瀬戸内周遊初日の出【28】(2014/01/04)

岩黒島で我々とランガンの釣り人を乗せたバスが、次に停まるのが櫃石島
櫃石島もわずか3分の道のり。

櫃石島は岩黒島と比べると大きく集落の規模もあるので、バスは島に降りて集落の中を走る。
とはいっても、バスが島の中でどういう経路で走るのか分からなかったので、手前で降りておけばまぁ、間違いないだろう、と考えて、最初の櫃石島バス停で降車ボタンを押したのだが。。。

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櫃石島バス停は導入路を降り切ったゲートの手前に有って、どう考えても降りるべき場所はここじゃない気がするのだが、降車ボタン押してしまったのでとりあえず降りるしかない。

バス停の先には島内へと入るゲートがあって、バスはゲートを越えて向こう側へ走り去ってしまった。
道路施設上に降ろされてしまった格好の2人、周りに何もなさすぎて、ここからどうしてよいのやら。。。

とにかくまずはこの施設の外に出て現在位置を把握せねば、と思い、周りを見回すものの、歩道や歩行者用出口のようなものが見当たらず、どうやってここから出ればよいかすら分からない。
進めそうな道は、この先のゲートしかない。普通、高速道路施設上は人が歩くようには設計されていないので、こういう時は歩道が別にあったりするものなのだが。。。

仕方ないので、ゲートを通り抜けてみることにした。
監視カメラかなんかでチェックされてて、咎めを受けなければよいが。

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ということで、失礼しまして。。。専用ゲートの機械を間近に見れてちょっと興奮。
これで島民になっても戸惑わずに高速に乗れる!www

ゲートに監視カメラはあったが、特に咎められることもなく通り抜けることができた。
つうか、なんであんなところにバス停があるんだ?

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で、ゲートを通り過ぎた最初の景色はこんなである。殺風景だ。。。
この道はどこへ続くのか?

ともあれ、島旅79島目は櫃石島となった。
地図で確認すると、ここを歩いていくと埋め立て地の新港地区という所に繋がっているようだ。
そこから集落の方へ行くことができるようなので、まずはそこを目指す。

今回歩いたルートのGPSログ

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この辺りは集落から外れているのでひと気がない。ひと気がないのをいいことに、ここで朝食。パンに具を挟んで歩きながら食べよう。多分ひと気のある辺りまで行く前に食べ終わることができると思う。
具は、昨日スーパーで入手した「小魚がす天」なる練り物だ。ガス展ではない。あんまりパンに挟んで食べる人はいないような気がするが、案外イケた。

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食べ終わる頃に新港と旧港を結ぶ通りに出た。多分島で唯一の青看。

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新港の周辺はあまり活用されておらず、漁港があるだけなので見晴らしがよい。これといって見るものは無さそうなので、ここから旧港の方を目指す。

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少し歩いていくと、櫃石小・中学校がある。

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校門のすぐ内側に潜水士のかぶるヘルメットが置かれて、もしかしてNHKドラマのあまちゃんにも出てきた南部潜りに何か関係しているのかな、と、ヘルメットを見ながら思った。
後で調べてみると、この島の主要産業が潜水漁なのだそうで、南部潜りとは直接関係ないようだ。

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校門前の塀に「櫃石の歌」という校歌?が掲げられている。その詩を目で追っていくと、後半になるにつれ子供たちが歌うものとは思えない妙に生臭い歌詞が出てきて驚く。

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更に歩いていくと旧港へと出てきた。
道の突き当たりに咸臨丸と塩飽(しわく)水主顕彰碑というものがあり、これを見ていたら、

「咸臨丸はこの辺の水夫が乗り込んで行ったんだけど、北海道のほうの波の荒いところを抜けて行ったんだよね。瀬戸内辺りは穏やかだけどさ、まー俺だったら行けって言われても嫌だというだろうね。でもそういう所へ行けと言われて行っちゃうんだから立派なものだよねぇ。」



さっきまで後に停めた車で荷物の出し入れをしていたおじさんが、白い発泡スチロールのトロ箱を手に問わず語りで話しかけてきた。
相槌を打ったあとに、トロ箱を見ながら何か取れましたか?と聞いてみると、

「この辺はあまり種類が取れないんだよね。。。大体釣れてもメバルとか。でもこんな小さいやつ。」

と言って指で10センチくらいの尺を取る。

「でも沖に出るとまぁ、それなりに釣れるんだけどね。これ、昨晩釣ってさばいたアナゴ。で、奥がウミタナゴだね。」

トロ箱を開けて中身を見せてくれました。
アナゴは60センチくらいある大きなものが6尾。海タナゴは大きいのは17~8センチあるものも混ざっているものの、大体は10~15センチくらいのものが中心。

生口島に住むM君も地元はあまり釣れない、と言っていたので、おじさんのコメントを聞いてやはり瀬戸内で釣りをするにはポイント選びがキモなのだろうと感じた。

一応、時間が有ったらやろうと思って釣り道具を鞄に忍ばせているが、この分だと出さずに終わりそうだ。。。

与島へと戻るバスの時間は9時38分、岩黒と同様に滞在時間は小一時間と言った所。
より大きな櫃石島なので流石に1時間で全部を回るのは難しい。なのである程度ターゲットを絞って散策するつもりだったのだが、思いがけずおじさんと長話をしてしまったので残り時間がやや心もとない。

仕方ないので、優先順位が高い、集落の散策を最初にやることにした。時間があれば他のところへ足を伸ばしてみようと思う。

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この島も、集落の道はすごく趣がある。建物ありきで、空いているところに通路を通すスタイル。
通路も必要最小限の整備にとどまり、歩きにくいこともないが、小奇麗というわけでもない。敷地と通りの境目の処理の仕方も、それぞれの家ごとに異なっていて、いい意味で統一性がない。

そんな小道を歩いたら、すぐに海岸に出てしまった。
傍らの掲示板には。。。

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あまちゃん。
やっぱり小中学校のアレは南部潜りに関係しているのかな?とこの時も疑ったのだが、だいぶ色褪せていて、あまちゃんの放送時期とは関係がなさそうだ。

それはさておき、海沿いの車道に出てしまったので、もう少し集落の小道を堪能すべく、再び別の路地から集落の中へ。

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草に覆われた祠。人がお参りするところだけ草が払われて、かまくらのようになっている。
いかにも「ザ・祠」という感じでなかなか好ましいスタイルだw

夏場は蚊が大変そうだが。

岩黒同様、ここにも集落の路地の落合に共同井戸があった。

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井戸の脇に札場と呼ばれる建物がある。説明によると、札場とは江戸時代に定めや布告等を掲示した場所で、かつては住民が集まる井戸端に設けられていたそうだ。

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櫃石島簡易郵便局
こういったインフラがあると血が通っている感じがして安心。

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そこからさらに歩いていくと、さっき通った小中学校近くの掘割の上へ出てきた。
見上げた先に見える建物は廃墟っぽい。見に行ってみたいが、どうやって行けばいいか分からない。
目の前に伸びる歩道橋を渡って行けそうな感じもするのだが、渡った先は民家の敷地へと吸い込まれて行きどまりだった。

見た感じ何かの工場か宿舎かなと思っていたのだが、ネットで調べたところによるとホテル櫃石という旅館だったようである。

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その歩道橋の上から小中学校と、新港の方角を写す。
島内には櫃石学校櫃石の2カ所バス停がある。島内を歩いているうちにその位置関係がようやくつかめた。
櫃石学校は小中学校のところに、櫃石はさっきおじさんと話していた旧港にそれぞれある。

ぼちぼち帰りのバスの時間が近づいている。バスを降りた時はまた櫃石島バス停まで戻ろうと思っていたのだが、ここからなら櫃石学校か櫃石が至近である。少しでも長い時間散策をしたいが、島の中をバスで通過してみたいという思いもあったので、櫃石からバスに乗ることに決めた。

ということで、再び旧港に戻る。

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バス停には時間前に着いた。
バスは鉄道と比べると定時性が曖昧なせいか、バスを待っている間、もしかしてもう行っちゃったんじゃないかという不安に駆られて、何度も時計を見てしまう。
間に合っているつもりだったのに改めて時計を見たら、時計を読み間違えていて、実は行った後だった、ということを過去に何度か経験しているからかも知れない。。。

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そんな心配をよそに、与島行きのバスはちゃんと定時にやってきた。
またさっきと同じバスだ。運転手さんにも顔を覚えられてしまったw

本州と四国、橋で結ばれているとはいえ、精神的な距離感としては「遠い所」という感じがする。
にもかかわらず、このバスは自分たちが島を散策している間に児島と与島の間を3往復もしているのだ。
そう考えると働き者だねぇ、君。

Posted by gen_charly