おじいちゃんのお葬式 - 1(2011/07/09)

— 再び岩手へ —

7月8日、終電を気にしながら、なかなか終わらない仕事に悶々としていると、携帯に着信。
こんな時間に誰だろう、と携帯の表示窓をを見てみると弟の名前が出ていました。

一服しようと休憩所に移動して電話に出ると、元気のない声で、

「じいちゃん亡くなった。。。」

GWに行った時には安定していると聞いていたので、まさか、という感じです。。。

でもまぁ、去年に一度危険な状態に陥って以来、ずっと一進一退を繰り返していたので、もしかしたら、という思いもどこかにはあったのですが。。。

すぐに準備して出発することを伝えると、あいにく明日は友引で何も出来ないので、夜にお通夜(といっても儀式めいたものではなく、みんなで故人と夜を明かすだけなのですが)をやるだけだから、来ても何もすることがないとのこと。

弟夫婦はお通夜に出れるよう、明日夜に到着するように向かうということなので、原付も同じくらいの時間に向かうと伝えて電話を切りました。

返す刀でカミさんに連絡して準備をお願いし、週明けに周りに迷惑をかけない程度まで仕事を済ませて切り上げると、どうにか終電に間に合いました。

電車の中で出発する時間のことを考えてました。
少しでも混まない時間帯に行けるところまで行くべく、夜中のうちに出発するか、それでは体力的にきついので、仮眠を取ってから出発するか。。。

最終的に、前回行ったときにまだ道路の段差が酷くて結構運転に気を使った事を考えて、安全に向かうことを考えて早朝に出発することにしました。
準備を済ませると、2時間ほど仮眠する時間が取れたので一眠りしてから東京を出発。

しかし、わずか2ヶ月前に岩手に行って、筆舌に尽くしがたい光景を目の当たりにしてきたばかりだというのに、未だその衝撃も覚めやらぬまま再訪することになるとは思いもよりませんでした。。。

— 釜石のタンカー —

心配していた道路状況は、前回から今回までの間に再補修が行われたようで、酷い段差は殆ど解消され、速度規制も解除されていました。
意外と順調なペースで進めたので、思ったよりも早く到着しそうです。

そこで、余った時間で沿岸部へ再訪することを思い立ったのですが、ふとネットのニュース記事で見た、岸壁に打ち上げられた巨大タンカーの姿が頭をよぎりました。

持参したノートPCで場所を調べてみると、そのタンカーは釜石港にあるということです。

カミさんに聞いてみると、行ってみたいということだったので、釜石から沿岸部を経由して一関に向かうコースにルートを変更することにしました。

花巻で高速を降りて、15時過ぎに釜石の市内に入りました。

釜石は製鉄の町として知られています。
市内には新日鉄の製鉄所や、それに関連する工場など結構大規模な建物が立ち並んでいるのですが、そのどれもが一様に被害を受けていました。

市の中心部に到達すると、ひどく損傷を受けているもののアーケードが残り、その両側には同様に形を残して建っている建物も多く、陸前高田のような無残な光景を想像していたのですが、意外な感じを受けました。
(もちろん、釜石も無残な姿になってしまったことには違いがないのですが。。。)

少し注意深く見てみると、釜石市街地の建物は鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物が多いようにも見えます。
比較的基礎がしっかりとしているこれらの建物は水に流されること無く残ったようです。
また、それらの建物がちょっとした防波堤のような役割を果たしたのか、鉄骨造の建物の間に建っていたり、一面を接していたりする木造の建物も比較的流されずに残っているように見えます。

これらは釜石湾の湾口に設けられた世界最大といわれた防潮堤のおかげで水勢が衰えたことに起因しているのかもしれません。

多くの信号は消えたままで、道路案内の看板もあちこちなくなっていて、カーナビの地図だけを頼りに、市街地を抜けて港に出ると、直ぐに巨大なタンカーが見えてきました。

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すぐ近くに車を止められそうな場所があったので車を降りてみると、先客がいて写真を撮っていました。

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近くまで歩いていってみると、見上げるような高さの巨大なタンカーが堤防沿いの道路に鼻先を突っ込むようにして佇んでいます。

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船は水に浮くように出来ているものなので、水かさが上がればどんなに巨大なタンカーだろうと浮き上がって、その結果陸地に乗り上げてしまったとしても何らおかしな話ではないのですが、あまり現実離れした光景にただただ圧倒されて、何度も頭の中でなんでこんなことになっているんだろう。。。と答えの出ない問答を繰り返してしまいました。

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振り返ると、港に面した新日鉄の建物はいびつにひしゃげ、

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漁協の建物も無残な状態になっていました。

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このタンカーも10月20日にやっと撤去されたそうです。
撤去されてから記事を公開するというのも原付の遅筆ぶりがよく分かって何とも悲しいものですが。。。

暫くしてからその場を後にして、再度市街地を抜けて東浜街道へ出ました。

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途中、唐丹(とうに)地区、越喜来(おきらい)地区で小休止を兼ねて少し車から降りて2、3枚の写真を撮影しましたが、そのまま車に戻り、更に大船渡方面に向かうと、大船渡三陸道路という道が出来ていたので、そちらに入ってみました。

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大船渡の盛駅がどうなったか様子を見てみたいとも思ったのですが、結局インターでは降りずにそのまま走り続けていくと、道路は陸前高田の少し手前で終わって再び一般道にでました。

Posted by gen_charly