沖縄離島探訪【12】(2006/11/24)
手配を完了してまずはホテルへ。
今回泊まるイーフビーチホテルは、島の東の端にあり、西の端のほうにある空港から見ると、島を横断する形になります。
とは言ってもそれほど大きな島でもないので、30分かからないくらいでホテルに到着。
建物はちょっと年季が入っている感じですが、今回の旅行で初めてのリゾートホテルですw
建物の一番上には「eef」とロゴが入っています。
eef・・・!?iifじゃないのか?というツッコミはしないことにしましょうw
チェックインを済ませ、荷物を部屋に置いて少し休憩していると、業者から連絡があって今から迎えに行くとの事。
というか、海辺のリゾートを訪れる恰好じゃなかろうよ、わが妻よw
荷物を準備してロビーで待っていると10分くらいで業者の人が到着。
車に乗り込んで、発車すると、3分くらいで船の乗り場に到着。
歩こうと思えば歩いていける距離ですね。。。w
で、事務所でツアーの手続きを行うのですが、忘れずにオーハ島へ立ち寄りたい旨を伝えておきます。
ツアー中に食べる弁当を渡され、事務所の前で10分くらい待っていると、港の向こうからクルーザーがやってきて、ウミンチュらしいこんがりと日焼けしたおじさんが降りてきました。
クルーザーに原付夫妻と他にもう一組乗り込んで出発。
出発して10分くらいで船はオーハ島の船着場に到着。
もう一組の人は直接果ての浜へ行ってしまうようで、原付夫妻が下船した後は、1時間位したら迎えに来るからここで待ってて、と言い残して、出発していきました。
オーハ島は久米島の東に浮かぶ島で、久米島とオーハ島の間にはオー島が浮かんでいます。
久米島とオー島の間は橋で結ばれているのですが、オー島とオーハ島の間は目と鼻の先であるにも関わらず橋はかかっていません。
オーハ島は現在4戸、わずか6人しか住民のいない島なので、橋も架からないのでしょう。
そんな島がどんな雰囲気なのか調べてみたくて、上陸をお願いしたのでした。
船着場に下ろされて、まずは島をウロウロしてみようと思うのですが、何せ当時はネットで地図を見てみてもオーハ島には道一つ書かれておらず、5万分の1地形図でも持っていれば違ったのかもしれませんが、買いに行く程でもないと思っていたので、全くの手探りです。
どのくらい奥の方まで道が続いているのか見当もつきません。
とりあえず、反対側の海岸に出て、のんびりと弁当でも食べて過ごそう、ということになって、とりあえず目の前を道を進んでいくと、早速一軒目のお宅を発見。
窓は全て開け放たれて人影は見えないような感じだったのですが、通り過ぎざまにちらりと覗くと、おばあがお昼寝してました。
部屋と縁側にまたがる様にして、うつ伏せで。。。w
なんと自由なおばあだ。。。www
#ていうか、死んでるかと思った。。。(爆)
更に進むと、次のお宅を見つけました。
道はここで途切れ、その先は藪になっています。
よく探せば踏み跡くらい見つかるのかもしれませんが、何せこの島にはハブがいるという事なので、気軽に藪に分け入っていく訳にも行きません。
それで原付は「ま、いっか」と諦めて、 「船着場に戻って弁当でも食べるか?」 とカミさんに提案すると、カミさんはまだ諦めきれないようで、入っていけそうな道がないか探しています。
暫く探して、道が見つけられず、やっと諦めが付いたかと思いきや、
「そこのウチの人に聞いてみようよ。さっき人影有ったし。」
おお、行動力のある妻だ。だが妻よ、
「でも、さっきの家の人、カーテンを閉めてたよ。聞きたいのは山々だけど、こういう離島に住んでいる人は、閉鎖的な人も多いから、あまり外部との接触を好まないかもだよ。」
正直原付は腰が引けてました。
ところが、
「でも、このまま帰るのも勿体無いし、ダメ元で聞くだけ聞いてみよう?」
といって2軒目のお宅の敷地に入っていきました。
大丈夫かなぁ。。。
「すみませーん。」
応答なし。
「すみませーん。。。」
二度目の呼びかけをして反応が無いので、
「やっぱり、嫌がられているんじゃないの?」
と言いかけたその時。
「はいはい、あ、ごめんなさいね。なんですか?」
といいながら、建物の横からおばあが出てきました。
「ちょっと道をお聞きしたいのですが。。。?」
「ちょっと上がっていきなさい。」
「い、いえ^^;(お邪魔すると、お弁当食べる時間なくなってしまうので。。。)」
「いいから、いいから。上がってお茶飲んでいきなさい。」
あまりにも強く勧めてきたので、断りきれず、じゃあ、とお邪魔させてもらう事に。
「ごめんなさいね。なかなか出てこなくて。知らない人が歩いているとちょっと怖くてね。。。」
「いえいえ、こちらも、声をかけられるの嫌がるんじゃないかなと思っていたのですが、道を聞いてみたかったので。。。すみません。おどかしちゃって。。。」
「いいの、いいの。さあ、お茶飲みなさい。」
おばあがよそ者に対して警戒心を持つのは良く分かるのですが、声をかけた途端、家に招き入れちゃう極端さもなんだか不思議な感じです。
で、道を聞きたい旨を伝えているにも関わらず、道のことはスルー。
「どこから来たの?」
「東京です。」
「東京から。。。それは遠いところから。ウチの息子はね、本土に住んでいるんですよ。」
小さなおばあは曲がった腰をものともせず、ちょこまかちょこまか動き回って、色々ともてなしてくれます。
とりあえず、道のことはいいや、とおばあとゆんたく(おしゃべり)にふけることにしました。
「あんたたち、ノニ知ってるか?」
「分かります。」
「ノニジュース、裏の畑で採った奴だから飲んでみて。」
と小さなコップにいれて持ってきてくれました。
まずはカミさんから。
「あ、おいしい。飲んで見て。」
原付にコップが回ってきたので、恐る恐る口にすると、なんだか渋すっぱい味で、とてもおいしいとは思えませんでしたが健康にはよさそうな味です。。。
そんな感じでおばあが出してくれるものをちょっとづつ頂きながら、聞いた話は、
・ご主人は漁に出かけていて不在とのこと
・島の住人は6人だけど、2人は久米島に行っているので、普段居るのは4人だけとのこと
・病院にも行かなければならないけど、船で渡らなくちゃならないので結構骨が折れること
・昔は竹馬でオー島に渡ったけど、今は船を通すために浚渫して深くなったので、渡れなくなったこと
などなど。
興味深く話に耳を傾けていると、
「これ食べてみなさい。」
と言って皿に山盛りの何かの貝を出してくれました。
ご主人が捕って来た物だそうです。
しょうゆを付けて戴くと、臭みも無くとても美味い。
「おいしいですね!」と言うと、
「食べなさい、沢山食べなさい。」
と言ってちょっとしてからまた台所へ行って、暫くして戻ってきたら、ビニール袋一杯にその貝を入れて、
「持って行って食べなさい。」
と渡してくれました。
こ、こんなに沢山ですか。。。w
今日の晩のつまみにしようと、ありがたく頂戴しました。
それで気を良くしたのか、またおばあは台所に戻って、今度は梅干を持ってきました。
「息子が送ってきたものなんだけどね。美味しいから食べてみなさい。」
というので、一つ戴くととても上品な味。
「あ、おいしい~」
と思わず声に出すと、おばあもゲラゲラと声を出して笑って、
「よくそんなモンが食べられるな~!あたしはそんなすっぱいモン食べられないよ。」
沖縄では梅干を食べないのかな?
ずいぶんとお茶目なおばあだ。
で、これも持ってけ、といってビニールに包もうとしたのですが、流石にこんなに沢山のものを貰うわけにも行かないので、一旦辞退したのですが、「息子がどこかでお世話になるかもしれないから」と結局受け取らされてしまいました。
梅干は日持ちするので家に帰ってからも楽しめるのでうれしいといえばうれしいですが、ちょっと申し訳ない気持ちに。。。
なんだかのどかな時間が過ぎていく中で、折角なので写真を一枚撮らせて貰えませんか、とお願いすると、
「だめだめだめ、前に(来た人に)写真撮らせたら、新聞に載って、息子から怒られたから。」
あらあら。。。
ゆんたくを続けていると、もう船が迎えに来る時間になってしまいました。
おばあにそのことを伝えて、ちょっと名残惜しいですが、そろそろお暇させてもらうことにしました。
家を出ようとすると、おばあもサンダルを履いて家を出ようとしました。
「そこまでいっしょに行こう。」
というのですが、申し訳ないので、
「大丈夫ですよ。そんな送ってもらわなくても。」
と言ったのですが、おばあは聞こえないフリをして外に出てきました。
おばあが先頭に立って、獣道のようなあぜ道を進んでいくと、
「こういう所では、男が先に立って歩くもんだよ。さあ!」
と笑いながら言って、前へ手招きします。
それもそうか、と先頭に立って少し歩くと、今度は茂みに生えているアダンかなんかの葉っぱを一枚ちぎって、サッと裂いて先を中に通した物を作って貰ったお土産の袋に入れました。
「これは、中身を盗まれないようにするためのお守りだからね。」
#すっかり色あせちゃいましたが、これがおばあからもらったお守り。
#なくしたと思っていたら、富士山に登ったときに、リュックのポケットに入っているのを偶然見つけました。
なんだか、ちょっとしんみりとした気分で歩いていると、船着場に到着。
ツアーのボートが既に到着して、我々が戻ってくるのを待っててくれました。
ちょっと恐縮して船に乗り込むと、すぐに出港しました。
おばあに、「じゃあ、またね!」 と声をかけて手を振ると、おばあも 「子供が出来たらまた来なさい!」といって手がちぎれんばかりに大きく手を振って、いつまでもいつまでも見送ってくれました。
時折前掛けで目の辺りを拭っているように見えたのですが、おばあもちょっと寂しかったのかな?
#あとでネットで調べてみたら、オーハ島に上陸した人たちでおばあとゆんたくした人は結構多かったので、多分おばあ達も本当は外部の人とゆんたくしたかったのだろうと思います。
船の上でも、ついさっきおばあと居た事を思い出して、なんだか夢を見ているような気分になりました。
ちょっとしたきっかけから、思いがけない体験ができて、これぞ旅の醍醐味です。
カミさん、GJ!