札幌出張【3】(2021/08/07)

2021/08/07

ついにやってきた連休。久しぶりの1人旅。遊びまくるぞw
まずは手配してあったレンタカーを受け取りに。出てきた車はN-BOXだった。

3連休のうち、明日8日に音S君と会う約束をしている。中日なのが惜しいところだが仕方がない。
どちらかに寄ってくれたら、残りの2日間で遠征をすることも考えたのだが、1日では行ける範囲も限られる。

1日でいける範囲はどの辺までだろうか。土地勘がないので昨晩まで行先を決めあぐねていたのだが、ふと2018年に発生した北海道胆振東部地震の事を思い出した。
この地震で一番大きな被害に見舞われたのが厚真町の吉野という地区である。地震からは既に3年近くの歳月を経ているが、今どんな風になっているのか、見に行って見ることにした。

吉野地区は札幌からおよそ70キロ。今から向かえば恐らく午前中には着いてしまうだろう。それなら午後はもう少し足を伸ばしたい。
車を走らせながらあれこれ思案しているうちに、ふと旭川にある旭川電気軌道の保存車両の事が頭に浮かんだ。

旭川かー。流石に結構距離あるよな。鉄道の車両の1つ2つ写すために数百キロ移動するのは、なんだか無駄の極致である気がする。
さりとて、旭山動物園行ってもしょうがないしなぁ。。。

まぁ、今の段階であれこれ考えてもしょうがない。とりあえず吉野の見学が済んだら、その時に考えよう。

札幌市内を運転するのは2011年以来。相変わらず道が悪いなぁ、なんて思いながら新千歳空港方面へ向かう。
新千歳空港を通り過ぎてすぐ、厚真町方面に進む道道が分かれているので、進路をそちらへ取る。

 

北海道胆振東部地震は、2018年9月6日に発生した地震である。マグニチュードは6.7。
典型的な直下型地震で、最大震度は厚真町で震度7を観測している。人口が希薄な地域を襲った地震だったため、地震の規模の割に人的な被害は大きくはなかったが、それでも43人もの方が犠牲になっている。

また、地震によって発電所が損傷を受け、その影響で道内全域が停電(ブラックアウト)するという事件があったことも思い出される。

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千歳市と厚真町の間に位置する安平町(あびら)の早来地区のあたりで1枚撮影。
安平町は震度6強の揺れを観測している。家屋の損壊なども多数発生したとのことだが、見た感じ地震の被害の爪痕のようなものを感じる場面はなかった。既に3年が経過しようとしているので、あらかた片付けや修復等が済んだのだろう。

さらにもうひとしきり走ると厚真町の中心街に至る。この辺りは吉野地区から数キロ程度しか離れていないが、この辺りでもその傾向は同様だった。

だが、厚真川に沿って吉野地区へと向かう道に入った途端に様子が一変する。

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厚真川の右岸は6~70mくらいの山の斜面となっている。その斜面の木々がごそっと抜け落ちて地肌がむき出しになっている箇所が点々と続いていた。

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もうひとしきり進むと、今回の目的地の吉野地区に至る。
ここは、右岸の斜面と川の間に山に背を向けるようにして民家が建ち並ぶ集落であったが、地震の際に背後の山で土砂崩れが発生し、民家が軒並み巻き込まれて19人が犠牲となった。

既に家屋は撤去され、山の斜面も復旧工事が進められている。重機などは既に動いている気配が無いので、この辺りの復旧工事はあらかた完了しているのかもしれない。

よく見ると、地肌の部分は砂か土のような細かい粒子で覆われているように見える、岩盤らしきものが見当たらないので、崩落したらひとたまりもなさそうな斜面である。
のちに調べたところによると、この丘陵は数万年前に恵庭岳や樽前山が噴火した際に噴出した火山灰が積もってできたものなのだという。Googleマップの航空写真を見ると、それはもう大変なことになっている。

Atsuma

上記は厚真町のあたりの航空写真をハードコピーしたものだ。写真上部の水田が広がる辺りが吉野地区である。
中央付近の山の斜面を中心に、写真のエリア全体に渡りに小さく茶色い傷のようなものが多数ついているのが見えるだろうか。
これらが全て地震で土砂崩れを起こした斜面と言うことだ。そこいらじゅうの斜面と言う斜面が崩れているのが分かると思う。土砂崩れの規模としては日本最大のものだったそうだ。

小さい画像で見づらいと思うので、気になる方はGoogleマップでチェックしてみていただきたい。
自分は帰宅後にこれを見て言葉を失ってしまった。

 

さて、もう少し進んで見よう。この先もう少し進むと厚幌(あっぽろ)ダムがある。そこでも土砂崩れにより湖の一部が閉塞しているということだ。

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現在地の周辺に重機等の姿はなく、あらかた工事が終わっているように見えるが、奥の方ではまだ工事が行われているらしく、時折大型トラックやダンプカーが通り過ぎていく。

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車窓からもまだ崩れたまま手つかずになっている斜面が見えた。これが上のGoogleマップの航空写真に写っている傷の実体である。
これだけあちこち崩壊していたら、すべての斜面に対して復旧工事を行うことはまず不可能だろう。崩壊が進んでも被害のない所は放置して何十年かかけて自然に植生が復活するのを待つしかないものと思われる。

ところで、こんな風景をどこかで見たことがあるな、と思った。記憶を辿ったら昔、鹿児島で見た光景だった。

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写真は2006年に鹿児島に行ったときに桜島の遊歩道から見えた、垂水方面の土砂崩れの様子。確か訪問の数日前に記録的な豪雨があり、大口のあたりでは1200mmもの雨量を観測したという。
大口から桜島に向かう道の方々で、斜面が崩れているところがいくつもあった。その写真は撮っていなかったので、上の写真は参考だが、本当に厚真の光景とデジャブするような惨状だったと記憶している。

考えてみたら、あの辺りも火山の噴出物が堆積してできた地形(シラス台地)なので、土砂崩れが起こると同じようになってしまうのだろう。

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上流の幌内地区まで進むと、ダム方面に向かう道が分かれる。厚幌ダムの脇をそのまま直進すると、穂別という町を経由して占冠へと抜けることが出来るが、交差点に交通整理の係員が立っていて、ダンプを誘導しているのが見えた。
と言うことは、この先は現在進行形で復旧作業が続けられているということだ。

旭川に抜けるとしたらこの道を通るのが一番早いし、ダムも見てみたい。
と言うことで、一度ダム方面への道を進んでみたのだが、

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ダンプカーがひっきりなしに行き来していて、なんだか迂闊に入り込んだら邪魔になりそうな感じだ。
特に通行止めの看板などはなかったので、進んで進めないこともないと思うが、誰何されたらいやだな、と思ったら気後れしてしまい、結局これ以上進むことは断念した。

ここまでの見物を終えて、時間は13時を少し回ったところである。ほぼオンスケなので、この分なら旭川も充分アプローチできそうだ。
流石に旭川到着は夕方になってしまうと思うが、写真を2、3写して戻ってくるだけなので、遅くとも夜半には札幌に戻れるだろう。

ということで、予定通り旭川を目指してみることにした。
だが、上述のとおり、厚幌ダムの道を進むのは断念したので、若干遠回りだが、一旦厚真町の中心部まで戻ってから、平取(びらとり)厚真線という道経由のルートを取ることにした。

今になって思えば、欲張って旭川なんか行かなくても、夕張辺りの散策なんかでも結構面白かったんじゃないかなぁ、という気がしなくもないが。。。まぁ、終わった話である。

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穂別から少しだけ高速を経由して、占冠に入った。道は至って順調だったがここまで2時間。。。やっぱり北海道の道は広くて遠い。
占冠の道の駅で小休止。しかしひたすら暑い。。。

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ふと車の温度計を見たら38℃を指していた。北海道でそんな気温叩き出すのか。

朝の天気予報で暑くなるとは聞いていたので覚悟は決めていたが、これほどとは思わなかった。窓を開けても熱風が入り込んでくるだけで、北海道の地をドライブしているという感じがまるでない。

盛大に照り付ける陽射しに付近を散策しようという気にもならず、トイレ休憩だけ済ませたら出発。
占冠から今度は、富良野、美瑛と抜ける237号線をひたすら走る。

 

旭川の手前に東川町という町があり、そこの郷土資料館にも旭川電気軌道の車両が保存されているということなので、まずはそちらから訪ねてみることに。

美瑛に差し掛かる手前辺りで夕立に見舞われる。まぁ、あれだけ暑かったんだから夕立くらいは降ってもおかしくない。
今のところ、雨は降ったり止んだりくらいの感じだが、郷土資料館についた時にはタイミングよく小降りになっていた。

そそくさ、と建物の入口へ向かったら、閉館していた。
コロナ禍の影響で、16時で閉館しているとのこと。事前にちゃんとチェックしなかった自分もアレだが、なんだかなー。。。
残念だが仕方がない。もう1両の保存場所へ行って見よう。

Posted by gen_charly