新島・式根島・神津島上陸【19】(2014/05/04)

地鉈温泉で起こったちょっとしたトラブルで入り損ねてしまった二人は、島のもう一つの自然に湧いている温泉である、足付温泉を探して自転車を漕いだのだが、地図に書かれている辺りを散策しても入口が見当たらず、集落に戻ってきてしまった。

行ったり来たりしているうちにみやとらのところまで戻ってきてしまい、その辺を歩いていた散歩中だというおじさんに道を聞いてみた。
おじさん、というか初老のおじいさんと言ってもいいくらいに見えるその人は、ちょうどそっちの方に行くから途中まで一緒に行ってあげるよ、と言って二人を先導してくれたのだが、大層健脚でその足の速いこと速いことw自転車にまたがってふらつかない位のスピードで漕いでいるのにピタリと真横を歩いている。

おじさんについていくと「各温泉」と書かれた標識の所では曲がらず、そのまま式根港の方へ降り、港の手前で、

「この道を港に沿って進んでいくとありますから。」

と言って去って行った。
これじゃ確かにいくら探しても見つからないわけだ。。。

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漁港の脇を抜け、案内に従って進んでいくと、突き当りみたいになったところに駐輪場があり、何台かの自転車が止まっているので、ウチらもそこに自転車を置いて後は歩いていくことに。歩き始めてすぐ、デジカメの電池が切れてしまい、それを入れ替えていたらカミさんを見失ってしまった(待っててよ。。。)
まぁ、その辺で待っているだろうとあまり気にせずに歩いていくと、ちょっとした手掘りのトンネルの向こうに庭園の池のように整備された場所があった。
ここは松が下雅湯(まつがした-みやびのゆ)である。

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カミさんが見当たらない。。。
目的地の足付温泉はここをもう少し進んだ先だと小さい看板が出ているが、カミさんがこれに気が付いているとは思えず、多分先に着替えているのだろうと、その場で少し待ってみることにしたのだが、2、3分待っても一向に姿を現さない。
案外、看板に気が付いて足付温泉の方まで行ったのかな、と思い、その遊歩道を足付温泉まで歩いてみたが、やっぱりいない。

これはもしや、現代版神隠し!?
・・・なんてことはもちろんなく、首をかしげながらもう一度雅湯に戻ってきたら、気持ちよさそうな顔で湯船でくつろいでいた。。。

ここのお湯は地鉈温泉から引いているので、ここで労せずあの湯に浸かることができる。
お湯の色は地鉈温泉同様かなり濁った黄土色をしている。湯の花(っていうのかな?)が濃密に漂っていて、持参した手拭いがあっという間に茶色くなってしまった。

底が浅くて、膝くらいの深さしかないので、少し寝そべる感じで入ることになるが、漁港や海岸線が目の前に展開するワイルドさも相まって、なかなかの爽快感を味わえる。
他にも足湯の湯船などもあり、そのうち一つはテーブル付きになっているので、女性が足を浸しながら読書に耽っていた。

ところでバイザウェイ、カミさんにここは足付温泉じゃなくて松が下雅湯だよ、と教えると、やっぱり気づいていなかったようで、じゃあ足付温泉の方にも行こうよ!と言い出した。
足付温泉はここから歩いて1、2分の場所なのだが、その程度の距離をわざわざ一度服を着ていくのは面倒臭く、さりとてびしょ濡れの水着のままで歩いてゆけば、滴る水で靴が水浸しになってしまう。。。

カミさんはしばらく悩んだ末、

「裸足で歩いていく」


と大層勇ましいことを言い出だした。
あの、土や岩がむき出しの歩道を裸足?

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やめといたほうがいいぞ。
いくら千葉は畑が多いと言ってもそこはニッポン。文明の地で育ったその軟弱な足では無理ッスよ、などと説得したら不承不承更衣室に戻っていった。

ということで、足付温泉に来た。

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地鉈温泉と違ってお湯が透明で、こちらの方が景色が開けていて開放感がある。
足に傷を負ったアシカがここで傷を直したと言う伝説にちなんで名づけられたそうだ。

ところがこちらもグループで来たと思われる若者が占拠していて、あまつさえビールなんかを浮かべ始めたので、空くのはしばらく先になりそう。カミさんも一旦着替えたせいか、少し面倒くさくなったようで、結局ここも入らずじまいだった。

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ちなみに、足付温泉には松が下雅湯よりも立派な脱衣所兼シャワー室があり、先にこっちで着替えてから雅湯に行った方が便利かもしれない。それと、ハシゴをする場合はサンダルの用意を忘れずに。

時計を見ると11時を回っていた。午後は島の西側の遊歩道へトレッキングしに行くことにしている。途中で丁度お昼になると思うのだが、今買い込んでいる食糧だけではいささか心もとないので、もう一軒くらい商店を回って惣菜を仕入れてから向かおうと思い、再び集落へ。

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ということでやってきたのが奥山商店という商店。雑貨や惣菜のみならず鮮魚なども置いている。くさやも当たり前のように並べられているが、蓋をするでもなくほかの商品と並べて置かれているので、その周囲はかなりのナイススメルが広がっていた。

この店では島寿司ではないが、カンパチの漬け丼が売られていたので、追加の惣菜(惣菜じゃないか)はこれで決まった。

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とりわけ驚いたのが、レジカウンター前に置かれていたアシタバ。
なんとお持ち帰り自由!
島で一度はアシタバを食べたいね、と言っていた所だったのでグッドタイミング、晩御飯の材料にしよう。

店員に一声かけて選別していたら、背後から店の主人と思しきおじさんから声をかけられた。

「それ、畑で朝採ってきたやつだから新鮮だよ。サービスでやってるから、このくらい持って行っちゃいないよ。」

と言って、大きく一掴みビニール袋に入れてくれた。


「アシタバはね、前に伊豆諸島を回って調べてくれた学者がいてね、キサン○△$#、って言う成分が大腸がんの予防に効果的だってお墨付きをくれたんだよ!」


「え?なんという成分です?」


「キサン○△$#」

成分のところだけ早口で言うので聞き取ることが出来ず、二回聞きなおしたが、やっぱり分からなかった。


「その成分、本当にあるんですか?」

カミさんが茶化すと、


「あるある!茎の切り口から出ている黄色い汁あるでしょ?それがその成分だよ。宣伝になりそうだから、必死に覚えたんだから!」

結局その時は聞き取れずじまいだったのだが、後でネットで調べてみた。

「キサントアンゲロール」
「4-ヒドロキシデリシン」と言っていたような気がする。多分。


「ところでさ、綺麗な景色の写真とかあるんだけどみたい?」
「見たいです!」

唐突に話を振られ、自分はそれが何を指すのか一瞬考え込んでしまったのだが、こういうときのカミさんの瞬発力は見事である。話がテンポよく進むので非常に助かる。

じゃ、外のテーブルに座って待っててよ!と言って、一旦下がり、暫くしてバインダーを持って戻ってくるなり、

「民宿十治朗、食事なしだけど3泊一万円!よろしくね!」

十治朗、と言うのは、雅湯から戻ってくる途中に「10泊3万円」というへんてこな看板を掲げていた民宿だ。

その時は、「この島に10泊もするやついるのかよ!」と笑いながら通り過ぎたのだが、主人の人となりを見ると、ああそういうことか、と納得できるのである。

「これね、おじさんの持ってる秘密基地なんだよ。温泉も掘ったんだよ。」

写真は、足付温泉のような海岸に岩を組んだ湯船や2月の段階で満開に咲き誇る桜の花などだったが、考えてみれば、プライベートで温泉を掘るってすごいな。
ここは、民宿に何泊かしたら連れて行って貰えるのかもしれない。

お礼を言って出発しようとしたら、主人から、

「いまセイマが見ごろだから、道端で黄色い花を見かけたら匂いをかいでごらん、甘くていい香りだから。」


と教えてもらった。


Posted by gen_charly