瀬戸内周遊初日の出【30】(2014/01/04)

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歩き始めて程なく与島中学校が見えてくる。
立派な校舎を構えているが、この先にある与島小学校、幼稚園とともに2007年度をもって廃校となっている。
もうここが子供の声で賑わうことはないのに、そこにあり続けるしかない、という悲壮感が漂い、正月だから、というひと気のなさとは別の寂しさを感じる。

瀬戸大橋開業フィーバーに浮足立ってイケイケで突き進んた日々は、浦島太郎の物語の竜宮城でのひと時の宴に過ぎなかった・・・。玉手箱のふたを開け、年老いた自分が目にしたのは、開業前よりも救いようがなくなった過疎の光景。。。

それは夢ではない、と威圧するかのように集落に睨みを利かせる上空の巨大な橋。
その上にある別の地平は、島の人々の営みに思いを馳せることもない。

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橋脚の狭間の道から、橋を見上げる。
彼我の高度差が、上の世界の人間がこちらに救いの手を差し伸べる気はない、と言っているような気がして、なんとも言えない空しい気分になる。

・・・閑話休題。

現在地は集落と観光エリア(もともとは塩田だったらしい)の丁度中間地点で、与島パーキングエリアからのゲートがある場所である。
このゲートの前で道は5方向に分かれている。1つは県道274号で整備された道だが、そこを歩いてもしょうがないので、集落の奥深くへと入っていく方向にかじを取る。

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その小道に入ると、一定間隔で門柱のような石が地面に突き立てられている。敷地の境界を表しているのか、門柱的なものなのか不明である。

この辺りから集落が始まるようだ。
小道をどん詰まりまで歩いていくと、島のご婦人たちが井戸端会議をしていたので、挨拶。

「奥にいる犬が吠えるかも知れんから気をつけてな。」



と教えてくれた。お礼を言って更に進むと、確かに民家の庭先に一頭の犬がつながれている。
あ、この犬だな、と思いながら民家の前を静々と通り過ぎるが、そいつは大人しいものだった。

あれ?違う犬かな、と思っていると、通り過ぎて暫くしてから「バウ」とやる気のない小さな咆哮が背後から聞こえた。何かこんな光景、どこかで見た気が。。。

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道はやがて細い路地になってきた。坂の上に体育館のような建物が見えたのでそこを目指す。

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登ったところにあったのは、与島小学校・幼稚園
校庭から建物を見ると、その背後に巨大な橋の主塔がそびえ立つ。まるで主塔が校舎と体育館を吊るしているかのようだ。

与島中学校同様、ここの校舎もそれほど年季の行っている感じではない。再開しようと思えばすぐに再開できそうだ。
岩黒島でさえ小中学校が現役で存在しているというのに、なぜより便利そうな与島が先に子供がいなくなってしまったのだろう。

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校庭の一画には「報恩」という文字が掘られた砲弾?のオブジェが飾られている。

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幼稚園の建物の脇から反対側の路地に出ると、古い集落の中に入る。

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島の集落らしい車が通れない小径に沿って密集して民家が建っている。
ようやく人の気配のありそうな場所に出てきた。。。が、鶴瓶の番組のように、そう易々と島の住人に出会えるわけがない。
それもそのはず、30年前に360余名を数えた島の人口も、2010年には115人と、3分の1以下にまで減ってしまっている。

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主を失った家は朽ち果てるしかない。力なく崩れ落ち、半ば藪と化しているような民家に時折遭遇する。
ここで暮らしていた人はどんな日常を送っていたのだろうか。

路地を分け入っていくと、なにやら大きな電光掲示板のようなものが屋上にそびえる建物のところに出てきた。

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与島東船舶通航信号所というらしいが、特に観光名所ということもないようで、ここは素通り。

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戻って別の路地に入ると、今度はお寺に出てきた。

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法輪寺という寺で、境内から集落が見渡せる。
ようやく太陽が島を照らし始めて色を回復した集落の様子は、鄙びてはいるものの、さっきまでの重苦しい雰囲気は感じられない。もう少ししたら、路地に老人が出て井戸端会議でも始めそうだ。

反対側の丘の中腹に神社のお社のようなものが見えたので、今度はそちらを目指してみよう。

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集落内の路地を歩いていくと、坂出与島郵便局があった。櫃石島の郵便局は簡易局だったが、ここは本局である。やはりそれだけこの島もにぎやかだった時期があったのだろう。

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そのすぐ背後には共同井戸がある。今は水道が通っているので、井戸は石の蓋で閉じられている。

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更に神社への道を歩いてくと、道すがら、こんなものを見つけた。
みかんの木になった実ではない。このみかんは枝に刺してある。何の意図でやっているのだろうか。

ネットで調べると、ヒヨドリやモズに吸わせる目的で、枝にみかんを刺しておく、という記事を見つけたが、そこに登場するみかんは鳥が吸いやすいよう半分に割られていて、丸のまま刺している写真は見つからなかった。結局意図は分からずじまい。

あるいは、何かのおまじないなのかもしれないが、とにかく集落で誰とも会わないので、それを聞くこともできない。

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みかんの家の少し先に神社の鳥居が見えてきた。

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参道の階段を登って行くと、丘の上に拝殿がある。思いのほか立派なお社である。
この神社は天津神社というそうだ。

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この神社にも古びた砲弾が祀られてある。戦勝祈願するものだったのだろうか、なんだか物々しさを感じる。

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お堂の前にセルフサービス方式のお屠蘇が置かれていた。

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お参りを済ませて振り返ると、こちらからも集落が一望できる。こうしてみるとのどかな島だ。

少しの間、この景色を楽しんでから山を降りて、今度は海岸に出てみる。
少し疲れたので、ここで小休止。

Posted by gen_charly