡鹿野島に到着。