瀬戸内周遊初日の出【22】(2014/01/03)

2014/01/03

今日は鞆の浦を散策した後、岡山の保存鉄道を求めてさまよう予定だ。
朝食を済ませて、まずは鞆の浦へ向けて出発。
あ、朝食も道の駅も写真撮ってない。。。

道の駅から鞆の浦までは海沿いの県道を走るとすぐ。
鞆の浦というと、港の常夜燈、古い町並み、仙酔島、崖の上のポニョ、架橋問題などがイメージされるものの、イメージばかりで知識らしい知識もないので、あてどなく散策する感じになると思うが、果たして。

民族資料館横のコインパーキングに車を置き、完全防寒武装して散策開始。

今回の散策ルートのGPSログ

まず、駐車場の目の前にあるのが「鞆の津の商家」という建物。

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江戸末期の建築物で、明治中期からは網屋の事務所として使われていた建物だそうだ。

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そこから道なりに歩いていくと海岸に出る。沖合いに浮かぶ弁天島とその背後に仙酔島が見える。朝日に照らされて良い雰囲気である。

海岸沿いの通りを島を横目に南下していくと、仙酔島行きのフェリー乗り場がある。船は20分おきくらいに出港していて、往復で240円なので、渡るのは気軽そうだ。

仙酔島は定住している人はないので、無人島ということになるが、国民宿舎や温泉などの施設があり、遊歩道なども整備されているので、島好きとしては渡ってみたいなぁ、という思いに駆られるのだが、見ての通り結構大きい島で、上陸したら見て回わるのに時間がかかりそうだ。

とりあえず他の場所を先に一通り見て、時間があれば渡ってみようと思う。

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更に歩いていくと港に出る。
鞆は古い街なので町内を通る道はどこも狭く、慢性的な渋滞に悩まされているという。
打開しようにも区画整理もままならないので、ここから海を渡って対岸へと抜けるバイパスを建設する計画というのがかなり前から上がっている。当然、こんなところに橋を架けたら、この風光明媚な景色も失われることになるわけで、反対論も根強い。

架橋案の他に、港内の地中にトンネルを掘る案や、山側をトンネルで抜ける案なども挙がっているのだが、それぞれメリット・デメリットがあって、決定打と言えるものはない。そのため、今のところは架橋案が有力のようだ。

架橋については、崖の上のポニョの舞台としてこの地と関わりがあった宮崎駿氏などが強く反対を表明しているらしいが、地元住民の間では、頻発する渋滞や道が狭いことに起因する通行制限などは生活に直結する切実な問題であるため、架橋賛成の声が大きい。

市長も推進派が当選しており、架橋する方向に傾いてはいるものの、この風光明媚な景観は多くの観光客を引き寄せる重要な観光資源であることもまた事実なので、いまだ動向が定まっていないということだ。

 

それはさておき、歩いてくる途中、山の上のほうに寺が見えたので、そこへ行ってみようと左へ左へと進んできたのだが、途中から水産加工場の敷地のような場所になって行きどまってしまった。
ここからは寺へ行くことは出来なさそうだ。

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そのかわり、水産加工場の一番奥にお稲荷さんがあった。
三が日で加工場にひと気はなく、またお稲荷さんも私有地ではないので、何も問題ないとは思うのだが、万一咎められたら嫌なのでそそくさと参拝を済ませて退散。

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再び海岸沿いの道を歩いていくと鞆の浦のシンボル、常夜燈が見えてきた。
今日は風がないとはいえ、さざなみすら立たない鏡のような水面はまるで池のようだ。
これはまさに天然の良港ですな。

鞆の浦は瀬戸内海の東西の丁度中間に位置しており、万葉の昔から潮待ちの港として知られている。
かつての船は潮の流れを利用して航行していたので、両側から進んできた船が鞆の浦まで来ると、ここから先の潮の向きが逆になる。なのでここで停泊して、海流が逆になるのを待ったのだそうだ。

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港から路地に入って少し歩くと、軒先に杉玉がかかる酒蔵を見つけた。店の名前は鞆酒造という。ここで作られている酒は清酒ではなく、「瀬戸内の養命酒」とも呼ばれる保命酒(ほめいしゅ)という薬用酒である。ここは町内に数軒ある醸造元の一つとのこと。

カミさんが旅行前にガイドブックを見て、鞆の浦に来たら寄りたい思っていたらしい。来る途中にも八田保命酒舗という醸造元があったのだが、そちらは休みだったので、ようやく開いている酒蔵が見つかって興味深々の様子。

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すぐに店の奥から女将が出てきて、店頭に出されていた保命酒かりんとうの試食を勧められる。
言われるがまま、1つ口に入れると、養命酒のようないかにも薬用酒といった甘さの独特の味がした。

傍らで売られている酒粕も試食を勧められる、カミさんは口にしたが、自分は運転があるので、と断ると、一時間ぐらいその辺を散策していたら完全に醒めますよ。と言われた。

当の女将も酒屋の女主人にして下戸であるそうで、酒粕ですらちょっと口にするとすぐにほろ酔いになってしまうそう。その女将をして一時間で醒めるというのだから、下戸で鳴らした?自分が食べてもたぶん問題ないのだと思うが、何となく心配だったので結局遠慮してしまった。

そんな女将の話を聞きながら、同じく下戸ながらかつてスナックのマスターをやっていた父の言葉を思い出した。

呑兵衛に居酒屋は務まらない

けだし名言である。呑兵衛が飲み屋をやったら、売り物に手を出さないように自分を律するのが大変そうだ。
ちなみに、父がマスターをやっていて一番困ったのが、客から酒を勧められることだったそうだ。いかんせん下戸なので勧めに応じるわけにもいかず、体調が悪いとごまかしたり、飲んだふりをしたりと、苦労したらしい。

世の中ままならないものである。

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この店で売られている保命酒は16種の生薬を配合した、その名も「十六味保命酒」という名前だ。

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保命酒は、もともと16世紀に中村吉兵衛と言う医者が製法を編み出したのが始まりで、以来同家の専売品だったため、中村家は大きな財を成したという。
ところが明治に入ると専売制が廃止され、同業他社が乱立し、競争にさらされることになる。
競争は熾烈なものだったというが、追い打ちをかけるように中村家に不遇が重なったりして、やがて廃れてしまったそうだ。

残った同業他社もまた競争によって逐次淘汰され、現在は上記の通り4軒のみが生き残っている。
そういう話を知らなかったので、この店はどこかで作っている保命酒を売る酒屋だと思っていた。なので、女将さんに「どこで保命酒作っているんですか?」と、ちょっと頓珍漢な質問をしてしまったが、女将さんはニコニコした顔のまま「ここは蔵元なんです。」と教えてくれた。

 

そのとき!!

 

Posted by gen_charly