富士山リベンジ【1】(2013/08)

2022/05/02 リライトしました。

——-

前回富士山に登ったのは2009年。この時はカミさんの叱咤激励でなんとか頂上まで登って、見事なご来光を拝んで来ることができたが、八合目で高山病にやられてしまったことと、下山後の集合時間の兼ね合いとで、お鉢めぐりはせずに下山した。
日本で一番高い山に登ったのなら、日本で一番高い所に行ってきたのか、といえばさにあらず。よく知られている通り、日本の最高所は富士山の頂上から火口の縁をもう一頻り歩いた先にある剣ヶ峰という場所にある。

お鉢めぐりが出来なかったので、剣ヶ峰へも到達することができなかった。
このことが自分の中でずっと心残りになっていて、いずれリベンジしたいと考えていた。とはいえ、体力のないインドア派の中年のオッサンにとって、富士山はおいそれと登れる山ではない。まぁそのうちに、などと考えて先送りにしていたら、今年(2013年)に入って富士山が世界文化遺産へ登録されるというニュースが飛び込んできた。

普段でも登山者の多い山なのに、世界遺産に登録された日にゃ、更に多くの登山者が富士山に押し寄せることになるだろう。登山のマナーを知らないような人が登って事故を起こしたりすれば、今まで以上に制限が厳しくなったり、なんなら入山が有料になるなんてこともあるかもしれない。そうなる前にリベンジを果たしておいた方が吉だろうと考えた。考えたのだが、前回登山時の高山病は実にしんどかったのでそのことを考えると尻込みしてしまう。

前回は吉田口から登るツアーに参加した。ツアーと言っても宿泊先の山小屋から先は各自にお任せなので、御一行様で登ったというわけではない。このツアーはカミさんに手配してもらったのだが、そのツアーを選んだのは、ご来光の感動を自分にも味わってもらいたいと思ったからだそうだ。カミさんのオススメどおり、ご来光はなかなかに感動的だったが、途中で高山病に悩まされたのは前述の通り。

改めてあの日を振り返ると、早朝に自宅を出発し、数時間バスに乗って、山小屋で仮眠を取ってからの、夜を徹しての登山、というプランで、山小屋では周りが気になってほとんど眠れなかったので、ほぼ完徹といっていい状況だった。そんなの、山に登らなくてもバテるだろう。体質云々というよりはコンディションが悪かったせいなんじゃないかという気がする。

ということは 逆に考えて体調を万全に整えてアタックすれば案外大丈夫なんじゃないだろうか、という気もする。

具体的には、ツアーは利用せず、五合目あたりで前泊してしっかり休息をとりつつ、標高にも十分慣れてから、日中に登ることで高山病を回避できるんじゃないか、と考えた。

カミさんは富士登山に関しては大ベテランだが、過去の登山はいずれも吉田口からのご来光遥拝ツアーだったそうだ。それなら、たまには趣向を変えて、上記のようなプランで、ついでに登山道も吉田口登山道以外で登ってみたらどうだろうか、とカミさんに相談したら面白そうだからチャレンジしてみたい、ということだった。

それでは、ということで、もう少しプランを練ってみることにした。
まず、登山道だが、富士山の登山道は4本ある。吉田口登山道、富士宮口登山道、須走口登山道、御殿場口登山道の4本だ。

どの登山道も登山道ごとの特徴があるが、それぞれのメリット・デメリットをまとめてみた。

< 吉田口 >
メリット
五合目が富士宮口に次いで高い所(2305m)にあり、山小屋も多い。登山道と下山道が分かれているので登りやすい。
デメリット
登りやすいだけに登山者が多く、いつも混んでいる 。

< 富士宮口 >
メリット
五合目が一番高い場所(2390m)にあり、山頂までの距離が短い。山小屋は比較的多い。
デメリット
岩場が比較的多いうえ、登山道と下山道が同じ道になり、混雑すると登りにくくなる。

< 須走口 >
メリット
頂上までの距離は富士宮口に次いで短い。東斜面なので六合目以上の場所ならどこでもご来光を拝むことが出来る。比較的空いているコース。
デメリット
五合目の場所が低い(1970m)。八合目で吉田口に合流するため、合流の先が渋滞する。

< 御殿場口 >
メリット
岩場が少なく登りやすい。登山道と下山道が分かれている。下山時の大砂走りが有名。長距離コースゆえ人気がなく大抵空いている。
デメリット
新五合目の標高が一番低く(1440m)、登山道が非常に長い。山小屋が少ないため、ある程度登山計画をしっかり立てる必要がある。

上記のメリット・デメリットを考慮しつつ、どのコースが良いか調べてみる。御殿場口は前述の通り登山道としては向いていないコースなので、いくら普段と違う登山と言ってもちょっと選択しづらい。
須走口は八合目で吉田口へ合流するので、吉田口からの登山者で渋滞したら巻き込まれてしまう。それに、頂上はこれまで何度となく通っている吉田口なので、その分感動もスポイルされてしまいそうな気がする。気がするだけだが、折角なら全く違うコースがよさそうだ。

というわけで富士宮口から登ることにした。

ちなみに、7月~8月にかけて、御殿場口以外の五合目への道路がマイカー規制され、五合目での前泊が出来ないらしい。規制ゲートの手前に有料駐車場があり、そこにマイカーを停めて登山口までシャトルバスで運んでもらうそうだ。
駐車場は24時間営業で前泊可能なので、そこに停めるしかなさそうだ。まぁ、シャトルバス利用は仕方なかろう。
気がかりなのがその駐車場も週末は非常に混みあうことだ。満車になることもあるらしい。満車で登山断念は断じて避けたい。そこで、念には念を入れて金曜日に登ることにした。カミさんのスケジュールも加味して調整したら8月23日がその日となった。

平日だし、お盆休みの翌週なので、混雑もひと段落してるだろう。北海道旅行の翌週、というのがちょっと慌ただしい感じがしなくもないが。

更にいろいろ調べていたら、通称「プリンスルート」と呼ばれる、一般にあまり知られていない登山ルートがあるらしい。
このルートは富士宮口から登り始め、六合目から宝永山を経由して御殿場口登山道へ抜けるルートで、スタート地点の標高が高い富士宮口と、空いていて、かつ岩場が少なくて登りやすいという御殿場口の両方からいいとこ取りをしたようなルートだ。更に下山ルートは御殿場口の醍醐味である大砂走りを体験して御殿場口新五合目へ降り、そこから駐車場までバスかタクシーで戻ることも可能、というなんとも欲張りなコースで、これはネタになりそうだw

標準登山時間を見ると、頂上まで登ってその日のうちに下山してくるのもギリギリ可能らしく、最初は弾丸登山を決行するつもりだったのだが、山頂にも山小屋があることを知り、そこに泊るのも面白そうだと考えた。

考えてみれば山頂に山小屋があっても何ら不思議ではないのだが、前回登山時に泊まった山小屋の人から、「頂上の店は夜に行ってもみんな閉まっている(から登るタイミングを良く見極めなさい)。」という忠告を聞いていたので、頂上にあるのは売店だけで宿泊できる山小屋は存在しないものと思い込んでいた。

WEBサイトで予約状況が掲載されている山小屋があったのでチェックすると、登山する日はまだ空きがあるようだ。まぁ、平日だしな。

日本一高い場所にある宿で一泊して、ご来光を拝んでからのんびり降りてくれば、ツアー的に面白そうだし、体調もより万全な状態になる筈だから、下山まで富士登山の面白さをしっかり堪能できる気がする。

ということでそこの山小屋で一泊することにした。ちなみにこの山小屋、チェックインは16時から18時の間を厳守となっていて、チェックアウトは驚きの午前4時半。まぁ、ご来光を拝む前提なのだろう。

代金は素泊まり一泊5000円で、土曜は1000円増し。夕食・朝食はオプションで、それぞれプラス1000円だそうだ。

素泊まりだと2日分の食料を担いでいく必要がある。グラム単位でより軽い装備を選ぶような登山において、食料の重さは馬鹿にならない。それなら夕食くらいは付けた方がいいかな、と思ったら、カミさんは「どうせ山に登ると食欲がなくなるからいらないんじゃない?」と言う意見だった。

確かに一理あるが、というかそんな気もするが、食べない前提で登ってお腹が空いたら死活問題だ。途中の山小屋で食べようと思ったら高いカップラーメンを食べる羽目になる。それなら同じ値段でちゃんとした夕食を食べる方が良い気がする。食べられない訳じゃないだろうから、あって困るものでもないし、というと、まぁ、いいんじゃない、という反応。

翌日、電話で予約を入れる。問題なく予約できた。食事は当日受付の時に聞きます、とのことだ。

山小屋へ泊るという選択が、良くも悪くも今回の登山を印象深いものにすることになるとは、この時は思いもよらず。。。

山小屋の手配も済んで、あらかた計画もまとまったので、次は準備である。登山グッズで不足しているものやリプレースするものを探しにスポーツ用品の街、小川町へ行ってきた。

まずは、御殿場口の砂地の登山道対策としてスパッツを購入。
スパッツと言っても主に女性が身につけるピチっとしたアレではなく、足首から靴の辺りを覆いかぶせるように巻きつけて、靴の中に砂や砂利が侵入するのを防ぐための布である。

次にストック。カミさんは今までシングルストックで登っていたのだが、今回はダブルストックで挑みたいと考えたようで、店員と相談してブラックダイアモンドのディスタンスコルクというストックを入手。

20130820_231700

とにかく軽いものが欲しい旨を店員に伝えたところ、折り畳み式のストックを奨められた。伸縮式の方が一般的だが、ロックやショックといった部品の重さは意外と無視できないらしい。その店員的に、ショックは不要という考えだそうで、その点折り畳み式ストックならそれらの部品がない分軽く、ベストチョイスであるという。
他の伸縮式ストックで軽いというものと持ち較べたりしたが、確かにそれらより一回り軽い。カミさんも気に入っての購入たそうだ。

で、使い勝手をチェックするため、北海道の旅行に持って行った。その時に自分も少し使わせてもらったのだが、地面を突いたときに手首に伝わる衝撃が随分違う。ショック付きストックの「ズン」という衝撃ではなく、「トン」とか「コツン」といった軽い衝撃が伝わってくる感じだ。フィードバックが明瞭なので、小突く強さを無意識に調整している感じで、手に負担がかかる感じはあまりなかった。

自分は前から使っているストックで行くつもりだったのだが、カミさんのを使ってみたら自分用の物も欲しくなってしまった。ということで再訪。たまたまカミさんが購入したのとは別の店に行ったので、そこの店員にも話を聞いてみたら、その店員は富士登山に使うならショック付き伸縮タイプの方が絶対に便利だという。

20130820_231611

その店員のお奨めは、leki(レキ)のAGサーモライトアンチショックというストック。
店員に勧められるまま、地面に強くついたりしてみると、確かに手首への衝撃はショックがしっかりと吸収している感じである。これは甲乙つけがたいw

考えてみたら北海道で使った時はあまり荒れていない遊歩道で試したので、あまり強く突くことがなかった。富士山の登山道は段差の大きいところもあり、ストックを強く突くような場面もありそうな気がする。その時の衝撃をずっと腕で受け止めていたら、意外とストレスになるような気がした。

ちなみに、ストックは登りも下りもそれぞれ肘が90度になるように長さを調整しながら使うのが正しい使い方である。このストックはエルゴグリップという機能があり、平地や登りでは通常の握り方で、下りはグリップのてっぺんを包み込むような握り方で、それぞれ握ることで長さ調整をせずに肘の角度を一定に保てるようになっている。

そういえば、登山時は手袋を装着しているので、長さを調整するときはいちいち手袋を外すのが面倒で調整をサボりがちだ。だったら、エルゴグリップのような機能で、横着してもストック側が対応してくれる方がありがたい。

ストック自体の重量も、このタイプのストックにしては非常に軽量に出来ている。折りたたみタイプと比べたら幾分重いが、この軽さなら許容できそうだ。

じゃあ、これでいいじゃん、と思ったのだが、1.5諭吉はちょっとインパクトがある。まぁ、そんなもんか。変なものを買ってゆくゆく不満が出るよりは良いはず。

それと余談だが、ディスタンスコルクは収納時に幅を取ってしまうため、リュックのストックホルダーに刺すことが出来ない。専用ケースに収めてリュックにしまう必要があるが、ストックホルダーに刺すのと比べたら幾分手間だ。
カミさんはその辺マメなので気にならないらしいが、自分は面倒くさがりなのでレキでよかったのかも。

そのほか小物などをちょこちょこ手配して、22日の夜。
22時前に自宅を出発し、東名をひたすら走って0時過ぎに駐車場に到着。こんな夜遅くでも係員が常駐していてしっかり駐車場代(1000円)を徴収された。

流石に駐車場はまだガラガラだったので、明日出発しやすいように入口に近い所に停めた。

Posted by gen_charly