瀬戸内周遊初日の出【17】(2014/01/02)


というわけで、忠海から走ることおよそ1時間で尾道に到着。車を置いて尾道駅前にやってきた。
時間は14時をちょっと回ったところ。20140102_141648

散策開始の時間としてはやや遅いきらいもあるが、尾道の街の夜景を見たいので日のあるうちに寺町を散策して、日が暮れるころに千光寺に登って夜景が見る、的なプランを立てた。

尾道は過去に3回ほど来たことがある(2000年2006年2010年)が、毎度しまなみ海道へ向かう際の経由地として一時滞在しただけで、じっくりと市内観光をしたことがなかった。

まぁ、何はともあれ腹ごしらえだ。尾道といえば尾道ラーメン。下調べしていないのでどこに旨い店があるのかさっぱり分からんが、それ以前に開いている店を探すことすら大変かもしれない。

まぁ、駅の近くなら1軒くらいやってる店もあるだろう、ということで、上述の通り駅前にやってきたわけだが、ロータリーから周囲を見回してみると、その読み通り赤い暖簾が出ているのを見つけた。

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味麺という店だ。ちょっと古臭そうな店だが、一組の待ち客もいて結構期待できそうだ。
5分ほどで順番になって声がかかった、席について2人で尾道ラーメン(550円)を注文。
いつもなら、2人で別々のものを注文してシェアするのが我が家のしきたりだが、この後食べ歩きすることになると思うので、今回は基本をなぞってみた。

席で待っている間、ひっきりなしに客の出入りがある。1組待ちで入れたのは案外ラッキーだったようだ、これだけ人気があるなら味の方も期待出来そうだ。

暫くすると丼が運ばれてきた。

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オーソドックスな印象だが背油系である。浮いている背油の割に味は割とあっさりとしている。
安心できる味だった。
カミさんが珍しくスープを飲み干していたことからも、その安定感がうかがえる。

食事を済ませてようやく散策開始。
ラーメンが出て来るまでの間に、駅で貰ってきたガイドマップに目を通しつつコースの確認。
マップにはいくつかのモデルコースが書かれているが、その中で「古寺めぐりコース」といものに興味をひかれた。これは山陽線の線路の北側斜面に点在するお寺を巡るコースで、このコースになぞって寺院の見学をしつつ、途中からロープウェーに乗って山頂の千光寺へと向かうルートで散策をしてみようと思う。

今回歩いたルートのGPSログ

まずは線路を渡って駅の北口に移動。北口側は古い街並みになっており、南側と比べるといくらか鄙びた感じで、駅前もこじんまりとしている。

駅前から昔ながらの細い通りが伸び、そこを歩いて適当なところで右へ入ると、とある筋には有名な尾道ガウディ・ハウスなる建物がある。

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この建物は、昭和初期に地元で箱物商を営んでいた和泉家の別邸として建てられたもので、ご覧のとおり、急斜面の土地を巧みに利用して建てられている。
利用しづらい土地に建てられている建物にしては、室内外を問わずあちこちに意匠の数々が施され、建築に3年もの歳月を費やしている。そうした印象が、サグラダ・ファミリアを設計したアントニ・ガウディを彷彿とさせることから、このように呼ばれている。

時々室内も公開しているらしく、今日は流石にその日ではないだろうとは思いつつ訪ねてみた。
予想どおり建物に人の気配はなく、入口も固く閉ざされていたので、室内の見学は叶わなかったが、外観を見られただけでも割と満足。

ここからは一旦駅まで戻り、再び駅前を通り抜けて今度は反対側の坂道へと進む。古寺巡りコースはここからスタートである。
道は石畳になっていて、ルートが分かりやすくなっていた。

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その石畳を歩いていくと、まず最初にあるのが二階井戸と呼ばれる物件。

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ここも結構な急斜面に位置しており、隣家とこちらの家は1フロア分程度の高低差がある。
井戸は坂下の通りに掘られており、坂上の人がわざわざ坂下に降りなくとも水が汲めるよう、工夫されたものである。
なので、写真に写る井戸から下をのぞき込むと、坂下の通路に掘られた井戸がみえ・・・ない。

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ここは現役ではないようで、ご覧のとおりコンクリートで塞がれているが、本来は視線の先に下の階の井戸がある。
説明がないと何だか分からないが、坂の街ならではの工夫である。

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そこから少し登った突き当たりにある持光寺

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石作りの山門が特徴のお寺である。

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東西に延びる通路は斜面を巻くよう進むため、アップダウンも少なく歩きやすい。そんな道を軽快に歩いていくと光明寺がある。

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境内では猫がお出迎え。

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近年、尾道に限らずいわゆる坂の街を名乗るような地域では、住民の高齢化により坂の上り下りが困難という理由から、土地を離れるケースが増えているそうだ。
特に古くから発展した街では車が入れないような路地も多く、より敬遠される傾向がある。

こういった場所では、ごみの収集にしろ、配達にしろ、人力に頼らざるを得ない部分が多い。人が減っているといっても、そのエリアに住んでいる人がいる限りインフラは維持しなくてはならず、そのコストが財政に重くのしかかっているという。

かといって再開発しようにも、そもそも不便な土地なので費用対効果を考えたら現実的ではなく、そのうえ、大抵はこの風景そのものが観光の目玉になっていることもあり、悩ましい問題になっているそうだ。

今や人口減少時代に入っている。そのまま誰もいなくなるのを待つしかないのだろうか。

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そんなことを考えながら路地を歩いていくと、唐突に広い敷地に出た。
ここは宝土寺という。

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寺の右手側には一宮神社がある。読み方は「いちのみや」ではなく「いっきゅう」である。

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その一宮神社の向かいに建っているのが観音堂
ちょっとした神社の拝殿くらいの大きさがあった。

Posted by gen_charly