[Inst-06] YAMAHA CBX-T3 (Hello! Music!)

ミュージ郎jr. BOARDのエントリで書いた、ひょんなことから入手した音源というのがこれだ。この楽器は嫌な思い出しかないいわくつきの一品である。。。

 

自分は高校時代に放送部に所属していた。放送部というのはその名のとおり校内の放送を担当する部ではあるのだが、それ以外にも朗読やアナウンス文を読む練習をしてコンテストに参加したり、というようなこともやっていた。

とはいえ、自分はそれがやりたかった訳ではなかった。その高校には軽音楽部があり、中学生の頃から楽器を触っていた自分は、もちろん軽音楽部に入部したいと考えていた。だが、軽音楽部は各部員がそれぞれ何かしらのパートを担当することになっており、学校に置かれた楽器の数の都合で毎年入部できる人数を10人までに制限していた。

その年に入部希望を出したのは13人。抽選が行われることとなり、自分はその抽選に外れた。
軽音楽部以外にこれと言って参加してみたい部活はなく、抽選に外れてしまったので、どうしようかなといくつか他の部活も見学しに行った中に放送部があった。軽音部の抽選に外れたことを知った当時の放送部長が、放送部なら部活の最中に音楽を聴いたり、楽器演奏したりできるからおすすめですよ、とにこやかに言う。それなら放送部いいじゃん、と抽選から外れた3人で話し合って放送部に入部したと、まぁそんな経緯だった。

 

2年生の終わりごろ、部長が卒業ということで引退することになり、次期部長を選ぶことになったのだが、何故か自分がその部長に祭り上げられた。部長と言っても心構えも何も知らない。そもそも放送部としての活動を真面目にやるつもりがない自分なんかが部長でいいのだろうか、という思いがなくもなかったが、みんなはそれでいいという。面倒を押し付けられた気分だ。

とはいえ、なってしまったからには今年一年の施策を何かしら考えなければならない。ということで、自分が考えた施策は部内のマルチメディア化だった。

 

その年、部活で学校紹介のビデオを作ろう、というプロジェクトが動いていた。と言ってもゆるゆるとしたものだったが。
で、そのビデオにナレーションの吹き込みを入れたり、BGMを付けたりしてみよう、というところまではみんなで共有していたのだが、自分の頭の中にはもう一歩踏み込んでDTMで打ち込みを行ってみたら面白いのではないかという構想があった。

実現に当たっては、パソコン、MIDI音源、スピーカーが必要になる。スピーカーは放送室だけに高品質なものが置かれている。パソコンはこないだ音楽室に使われていないっぽいPCが1台あったのを見かけている。そこで、音楽の先生にやりたいことを説明して、そのパソコンの借用を交渉したらあっさりOKを貰うことが出来た。ついでに準備室に置かれていたエレピも借りることが出来た。

 

残るは音源である。流石にMIDI音源は音楽室にもなかったので、その年に割り当てられた部費を使って音源を買いに行くことにした。あてがわれた部費では新品は手が出なかったので、中古品を探してYAMAHAのCBX-T3というものを購入してきた。

で、買いましたよ、と顧問に報告に行ったら、お前、何やってるんだ、と物凄い剣幕で叱られた。Why!?どーしてですかー!!

 

当時の自分は根回しというものを知らなかった。部員には方針を説明して合意も取り付けていたのだが、顧問に話していなかったのだ。
顧問からすれば寝耳に水。なに勝手に部費使い込んでるんだ!という訳である。

顧問は他にも使いたいものがあるのだから、今すぐ現金で返却してくれ、と言う。だが、買っちゃったCBX-T3は中古品なので返品が出来ない。時代遅れの中古品なので、中古屋に売っても二束三文だろうから、とても全額回収なんてできない。そんな風に言うなら部費を部員に渡すなよ。

 

ともかくどうにかしてお金を返さねば。親に話したらどんな鉄拳制裁を食らうか分からないので話すに話せない。もちろん自分の小遣いで賄える金額でもない。。。藁にもすがる思いで友達に相談したら、いっとき金を貸して貰えることになった。持つべきものは友達、助かったー。

それでどうにか顧問に部費を弁済して、その友達には数か月かけて分割で返済。どうにか親にバレることなく隠密裏に処理することが出来た。

 

で、使いどころがなくなったこの音源が自分の元へとやって来た、という訳である。
CBX-T3はGM規格の音源だった。家でこれまで使っていたミュージ郎Jr.がGMに対応していなかったので、まぁ欲しかったと言えば欲しかったのだが、当時はGM規格の更に上位互換の規格であるGS規格が出ていて、それを採用したローランドのSC-55 mkⅡなどがスタンダードになりつつある頃だったので、未だに周回遅れ状態には変わりはなかった。

とは言っても、ゲームのBGMをCBXから流したり、曲を作って他の人と共有したりすることが出来るようになったのは、我が家のDTM環境として大幅な進歩となった。

 

ヤマハの音源としては比較的古い時代の音源で、音色についてはちょっと派手すぎるきらいがあった。元々ヤマハのシンセサイザーの音色は比較的派手めのトーンなのだが、この音源の音はそれを更に粗削りな感じにしたような音だった。

もっとも、ピアノの音色などはローランドの物と比べるとクリアーな雰囲気だし、シンセ系の音はロックとかテクノといったジャンルの音楽に最適な印象だった。MIDIパッチなどを入手してチャンネルごとにYAMAHAとローランドの音源を使い分けたりしたら、それぞれのいいとこどりが出来てよいのだろうが、そこまでは手が出なかった。

気に入って買ったものではなかったので、それほど長い期間使っていなかったように思う。それから数年してSC-55mkⅡを手に入れたので、お役御免となった。

Posted by gen_charly