瀬戸内・四国ドライブ【14】(2023/05/05)
亀と旅する老人:
ぼちぼち切り上げて先に進むことにした。駐車場の方へ歩いていくと少し前を歩いていたカミさんから、カメがいるよ!と声がかかった。亀!?
言われるがままカミさんが手招きする方へ行ってみると、そこに停められた車の周囲をリクガメらしき立派なカメがのそのそと歩いているのが見えた。なんでこんな所に。
その車の傍らにいた初老の男性がその亀の飼い主らしい。キャンピングカーでカメと一緒に旅をしているのだそうだ。おぼっちゃまくんか。
旅と言ってもスケールが違う。今回の旅は1カ月ほどの日程で全国を回っているという。根っからの旅好きで、過去にはカブにまたがって日本一周したこともあるというのだから筋金入りだ。羨ましい。自分らの老後にそういう未来は訪れるだろうか。
で、それと並行してカメの飼育にも精を出しているそうで、自宅に多くのカメを飼育しているのだが、このカメは貴重な品種らしく1カ月も家を空けるとなると不在時に盗まれたりする可能性があるので、こうして連れて回っているとのこと。
カメもケージの中に入れっぱなしにしているとストレスが溜まるらしく、たまにこうして外に出しているのだそうだ。まさしく甲羅干し。ただこのカメは日影の方が好きなようで、放っておくとすぐ車の下に潜り込もうとする。潜り込んでしまうと引っ張り出すのが大変になるので、おじさんが定期的に向きを変えている。それを見たチビが自分もやってみたいと言い出した。いやいや、貴重なカメに万が一があったら大変、やめときなさいって。
・・・と思ったらおじさんから、じゃあやって見なさい、と許可がでた。うっかり落としたりしないか夫婦揃ってヒヤヒヤしながらその様子を見守ったのだが、危なげなく向きを変えてやることが出来た。そうなったらもう自分の仕事である。献身的に向きを直してやっていた。
カメにしてみたら早いところ暗い場所へ行きたいのに、一向にたどり着けないもどかしさを味わわされていたのかもしれない。。。
おじさんが乗っている車は軽自動車で、屋根の上にルーフテントが設置されていた。
ルーフテントは自分も以前から興味を持っている。スペース的な制約のある軽自動車において、のびのびと車中泊をするのにまたとないアイテムなのだが、なにしろテントなので季節によっては快適性に難がある気がする。ネットなどの評判を見ても暑い時期や寒い時期はかなり寝苦しいという話を聞く。だが本当にそうなのか、工夫次第でどうにか出来ないのだろうか。もし工夫でどうにかなる物なら自分も手に入れたいのだが、いかんせんマイナーなジャンルの商品なので、周囲に装着している人がおらず、リアルな評判が分からないので手が出せずにいるのだ。
そういうわけで、どうにも踏ん切りがつかずこれまで導入を見送ってきたのだが、そのルーフテントを使っている人に意見を聞くチャンス!カメそっちのけで、おじさんにルーフテントの使い心地などをインタビューした。
おじさんによると基本ワンタッチで展開できるので使い勝手は悪くないが、夏場冬場の快適性に多少の難があるのはテントだから仕方ない、とのことだ。おじさんも気候が良くないときはテントを展開せずに車内で眠ってしまうこともあるという。ただ、扇風機や電気毛布などを活用すればかなり広い期間快適に過ごせるとも言っていた。
中も見てみます?とありがたいお言葉を戴いた。自分も見てみたかったが見ず知らずのオッサンに寝室を覗かれるのは嫌かな、とちょっと躊躇ってしまい、代わりにチビを派遣してレポートしてもらうことにした。
中を見てきたチビはそのCozyな空間を大いに気に入ったらしく、即座に買ってくれ、とせがまれた。うちの車に付けたらあたしが上で寝る!と息巻いている。だったら買ってもいいかな?寝苦しいの自分じゃないしw
ついでに電源系についても質問してみた。これまた車中泊をする旅人の永遠のテーマである。キャンピングカーなどでの一般的な定石は、サブバッテリシステムを搭載して車内の電源供給に利用するというものだが、ちゃんとやって貰うと数十万円単位の予算が必要になる。だが、バッテリは劣化するものなので、我が家のように年に数回しか出かけないような人が導入すると、ほとんど使ってないのにバッテリが劣化してしまった、なんて話になりかねない。
これについてはおじさんも以前はサブバッテリを設置していたのだが、やはり維持にお金がかかってしょうがないので、ここ最近は家庭用のポータブル電源を搭載するようにしているそうだ。
ある程度容量のあるものであれば、電子レンジや冷蔵庫のような大きな電流が流れる機器も賄えるらしく、今の所特に何の不自由もないとのことだ。充電は走行中の充電の他にソーラーパネルも併用して充電させているので、毎日使う程度の電源は賄えているとのこと。
もちろん、これとていずれ劣化するので定期的な交換は必要になるが、サブバッテリーと比べたら圧倒的に低コストだからおススメ、だそうだ。
思いがけずいい話が聞けた。身の回りでキャンピングカーオーナーと言えば我が弟もそうなのだが、弟は車中泊が出来れば十分という考え方なので、電化製品に関するこだわりが全くないし、近隣に住む知り合いにキャンピングカー所有者がいないので、オーナーと会話する機会がこれまでほとんどなかった。なのでこういう生の声がとても貴重なのである。今後の車内快適化の参考にさせていただこうと思った。
そんな具合でおじさんと話し込んでいると空が薄暗くなってきた。ぼちぼち先に進まないと、ということでおじさんにお礼を言って別れる。
再び高速に入り、来島海峡大橋を渡って四国に上陸。
湯ノ浦温泉:
しまなみ海道の終点で降りたらあとは一般道を進む。今晩の風呂は今治市の南部にある湯ノ浦温泉にしようと思っている。ここを選んだ理由は、
遅くまでやっている日帰り温泉があり、最寄りに道の駅があるからだ。道の駅で夕食を済ませてそのあとすぐに入浴させてしまえば、後はチビがいつ寝落ちしても良いので便利なのだ。
途中のスーパーで夕食の食材を手配し、再度タケル君のスイッチを入れて道の駅へと向かう。
道の駅に着く頃にはご飯も炊けて、タケル君の中から光り輝く温かい白飯・・・が、食べてみたらなんか固い。カミさんに確認すると水をカップ1杯分少なく入れてしまったらしい。まぁ、食べられないこともないが胃に負担。。。
食事を済ませてから、車で1、2分の所にある湯ノ浦温泉へと向かう。湯ノ浦温泉は四国で初の国民保養温泉地に指定された由緒ある温泉らしい。だがその割に道後温泉や鈍川温泉などと比べると知名度はイマイチな感じがする。四国の中では有名なのだろうか。
温泉街の中で日帰り入浴可能な施設は2つしかない。今回入浴することにしたのは湯ノ浦温泉四季の湯ビア工房という施設。そこを選んだ理由は忘れた。ビア工房と言ってもビールを作っている訳ではないようで、なぜそういう名前なのかも不明。なんか全体的にモヤモヤする温泉だ。
泉質は低張性弱アルカリ性冷鉱泉ということで加温はしているようだが、のんびりと寛げて気持ちよく入ることが出来た。
さて、明日はこんぴらさん参りである。出来るだけ早朝に出発したいので今晩の寝床はこんぴらさんからほど近い所にある、道の駅空の夢もみの木パークという所にした。
こんぴらさん周辺には他にもいくつかの道の駅があるが、平地にある道の駅は混んでいそうな気がしたので、少し山あいに入った場所あるこの道の駅を選んだ次第。
高速を飛ばして日付が変わって少しした頃に道の駅に到着。
道の駅は想定どおり空いていて快適に眠れそうだ。道向かいのラブホテルの明かりが煌々としていて車内を照らすのがややまぶしいが。
車を停めて降りてみたら駐車場が思ったより傾斜していた。と言っても、運転席側が高く助手席側が低い、左右方向の傾斜なので寝る分には影響ないと思うが。。。