八丈島上陸【5】(2014/09/20)

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えこ・あぐりまーとは、この後訪ねる八丈島地熱館の地熱を利用した温室が設けられている。
店内は野菜のみならず、手作りのパウンドケーキやラスク菓子、植物の苗なども売られていたが、品ぞろえはさほど多くなく、広い店内を持て余している感じだった。

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併設された温室には巨大な葉を茂らせるバナナの木が有ったりして南国ムードにあふれている。
写真では分かり辛いが、写真に写っているバナナの葉は優に2mはあろうかと言う大きさだ。
菊池レモンという島レモンの苗木が売られていて、レモンは育てるのが割と簡単といううわさを聞いていたので、一株買って帰ろうか悩んだが結局見送ることに。

話は逸れるが、上の菊池の「チ」はサンズイの方だ。東日本ではツチヘンの地を使う人の方が多いそうだが、八丈島や付近の島ではサンズイの菊池姓が多いらしい、というか八丈島で上位を占める苗字でもある。
サンズイの菊池姓は西日本に多く在住されているということだが、なぜ八丈島近辺だけサンズイが多いのかは良く分かっていないらしい。

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それはさておき、レジカウンターの上にパキラの実が無料配布されていた。
レモン代わりというわけでもないが、無料なら貰ってみたくなるのが主婦の性、ということでこれは持ち帰って植えてみるらしい。

野菜の棚に例のネリが売られているのを見つけた。ここでは量は半分くらいだが、200円とお買得になっていたので試しに買ってみることにした。
八丈スーパーのは何を根拠に付けられたプライスなんだろうか?

地元の農家のおじいさんが、棚に置かれていた三種類のサツマイモを指してカミさんに何やら説明している。
途中からだったので全容はわからないが、安納芋が鹿児島産だとかアメリカ芋はうまいから食べてみるとよいとかそんなことを話していたようだ。

アメリカ芋は新島でも見かけた芋だが、カミさんがおじいさんに長年の疑問をぶつける。

「アメリカ芋って何でそういう名前なんですか?」

おじいさんは陽気に笑いながら、

「知らないよ!」

と言ってどこかに行ってしまった。
気になったので調べてみたらアメリカ芋とは白芋あるいは七福芋と呼ばれる品種のことで、ルーツを調べるとアメリカ大陸から一度イタリアへ渡り、その後再びアメリカを経由して日本に伝わったものらしい。
本土ではほどなく栽培が廃れていくのだが、砂地などの荒れ地を好む性質が火山灰質の新島など土壌の乏しい環境にマッチして、それまでたびたび飢饉に喘いでいた島の食糧事情の改善に貢献したそうだ。

見学している間に雨がザーザー降りになってしまった。

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駆け足で車に戻ってすぐ近所の地熱館へ移動。
そういえば、10時から開催されるというイベントがなんだったのか確認しないまま出てきてしまった。。。

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地熱館の脇の発電機から盛大に湯気が噴出している。
辺りは硫黄の匂いが漂い、どうやらさっき運転中に嗅いだ匂いもここが出元のようだ。

入館料は100円とのことで、入り口で係のお姉さんに3人分支払うと、来館記念に、と島のイラストが描かれたキーホルダーを渡された。
(※現在は無料になったそうです)

館内は閑散としていて、我々一行以外にひと気がない。係のお姉さんも少し退屈そうにしていたが、館内を案内してくれることになった。
なお、撮影はお断りとのことなので写真はありません。

展示物は主に八丈島の島の生い立ちと、地熱をどのように活用して発電を行っているのかという仕組みについてがメインとなっているが、今日が雨降りだったせいか、まず雨のことから話が始まった。
八丈島は全国でも有数の多雨の島なのだそうだ。多雨の島と言えば月に35日雨が降ると言われる屋久島が筆頭格だが、八丈島も負けてないらしい。聞けば島で快晴になる日は年に10日ほどしかないというのだから相当なものだ。

八丈島は古くは三原山と八丈小島、その他現存しないいくつかの火山島で構成されていたそうだ。その後一万年ほど前に八丈富士が噴火し、三原山との間の海が埋め立てられて現在の姿になったとのこと。
その八丈富士は標高が854mあり、伊豆諸島で一番高い山である。2013年から小笠原諸島の西之島で噴火が続いているが、あれとて標高はぜいぜい100m程度らしい。近年珍しいくらいの活発な噴火活動だという印象があるが、それであのくらいだというのだから800mも溶岩を出し続ける噴火と言うのは果たしてどんな規模だったのだろうか。

島の地図を見ると八丈富士は富士の名を冠するだけに非常に秀麗な裾野を持つが、三原山の方はいくつもの沢が刻まれた険しい山容をしている。
三原山は八丈富士よりも10倍も古い火山なので、長い年月の間に雨に削られ、波に砕けて今の形になっているのだ。もしかしたら最初に形作られた頃は八丈富士のような綺麗な山容をしていたかもしれない。

ところで、ここを見学するまで自分は、”地熱”発電と言うくらいだから、地熱そのものを太陽光発電のように何らかの方法で発電に結び付けているのだろうと思っていたのだが、どうもそうではないらしい。
地下水の水脈は圧力鍋と同じ原理で高圧になるため沸点が上がり、その温度は300度以上に達するそうだ。
そこまで深井戸を掘って水脈の圧力を抜くと、一気に沸騰して水蒸気になる原理を応用し、その水蒸気でタービンを回すことによって発電しているのだそうだ。

水蒸気でタービンを回すという意味では蒸気機関車と同じ原理で、さらに言えば原子力発電とも発電の仕組みそのものは同じわけで、要はお湯を沸かす熱源の違いと言うことだ。
極端なことを言えば、熱水があって蒸気が生じる環境なら火山地帯でなくてもよい訳で、そう考えると「地熱」という表現がなんかしっくりこない。。。

それはさておき、その高圧な地下水の存在する場所というのは地下1600m付近にあり、その辺りの気圧はおよそ100気圧だそうだ。100気圧がどんなものかを体験できるという展示物があり、さっき入口で受け取ったキーホルダーを入れられるようになっていた。差し込んでボタンを押すと機械が動作し、再び取り出すと島のイラストの山の所が圧力によって押し出された姿になって出てきた。

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キーホルダーの素材はアルミなので、金属としてはさほど固くない。バイスかなんかで叩いても同じようにできそうな気がする。
そう考えると100気圧が凄いのかそうでもないのかよく分からなくなってくる。。。w

それからシアターコーナーで7分程度のビデオを見ながら、3人並んでウトウトしたりして地熱館を後に。昼を回ったのであぐりまーとの駐車場で昼食と相成った。
ウチらはしょっちゅう車中泊をしているような人間なので車内で食事をとることに何ら抵抗はないが、お義母さんに対してはたまの旅行なのに狭っ苦しい軽自動車の車内で風情も減ったくれもない昼食を取らせることにそこはかとない罪悪感を感じた。

が、意外にもその辺はお義母さんもあまり気にならないそうだ。
・・・流石カミさんを育てた親だけはある。

で、昼食だが、先ほど買ってきたものを並べるとこんな感じだ。

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小笠原の島寿司は八丈から伝わったと言われているだけに、味付けも小笠原で食べたものと似た感じだった。他の島で食べた島寿司に比べて漬けが甘くまろやかなのが特徴的だ。
しかしながらスーパーの弁当と侮るなかれ。魚の鮮度は抜群で思わず遠くを見てしまうw

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麦ぞうすいも島に根付いた郷土料理。麦飯をアサリ、ニンジン、昆布、サトイモなどの具で炊いたもので、アサリの出汁が効いてこれもうまい。

Posted by gen_charly