無事、大三様のお参りを済ませたので、今度は前浜のどん詰まりまで行ってみることにした。
いや、理由なんてないのだが、ただなんとなく。。。
どん詰まりに何があるのだろうとワクワクしながら進んでいったが、これといって何もなく道は宮塚山の崖に阻まれてぷっつり途切れていた。周辺には新島村博物館があるらしいのだが、ゆっくり見ている時間がなさそうだったので寄れなかった。
前浜の沖に暮れなずむ太陽はまだ30分ぐらいは島を照らしてくれそうだ。
そこで、この近くにあるもう一つのお社十三社神社に行ってみることにした。
その途中ブッサンストアという商店を見つけた。
店前を通り過ぎようとしたときに、助手席のカミさんが「ここ、もやし40円だって!」と声を上げたので急遽寄り道。ところがどこにもやし40円なんて書かれていない。
どこに書いてあるの?と聞くと店内へいざなわれ、野菜売り場の一画に貼りだされたプライスを指差した。
これ車の中から見えたの?なんちゅー目をしているんだ。。。w
ということで無事一袋入手。
物産ストアから十三社神社はすぐ。
神社の手前には小学校があって、若郷の宮若神社の雰囲気とダブった。
こちらもまた非常によく手入れされていて、白砂が敷き詰められた参道にはこの時間にもかかわらず箒の掃き跡が枯山水の庭園のごとく残っており、島の人たちから大切にされていることがよくわかる。
伊豆諸島で最も立派な神社と言われるだけあって、参道から本殿から離島のものとは思えないなかなか見事なものだ。
十三社、という名前の通り、参道の両脇には各神社の分社が祀られている。
ここでもお参りを済ませ(欲張りすぎ?)さらにすぐ近くにある長永寺にも行ってみることにした。
場所的には小学校の裏手の辺りにある感じなのだが、そこへの行き方が分からず、きょろきょろしていたら、「寺ん山遊歩道」という看板を見つけた。
が、近くまで行ってみるとその道は裏山の斜面を登るような道で、これはいくらなんでも違う気がする。
手元のマップには、小学校を突っ切って通り抜けるようなルートが書かれていて、いくらなんでも端折りすぎじゃないか?と思っていたのだが、もしかするともしかするのか?
ということで、恐る恐る通り抜けてみたら。。。小道発見!
本当に校舎の脇を通り抜けるのが正解だったみたいだ。
この小道を抜けるとすぐ長永寺だ。
この寺も非常に立派なもので、どっしりと構える本堂は風格すら感じる。
寺の裏手には墓地があるのだが、その中にかつて島流しにあった流人が眠る墓(流人墓地)があるということなので、ぶらぶらと歩いてみた。
墓地には白砂が敷き詰められ雰囲気が明るく、お墓のおどろおどろしさはあまり感じられない。
まぁそれでも夜中の通り抜けはご遠慮したいが。。。
ただし、流人墓地は他と違って木立に囲まれたややうっそうとした場所にあった。
よく知られている話だが、流人というのは政治犯など位の高い人が多く、色々な文化や技術が持ち込まれ島の発展に多大な貢献をしているということで、流人という立場の人間であるにもかかわらず今でも島民たちからは慕われているそうだ。
そのせいか、墓石のいくつかには故人の趣味に合わせてサイコロや鍋などの形になっているというので、見せてもらおうと思ったのだが、辺りがうす暗くなってきてカミさんが嫌がってしまい、結局じっくり見ることは出来なかった。。。
さて、これで見たいところは大体回れた。
キャンプ場に戻る前に温泉に浸かって帰ることにしよう、ということで湯の浜温泉に戻ってきた。
この温泉は無料で入れるので、キャンプ場の連中が大挙して入浴しているかと思ったのだが、予想よりは空いていた。
自転車に乗っている人が多かったので、キャンプ場からここまで自転車で往復したらじっくり温まっても湯冷めしてしまうからかもしれない。
水着着用とのことなので持参はしてきたのだが、さっきから少し冷たい風が吹き始めていて湯冷めしそうだったので、近所にある間々下温泉に先に入って体を温めてから改めて来ることにした。
夜は21時まで営業していて、料金も風呂だけなら300円とお手頃。なお併設された砂蒸し風呂も入ると700円だそうだ。
浴室は内風呂のほかに太平洋が一望できるかけ流しの露天風呂も付いている。
露天風呂から夕暮れの群青色の空のわずかな明かりで照らされる限りなく漆黒に近い紺色の太平洋を望むことができ、これはまたとない絶景だった。
お湯のぬくもりが冷えた体に心地よく、待ち合わせの時間いっぱいまでゆっくり浸かったのだが、そしたらわざわざ露天風呂の方には行かなくてもいい気がしてきた。
ロビーでカミさんと合流して、そのことを話すとカミさんも同じ意見だったので、このままキャンプ場に戻ることにした。
おっと、もう一か所行き忘れているところがあった。
そこは宮塚山の中腹にある富士見峠展望台。
車は明日返却しなければならないので、どうしても今日中に行っておきたい場所だ。
山道を鈍足プレオのエンジンを再度ぶん回して、ひと気のなさに不安になりながら進むこと15分。
そう、この展望台からは島の夜景を見てみたかったのだ。
しいて言えばさっき露天風呂に入っていた時の群青色の空の時に来たかったのだが、煌々と光を放つ都道の街灯が龍のように島の中央を横切り、ぽつぽつと灯る民家の灯りがその龍にラメをまぶしているかのようなアクセントになって、これはこれで実にすばらしい!
・・・のだが、相変わらず強風が吹き荒れていて、せっかく温まった体が冷えてしまうので、写真だけ撮って後ろ髪惹かれる思いで、展望台を後にした。